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岡部えつ|小説|Stories

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著書の紹介や、加筆修正した過去作品を掲載しています。
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#怪談

短編小説・怪談 『奇木の森』 (アンソロジー収録作品)

 呆れ返る部屋だった。天井近くにお札や御幣が乱雑に乗った神棚があるかと思えば、その下の白壁には風呂敷大の曼荼羅図が掛かり、部屋に置かれた唯一の家具である飴色の水屋の上には、瀬戸物のマリア像とサイババのフォトフレームが仲良く並んでいるのだ。そのひきだしを開ければ、コーランが出てくるに違いない。  そしてそれらすべてを凌駕するのが、目の前にいるここの主だった。  霊媒師だというから、白い着物に緋色の長袴、首から大きな数珠でも下げて呪いのひとつも唱えるのかと思ったら、破れ襖から足踏

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掌編小説(雑誌掲載作品)『夜光泉』

「この島、夜光虫がいるんですって。見に行きませんか」  そう言い出したのは、北海道から来たという女子大生のアミだった。断ろうとしたが、その前に彰が「いいね」と返事をしてしまった。  宿の中庭で、たまたま同宿した客たちで始めた宴会は、夜半を過ぎ酒も尽きて、解散の頃合いだった。わたしは早く部屋に戻って二人きりになりたいのに、彰はいつもこうだ。若い女に色目を使われると、恋人のことなど忘れてしまう。むっとして黙っていると、 「俺も行くわ」  先ほどまで鼾をかいていた小太りの男が、ベン

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