マガジンのカバー画像

現代

27
社会人、学生時代など現代系の物語をまとめています
運営しているクリエイター

#小説

絵とワードの物語 『Don't Stop Me!』 

 油を差してくるのを忘れたチェーンが悲鳴を上げる。軋むその音に構うことなく全体重をかけて…

絵とワードの物語 『顔一杯の水族館』 

 海が、ちょっぴり怖かった。  深いところは溺れそうだなとか、怪我したらどうしようとか、…

絵とワードの物語 『et word』

 綴る言の葉はざわめいて、描かれた線は踊りだす。  広げた手のひらの上で色づき、飛び跳ね…

絵とワードの物語 『いっしょがいいな』

 ブランコを、漕いでいる  戯れる子供達に向けて、ゆらゆらと  うらやましそうに、手を伸ば…

絵とワードの物語 『ガラス玉にうつるもの』

「おとうさん! みてみて! すごい!」  背伸びしようと力の入る小さなてのひらが、頭に食…

絵とワードの物語 『青空にはためいて』

 お行儀良く風に揺れる洗濯物に、満ちたりた吐息を落とす。  週末の雨が洗い流した空気はと…

絵とワードの物語 『似たもの親子』

「お父さん、はい!」 「お、ありがと」  渡されたグラスはありがたいことにキンキンに冷えている。白い泡がぷちぷちと弾けるのを見ているだけで喉が鳴る。  渡してきた息子本人は、ちらちらと俺を見ながら、麦茶がなみなみ注がれたお揃いのグラスを握り締めていた。  二人でぐいっと煽った瞬間、ぶはっと背後から堪えきれなかった笑い声。 「親子だねえ」  からかう言葉を背中に受けながら、こっそりひっそり呟き返す。 「おいしーね!」 「おいしーな!」 「良かったねえ」  昨夜、二人の寝姿が全

絵とワードの物語 『青、蒼、碧』 

私はひとり、靴先で地面を弾きながら歩いている。 気持ちはすっかり土砂降りなのに、本当に雨…

絵とワードの物語 『きみにあいたくて』 

いつもなら鞄に入れっぱなしのスマホが、てのひらの中で震える。 通知の中身を把握する前に開…

絵とワードの物語 『ハッピーアワー』 

いやだってそうでしょ。この日のために頑張ったのよ。 仕事もそうそうに切り上げちゃってさあ…

絵とワードの物語 『虹の橋』 

どこまでも伸び往くその色彩は、長く、永く、ながいけれど、その先に必ず果てはある。 そう信…

絵とワードの物語 『ころころ、みちびかれ』 

 同じ場所、同じ時間で、ほぼ毎日すれ違うその人を、何とはなしに覚えちゃったのは、仕方がな…

絵とワードの物語 『とじこめられたのは』 

 ガラスのなかでぷくぷくと泡が弾ける。  瓶底に生まれ、じりじりと膨らみ、ふわりと浮いて…

絵とワードの物語 『またね』 

 いつもより少しだけ重い鞄を手に、硬い座面から立ち上がる。明日からは夏休み。明日から毎日何しようなんて浮かれる気持ちと相反する、ざわざわする心のなか。それにつられて横を向いたら、なぜだかしっかりと目があった。  ぱちぱちと瞬きをして、それからちっちゃく溜め息をつくまでが同じタイミング。ちょっとだけ、以心伝心かもなんて、嬉しくなったりなんかして。 「宿題ちゃんとやんなよ」 「うつさせてくれる?」 「ダメ」 「ちぇっ」  じゃあねと手を振って、わたしは前から、キミは後ろから。同時