批評家になるということ 江藤淳『小林秀雄』
先ごろ、作家の高橋源一郎氏と話をする機会があった。それは、あるトークショーに私が行き、その質疑応答で私が質問をしたからである。そのやりとりについては、別の機会に書きたいと思う。また会の終了後もわずかながらお話させていただいた。
高橋氏がそこでした江藤淳『小林秀雄』についての評が印象にのこっている。この批評があまりにも「エモ」すぎるという評が。つまり、『小林秀雄』はいかにも抒情的なーー作者江藤淳が明朗と歌っているような批評ということである。また作者は時には盲目になり、読者の