絵とワードの物語 『ころころ、みちびかれ』
同じ場所、同じ時間で、ほぼ毎日すれ違うその人を、何とはなしに覚えちゃったのは、仕方がないことだと思う。
見た目の年齢的には大学生ぐらいでもおかしくないその男の子は、目の前が見えないくらいの大きな荷物を抱えていたり、メモを片手にキョロキョロしていたり、ぼさぼさ頭で走ってたりと、何かにつけて目立っている。しかも毎回茶色のエプロンをつけていて、目印としてもばっちりだ。
今日もほら。
あ、あ、なんて言葉をぼろぼろ落としながら、紙袋からこぼれ落ちたオレンジを追いかけてる。袋を気