東工大 大学院 都市・まちづくり系の研究室を受験する方向けの院試対策情報

初めまして。私は今年の夏に、東京工業大学大学院 建築学系 都市・環境学コース(午後の試験科目:都市・まちづくりを選択) と東京都立大学院 都市政策科学域を受験しました。どちらも第一志望の研究室から合格をいただき、東工大の大学院に進学することにしました。このnoteでは、都立大の院試対策にも触れながら、東工大の院試対策について書いていきます。




 

院試までのスケジュール

私は、2年生の9月末に就活を辞めて院進を決意しました。そこから11月までは何もせず、12月に入ってから勉強を始めました。

2022年12月   TOEICの勉強
2023年 1月末 TOEIC受験
2023年2月  何もしていない
2023年3月  進学したい研究室を探す
2023年4月  研究室訪問&訪問先の先生の著書を読む&都市計画の教科書を読む
2023年5月  同上
2023年6月  過去問解き始める&読書
2023年7月  過去問をひたすら解く&読書
2023年8月  過去問をひたすら解く&読書&事例集め

6月からは、1日5時間以上は勉強していたと思います。勉強の合間で、コンペの案を考えたり研究室の活動に参加したり友達と遊んだりしていました。周りに院試を受ける人がほとんどいなかったので心細かったですが、家に引きこもらず学校に行ったり適度に散歩したりしていたので、そこまで辛くなりませんでした。

志望研究室の選び方と研究室訪問について

志望研究室の選び方には、大きく分けて2パターンあると思います。1つ目は、進学したい大学院を先に決めて、その大学院にある研究室から選ぶパターンです。2つ目は、師事したい先生を探し、研究室を選ぶパターンです。私は後者だったので、自分に合いそうな先生を知り合いに紹介してもらったり、論文や本を読む中で気になった先生の研究室を調べ、メールでアポを取って研究室訪問をしていました。訪問準備として、先生が書かれた本と論文に一通り目を通し、研究室の志望理由を聞かれた際に自分のやりたい研究と先生が今までされてきた研究や活動を結び付けて説明できるようにしていました。
実際に研究室訪問をする際は、研究室の雰囲気を掴むためにゼミ見学もした方が良いと思います。また、外部院試組のゼミ生から過去問などの資料を大量にもらうことも重要です。自分から声を掛ければ、大抵の先輩は快く資料を共有してくれると思います。

TOEIC勉強方法

私は2ヶ月間集中して勉強し、前回から255点(520→775)UPしました。
TOEICは短期集中で点数を伸ばすことができるので、年明けから取り組んでも十分間に合うと思います。
まず、文法の基礎ができていない方は中学英語の参考書などを使い、基礎を固めることをオススメします。中学英語を完璧にしたら、次にこの教科書を使ってTOEIC向けの文法知識を入れましょう。

単語は、通学中や散歩中にひたすら聴き続け、覚えました。860点レベルまで覚えるのに、3~4ヶ月かかったと思います。この単語帳を使っていました。

あと、スタサプのアダプティブ講座を全てSSになるまでやり込みました。アダプティブ講座では、AIが自分に合った問題を出題してくれます。隙間時間にも進められるので、とてもオススメです。月額3278円です。

TOEICの公式が出している問題集も7〜9まで買って解きました。音読しながら勉強する材料としてもオススメです。

TOEICは、700点前後取れていれば問題ないと思います。5月までには目標の点数を取れるようにしましょう。

東工大午前科目(建築計画、都市・まちづくり、建築材料・施工、建築環境・設備工学)試験対策

午前の科目たちは、研究室訪問の際に先輩からもらった各科目のまとめノートと約20年分の過去問を使って勉強していました。過去問は、どの科目もほぼ満点になるまで繰り返し解いていました。
一応、科目ごとの試験対策方法も書いておきます。

◯建築計画
建築計画は、一番対策しやすかった科目です。過去問を解いてみて、書架やオフィスなどいくつかタイプ(型)があるものが出題されやすいように感じたので、先輩からもらった資料を使って要点をおさえて知識を入れました。また、他の科目の勉強をする中で得た知識が建築計画の問題で活かされることも多かったです。

◯都市・まちづくり
まず、この2冊は買った方が良いです。そして、それぞれ3周は読みましょう。前者は都立大の試験対策のために読んでいましたが、東工大を受ける方も読んだ方が良いと思います。巻末に載っている事例集が参考になります。



教科書を読むことと過去問を解くことを繰り返し、知識を入れていきます。
また、東工大は都市計画史上の出来事を時系列に並べる問題がよく出てくるので、自分で都市計画の年表をつくって勉強をすることをオススメします。

◯建築材料・施工
この科目は、とにかく過去問を解きまくって知識を入れましょう。
私は過去問20年分を10周以上しました。
また、試験内容はおおよそこの教科書から出ているので、マストバイです。各章末に問題がついているので、その問題も繰り返し解きましょう。

◯建築環境・設備工学
私はこの科目が一番苦手でした。過去問をひたすら解き、先輩からもらったまとめノートを使って勉強しました。前半の穴埋め問題は過去問から出題されることが多いので対策できましたが、後半の計算問題は手も足も出ませんでした。早々に見切りをつけ、10個くらい重要そうな公式を選び、試験前日に頭に詰め込みました。

東工大午後科目(都市・まちづくり)試験対策

正直、東工大の午後科目は、都立大の試験対策を応用して乗り切った部分が大きいです。都立大の試験では、都市・まちづくりの手法や現在の都市問題と解決方法を記述しなければいけなかったので、都市・まちづくりに関する本をたくさん読み、知識と自分なりの考えを蓄えました。ただ本をダラダラ読んでいても内容が入ってこないので、線をひきながらサラッと読むことを2回繰り返し、読んだ後は必ず自分で本の内容を説明できるか文章を書いて確認していました。院試のために約20冊ほど読んだので、その中でも特に東工大の午後科目対策につながりそうな本を6冊紹介します。

1. エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生態的多様性をつなぐデザイン
ランドルフ・T・へスター/著、土肥真人/訳
鹿島出版会

この本から毎年試験問題が出ているので、必ず読んだほうが良いです。とても分厚い本なので、私は1ヶ月ほどかけて少しずつ読み進めました。この本の内容を深く理解すれば、これからの都市を考えるために必要な視点をしっかり身につけることができます。また、個人の生き方にも良い影響を与える本です。

2. 景観用語事典 増補改訂第二版
篠原修 編
彰国社

最近はこの本の内容がそのまま試験に出ることはなくなってきていますが、景観を考えるために必要な知識と視点を身につけることができる本なので、読んだ方が良いです。

3. 都市の問診
饗庭 伸/著
鹿島出版会

人口減少時代の都市を考える上でとても参考になる一冊です。この本を読むと、都市の見え方が変わるのではないかと思います。饗庭先生が実際に取り組まれたことをベースに話が進んでいくので、まちづくりの具体的な事例と現場の様子を知ることもできます。ただし、都市計画について基本的な知識がない状態で読むと理解に苦しむと思うので、まずは前に挙げた都市計画の教科書2冊をしっかり理解してから読むことをオススメします。

4. 都心周縁コミュニティの再生術 既成市街地への臨床学的アプローチ
日本建築学会 編
学芸出版社

都心の近くにありながら高齢化などが原因となり物理的環境の更新から取り残されて空洞化する地域を、この本ではインナーコミュニティと呼んでおり、このインナーコミュニティを再生する方法が事例と共に書かれています(例えば、天王洲や東池袋など)。都市にある課題を解決して新たな価値を生み出した事例が載っているので、試験の中でこれからの都市やまちづくりについて問われたときにも、事例を挙げながら具体的に説明できるようになります。

5. はじめて学ぶ生物文化多様性
敷田麻実/湯本貴和/森重昌之・著
講談社

生物文化多様性とは、生物多様性が人間の文化の多様性にもつながっていると捉えることです。生物文化多様性の一例として、ホタルが生息する用水路をきっかけとした金沢のまちづくりの話が書かれていたり、逆に、電柱など人間のためにつくられた人工物が動物の棲家になる話なども書かれていたりします。私はこの本を読んで、生物文化多様性の視点から新たな都市の可能性と地道なまちづくりの活動を考えるようになりました。生物文化多様性は、最初に紹介したエコロジカル・デモクラシーの考え方とも通じるので、勉強の参考になると思います。

6. 図説 日本の都市問題
藤塚 吉浩
高柳 長直
古今書院

この本は、教科書のような形式で書かれています。多岐にわたる日本の都市問題について、問題が発生した経緯を含めてわかりやすく書かれています。経済、環境、ジェンダーなど様々な要因が都市の構造や歴史に影響していることを知ることができ、都市問題として表出している事柄は社会問題にも通ずることが理解できます。


上に挙げた本以外にも、新聞を読むことと、インターネットでまちづくりの事例を集めることがとても勉強になりました。オススメのサイトURLを以下に載せておきます。

また、家に引きこもって勉強するだけではなく、実際にまちづくり活動に参加したり、他校の都市計画の講義を受けてみたり、建築系の展示を見に行ったりすることも勉強かつ息抜きになりました。学びも得られる息抜きの方法を見つけられると、楽しく院試勉強を続けられると思います。

院試勉強を通して学んだこと

以下に、4つ箇条書きにします。

  • 本を読んで勉強する方法

前述した通り、本はダラダラ読まない方が良いです。記憶に残したい箇所や重要だと思った箇所に線を引きながら、文字を目で追うようにサラッと2、3回読みましょう。目次を見て、自分が欲しい知識を得られそうな章から先に読むこともオススメです。
また、集中力が切れたら、潔く本を読むことをやめて他のことをするか、読んだ部分に書いてあったことを自分で改めて文章や図にまとめてみた方が良いです。本を読んで知識をつけるときは、インプットとアウトプットを同時に行うことが肝心です。

  • 本から知識を得ることと同時に、知識と結びつく経験を積むことも重要

本で得た知識を真に理解するためには、自身の経験と結びつける必要があります。例えば、私が院試のために都市計画について基本的な知識を身につけたとき、教科書を読むと同時にまち歩きを通して理解しました。まちを歩いていて急に住宅街に入ったとき、そこは用途地域が切り替わるラインかもしれないと考えてみたり、広告物の色調に統一感があるエリアでは、景観計画について思い出してみたりしました。知識と経験が結びつくことにより、知識を呼び起こしやすくなり、経験と結びつけて説明することができるようになります。
また、特にまちづくりの勉強をする場合は、知識をつけたり本を読んだりする以上に現場に入る経験が重要です。成功例として描かれるまちづくりの事例の背景に、多くの方々の尽力と熱意があること、また、表面化していない深刻な問題があることや、携わる主体が増えるほど予定通りには行かなくなることなど、現実を知ることができます。私もまだまだ経験不足で大きなことは言えませんが、少しでも自分の目を通して現実を知る経験を積んだ方が良いと思います。

  • 信頼できる先輩や先生(または本や経験者)のアドバイスはとりあえず実行してみる

人からアドバイスをもらっておきながら実行したことがない人は多いのではないでしょうか。私も、院試勉強をするまでは基本的になんでも自己流でやってきたのですが、今回の院試勉強では確実に合格したかったため、初めて周囲の先輩や先生のアドバイスを取り入れて勉強してみました。その結果、自己流で模索するよりも効率良く勉強することができたので、やはりアドバイスを一度実行してみた上で自分に合う勉強スタイルをつくっていくべきだと思いました。これは院試勉強に限らず、あらゆる物事に通じる話だと思います。もし周りに信頼できる先輩や先生がいない場合は、本に書いてあることや、今私が書いているような経験者のnoteに書いてあることをまず実行してみましょう。

  • 姿勢を良くすると集中力が続く

勉強中、集中力が続かないことで悩んでいたのですが、その原因が自分の姿勢の悪さ(足を椅子に乗せたり机に顔を乗せていた)にあることに気がつきました。なぜ気がついたかと言うと、以前塾講のバイトをしていた時に、姿勢が悪い子は総じて成績が伸び悩む傾向にあることを思い出したからです。集中力を続けるためにはまず姿勢を良くしなければいけないと考えた私は、人目がある食卓か学校で勉強するようにしました。そうすると、自室で勉強するよりも集中力が続くようになりました。

このnoteが、皆様の参考になれば幸いです。応援しています。


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