見出し画像

本を5分間読んで10分でアウトプット。名付けて「1%読書のススメ。その1」


『晴れたらいいね』藤岡陽子・著。光文社文庫。
115ページから。
戦時中、マニラで従軍看護婦として働く主人公紗穂。
同僚の北川梅がみんなに、本土から送られてきた、弟が作ったクッキーを持ってきてくれて、みんなで食べ、和んでいるシーン。

そして、その北川梅の口から兵藤婦長の体調不良を告白された。しかし、兵藤婦長の上官にあたる山際衛生兵はとても厳しい人で、病人を看護婦から出すことなど断じて許さない人。厳しい物の言い方をする人だった。

だから体調が悪くても言い出せないと言う状況だった。場合によっては衛生兵が婦長をビンタすることもあると言う。

この辺のところを読んで、やはり戦争当時の日本の管理体制というか、組織的ルールと言うのは、こういう野蛮なものだったんだろうなと想像された。

そして主人公の紗穂は「ヘイセイでは上司にビンタされることなんて普通はありえない。そんなことがもしあったら大問題になっちゃうよ」と言い返している。

しかし、平成の日本では体罰はないが、パワハラはある。70年たってもそういう上下関係の野蛮な雰囲気は変わってないのだろうか、と思ったらなんだか悲しくなった。

さらに、自分の働いていた時のことを思い起こした。
部下に対する自分の態度を顧みると、ビンタもしてないし、ひどいパワハラはしていないつもりだ。しかし、怒鳴った事はときどきあったと思う。
よく考えれば、あれは部下からすればパワハラになったのかもしれない。

私は店の売り上げを上げることだけを考え、部下を管理していたと思う。 
必死だった。オーナー制度と言って自分で売り上げを作らないとお金は入ってこない制度だったので、ほんとにほんとに必死だった。
我が家には、お金を大量に使ってくれる素敵なシャネラーがいたので、とにかく売上が必要だった。
借金に追われ続けていたので、どうしても売り上げを落とすわけにはいかず、部下に対して容赦のない態度を取っていたかもしれない。

そんな性格を持つ自分がこの時代に生まれ、上官として戦地に送り込まれたら、もしかしたらこの山際衛生兵と同じことをしていたかもしれない。

しばらく、気分が重たくなってしまった。

⭐️「1%読書のススメ」とは

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?