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人生に疲れた時は『ドライブ・マイ・カー』を観よう

今週土曜日、ようやくドライブマイカーを観てきました。
村上春樹の短編小説が原作のこの作品。
ハルキストも、そうでない人も、誰もが追い求めていた、村上春樹作品の美しい世界観を、完全に体現している作品だと感じました。
3時間という長編でしたが、あっという間でした。

見どころ

①美しい映像とサウンド

例えば、車のエンジンをかける音、タバコに火をつける音、それら日常の何気ない「音」がとても美しく聞こえました。また、その映像美にも注目です。西島秀俊演じる家福が運転している姿を、後部座席から写すシーンが何度かあります。このシーンは美しすぎて、何時間でも観れます。
この映像とサウンドは、映画館で味わうべきだと思います。

②様々な言語で繰り広げられる演劇


主人公の家福は脚本作家です。彼の演劇は、手話も含め、様々な言語を使って繰り広げられます。
「なぜ家福の演劇スタイルは他言語なのか?」
と考えてみました。
映画のテーマとともに考えてみると、

「この世界は、言葉では理解できない謎めいたもので満ちている。でも、本質はいつだってそこにあって、それを知ろうとすることが大事なのだ」

ということを表しているのでは、と私は感じました。
家福の妻は、突然くも膜下出血で倒れてしまいます。その後、彼は妻が隠していた秘密や、悲しい感情をどこかに押し込めてしまった自分に気づきます。
そんなものが自分の中でグチャグチャになって、言葉ではどうしようも表せない思いが募っていく様子が、家福から感じ取ることができました。
しかし、本質は、
「嘘や、言葉にならない感情も含めて、その人はその人であるということ」
家福が作中でいうセリフから、この多言語劇はそれを抽象化したものではないか、と解釈しました。
皆さんの解釈も聞いてみたいです!

③謎のドライバー”みさき”の存在


妻の死後、家福は演劇祭で、広島に向かいます。そこで、みさきという、自分の専属ドライバーを務めることになる女性と出会います。
最初は、思い出が詰まった大切な自分の車を運転させることに躊躇っていた家福ですが、彼女の運転のうまさに驚きます。
「なぜそんなに運転が上手いんだ?」
と、家福は彼女に尋ねます。
そこで語られる彼女の過去は悲しすぎるものでした。
二人の本当のドライブは、ここから始まります。車中での二人の会話。そこから明らかになる二人の壮絶な境遇と、それでも前に進み続けるという二人の覚悟に目が離せません。そして、最後、あなたはタイトルの意味を知るのです…!

まとめ

この映像美とサウンドは、ぜひ映画館で楽しんでいただきたいです。
ストーリーももちろん絶品。
「人生に価値を感じない」
「生きていたって無駄だ」
コロナ禍でそう感じている人は少なくないはず。私もこのコロナ禍で、正直精神的に安定した生活を送れているとは感じていません。
そんなとき、この作品に出会いました。そしてこの作品から、人生という残酷な劇場で、踏ん張る力をもらいました。生きるための小さな光を、この作品から感じることができました。
「人生に疲れた」
そんな方はぜひ一度、会社を休んで、学校を休んで、全部放り投げて、映画館に足を運んでみてください。


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