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メモの魔力と鉄道員(ぽっぽや)〜連想ゲームみたいな話その2。


朝NHKのテレビ(小さな旅)を見ていたら(実際はモーニングサラダを作っているその背中でテレビを聴いているのだが)北海道宗谷線にある無人駅に1人で勤める駅員さんの話をやっていた。すぐに浅田次郎の【鉄道員(ぽっぽや)】を思い出した。【鉄道員】も廃線になる駅の駅長さんの孤独な物語だった。

その物語を読んで、しばらく経ってのことでした。実は【鉄道員】は浅田次郎の人生の実話を基にして書かれていると浅田次郎自身がどこかで書いていた。(どこに書かれていたかまたはインタビューに答えてしゃべったものかは定かでは無い)
浅田次郎は子どもの頃から小説家になりたいと言う強い願望があった。しかしなかなか芽が出ず39歳のときにやっとメジャーデビューとなった。その売れない時代の浅田次郎の姿と家族の話を、この【鉄道員】に投影して物語を作ったと言っていた。

【メモの魔力】の前田裕二の話を思い出した。
この本で、日々の生活で起きたことや気がついたことをその場でどんどんメモをしていく、と言うメモ術を披露している。
本によれば、目の前に起きた具体的な出来事を自分の中で抽象化させる。その抽象化させたものを他の具体的な出来事に当てはめることによって、様々な問題解決ができると言う。
つまり日常からヒントを得て自分の中で咀嚼と変換をして抽象化し、それをまた新たな仕事や人生に活かす、だから普段からメモを取りまくっているんです、と言うようなことを書いていた。

この浅田さんと前田さんの話をミックスして考えてみた。
自分の人生の出来事を、自分の中でしっかりとプールしておく。
そしてそれを抽象化して考えをまとめ、抽象化してストックしておく。
さらに抽象化した考えを新たに起きた具体的な人生の問題やアクシデントに応用する。
浅田さんの場合は自分のネタを物語に変換をして小説を作り上げ、前田さんの場合は日々の出来事からメモで拾いあげたことを抽象化し、自分のビジネスに活かしている。

という事は日々の我々に起きている出来事を自分の中でしっかり咀嚼しておくことが大切であり(チコちゃん風に言うと、ぼーっと生きてんじゃねぇよ(笑))
そう考えれば日常の全ての出来事がとても貴重でエキサイティングなことに感じられるのではなかろうか。

朝見たテレビのワンシーンからピピッとアンテナがたち、ここまで連想してしまいました。

追伸・・・
浅田次郎さんの【鉄道員(ぽっぽや)】は、かつて100万部以上売れた大ベストセラーです。その二、三年後、BOOK・OFFの棚にこの本のハードカバーがダーっと10冊ぐらい並んでいるのをよく見かけました。見ていてウンザリした記憶があります。
そもそもベストセラーは読まない方なので、これを見てなおさら読む気が失せました。
その一年後ぐらいに私は古本屋を開業しました。ここでもこの【鉄道員(ぽっぽや)】は嫌と言うほど集まってきました。もう、見るのもウンザリと言う感じでした。そんなおり、江戸川区篠崎にあるユニークな本屋「読書のすすめ」の店内で、この本のハードカバーが10冊平積みされているのを見かけました。
えっ!なにこれ!!
私は驚きました。
なぜなら、
この時はすでに文庫本も出回っていたからです。
その状況で、ハードカバーをドーンって10冊積む。
ありえない。
その意図が知りたくて、店主に尋ねました。
「あの、この本はすでに100万部以上売れている本ですし、文庫化もされていますよね。それなのになぜ?」と。
すると、店主は言いました。
「まだ、キュウセンキュウヒャクマンニンニウレルカノウセイガアリマスヨネ。すごくいい本なんです。だから読んで欲しいんですよ」と。
私は、返す言葉がなかった。
そして、そんなにすごい本なんだ、
と思い、自分の店にあったたくさんの【鉄道員(ぽっぽや)】の中から一番状態の悪いものを選んで、読んでみました。
実は私,この本は長編だと思い込んでいました。
短編集でした。しかも、浅田次郎の全てが入っている珠玉の短編集でした。どの短編も甲乙付け難いほどの名作ばかりでした。
何度も泣かされました。

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