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風水を信じますか?

 風水というのを聞いたことがある人は多いと思いますが、みなさんは信じますか。マレーシアの華人と付き合っていると少なからずこの風水は話題に出てくることが多い。僕も最初は「迷信」かと思っていましたが、滞在年数を重ねるたび信じるようになってきました。

 風水とはそもそも何なのでしょうか。Wikipediaでの説明はこうです。

古代中国の思想で、都市、住居、建物、墓などの位置の吉凶禍福を決定するために用いられてきた、「気の流れを物の位置で制御する」という思想。

 これだけだと不思議な思想に思え、実際に体験してみないとなかなかしっくり来ません。これは中国の思想なのですが、中国からマレーシアに流れてきた華人の間でも現在も綿々とこの思想を信じています。

 僕がはじめて風水のことを聞いたのはマレーシアの友人から。彼も風水自体をあまり信じていなかった華人の一人ですが、ある日、原因不明の病気にかかりました。複数の医師に診断してもらっても原因は突き止められず、それを彼が友人に話したところ「風水師を呼んだほうがいい」ということになったそうです。

 風水師のことを英語でFeng Shui Masterと言われていますが、要は風水をマスターした人。マレーシアにはかなり有名な風水師が何人もいます。そして、ある日、風水師が彼の家を訪れ、事情を話しました(注:もちろんお金は発生します。一回あたりの診断は日本円で30万円ぐらいだそうです)。風水師は彼の家の間取りと方角を逐一調べて、最終的にこう結論付けたそうです。

「全体的な家の間取りと方角は非常によろしい。しかし、キッチンにあるガスコンロの方角がよくない」

 と言ったそうです。彼のキッチンには小さなバルコニーがあり、風水師はそこにガスコンロを置くよう指示しました。彼はその通りにして、風水師は帰っていったのですが、あら不思議。その3日後に彼の病気は完全に治ったのだそうです。

 果たしてこの話を聞いて「まさか」と思う人は多いでしょう。僕もそう思いました。しかし、実際に自分でも風水体験をしてみると「まさか」が「やっぱりね」という感想に変わります。 

 僕は昔、フリーランスで仕事をしていたとき、ある月にまったく仕事が入ってこないときがありました。それまでは非常に忙しいほど仕事が舞い込んできたのですが、ぱたっとなくなったのです。

 そしたら、友人が「玄関に何か風通しを悪くしているものを置いていないか」と言われ、はたと思いました。ダンボールを置いていたのです。

 早速、玄関とリビングルームをつなぐ短い廊下にあったダンボールをどけると、あら不思議。翌日にはまた仕事がじゃんじゃか来たのです。これは偶然なのでしょうか。それはわかりません。しかし、やはりどうも家の中の気の流れを悪くしていると健康問題や金銭問題が発生するようなのです。ダンボールは外から入ってくる気の流れを止めてしまっていたのでしょう。

 この一件があってから、僕は風水を信じるようになってきました。やはりいちばん重要なのは方角。例えば、日本では北枕は縁起が悪いとされていますが、中国風水では北枕にして寝ると健康に良い、エネルギーが蓄えられると信じられているようです。室内の色や家具などの置き場所というのも重要です。どっぷりはまるほどではないのですが、僕は方角や物の置き場所には気をつけるようになりました。

 玄関から入って左下の床には貯金箱など金目のものを置いておくとお金が入ってくるとも前に友人から言われて、いまもそうしています。たしかにお金は入ってきたように思えます。また、僕は枕元にはひょうたんを置いているのですが、これは健康維持のため。ひょうたんは悪い気を吸ってくれると信じられています。枕元だけでなく、かばんなどにも小さいのを忍ばせておくといつも悪い気を除去してくれるそうです。

 また、トイレの便器は毎日掃除をしなくてはいけないとか、家の中心部にはコップに水を入れて置いておくとかいったこともやっています。考えてみると、昔の日本の家には神棚があり、そこに置いていた水を毎日取り替えていましたが、あれも風水の一種なのではないか。日本ではそういった風習がだんだんと無くなってきていますが、それも実は風水と関連があったのではないかとも思っています。

 いずれにしても、信じる信じないは本人次第。この記事は別段風水を広めるためではないですが、華人がいるところでは風水で物事が動いていることも多く、華人と付き合っていくとある程度の知識があるといろんな話もできるかと思います。シンガポールや香港は風水でできた街とも言われ、建物の向きや位置、高さはいちいち風水に則っているようです。金融都市ともなったこの2つは、風水で作られたから栄えたのかなとも感じられます。こういった風水の観点から華人を見ていくと、面白いことにも気づくようになります。

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