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水着に着替え、三峰結華は一歩先へと進んだ

注釈)
当エントリでは、【く ら く ら】及び三峰結華の既存カードへのネタバレを含みます。ネタバレを了承できる方のみの閲覧をよろしくお願いします。
また、考察内容も深読み考察となっております。その点もご了承ください。



 『【く ら く ら】三峰結華』とは、2020年7月31日に実装された三峰結華4周目のpSSRカードであり、初の水着衣装カードとなります。

また、三峰3枚目のpSSRとなる【NOT≠EQUAL】は2019年8月19日の実装であったため、およそ1年ぶりの新カード実装となりました。

 (なお、筆者はしばらくログイン勢であったため【NOT≠EQUAL】を所持しておりません。コミュ内容は動画等で履修しました)

 ここでは、これまでに多くの怪文書と呼ばれる考察を投稿されてきた先人に倣い、コミュの内容やコミュタイトルについて、個人的かつややこじつけもある考察を載せていきたいと思います。


・カードタイトル

 まず、注目したいのは【く ら く ら】というカード名。

 【それなら目をつぶりましょう】【お願い、ただの少女がいい】【等身大のレイニーデイ】【ハロー、私の「いつも通り」】【おはようと日向に手を振る】といったように、やや長い言い回しをする傾向がある三峰のカード名にしては比較的シンプルなものになっていっています。

 ただ、【くらくら】ではなく、本カードではスペースを入れた【く ら く ら】。こうした表現はシンプルさだけで終わらせない、情感を含ませようとする意図が感じられ、三峰らしさと受け取ることができます。

 次は「くらくら」という言葉に目を向けてみましょう。

くら くら [1]
( 副 ) スル
① 目まいがして、体が倒れそうになるさま。 「頭が-する」
② 湯などが煮えたぎるさま。ぐらぐら。 「湯を-とかへらかいて/史記抄 18」
③ 怒り・嫉妬などのため、心の中がたぎるさま。 「宵から-燃え返るを、姑(しゆうとめ)が婿の悋気(りんき)と浮名がいやさに笑顔つくつて/浄瑠璃・鑓の権三 上」
https://www.weblio.jp/content/%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%8F%E3%82%89 より引用

 一般的に「くらくらーする」という使い方をされる言葉です。今回の意味では、①の「目まいがする」というところに当てはまるでしょう。目まいも『目眩』と書き、コミュタイトルにもなっている『眩む』という単語へ繋がります。

 ではこのカードでは何に「くらくら」するのか、と言われると、水着カードであることから「夏」あたりを指すのではないかと予想されます。

 それぞれの内容については後述しますが、カードコミュ1が『眩むほど』、Trueコミュが『眩んでも』となっていることから、その頭を取って「くらーくら」となっているのではないかとも考えられます。

 また、カードで描かれるシーンは、今回のPと一緒に過ごす一連の話における(夏の)始まりから(夏の)終わりまでとなっており、一連のコミュを統括した「(Pと過ごす)ひと夏の思い出」もしくは「(Pと過ごした)くらくらするような夏の思い出」と受け取るのも可能ではないでしょうか。


 次からは各コミュを掘り下げていきたいと思います。

・『眩むほど』

 始まりのコミュとなります。日差しが気になる三峰が「日焼け止めを背中に塗って」とPへ言い出すところから始まります。

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 もちろんこの発言は冗談で(とは言え、予防線を貼るのが上手い三峰が自分から地雷を放り投げるわけもないので、素直に受け止められてしまうことも織り込み済みと思われます。こうした誘い受け的な話の振り方はコミュ4でも現れています)、それを分かっているPも「じゃあ塗ってやるから髪をあげてくれ」と言い返します。

 ここで主に描かれるのは「Pと三峰が理解し合っている」ところであり、ぶつかり合い新たな信頼関係を得るに至った三峰のG.R.A.D.を終えているPには、大きく納得できる関係性かと予想されます。

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 特に自分の荷物の中に塩飴があるからと「Pに自分の荷物を触らせる」のは、三峰に限らず一般的にも相手を信頼をしていないと難しい行為で、かなり距離感を詰めてきていると受け取ることができます。

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 そうした互いが互いに理解し合っているようなやり取りを経て、三峰は水着の写真撮影に向かい、そこでコミュは閉じられます。【NOT≠EQUAL】のような不穏さや明確な問題提起のない、夏の天候のようにスカッとしたシーン展開でした。身構えていたPも多くいたでしょうし、意表を突かれたのではないでしょうか。

 では、ここでコミュタイトルである『眩むほど』に目を向けましょう。

 単語として分割すると『眩む』『ほど』に分けられます。

 『眩む』で意味を調べると、以下のような説明が出てきます。


㋐ 強い光を突然受けて、目が見えなくなる。《眩》「対向車のヘッドライトに目が-・む」
㋑ 目まいがする。目がくらくらする。「断崖(だんがい)をのぞくと目が-・みそうだ」「空腹のあまり目が-・む」
㋒ 強く心をそそるものを前にして、正常な判断力を失う。「大金に目が-・む」「欲に目が-・む」
② 暗くなる。 《暗・晦》 「電灯の光の遽(にわか)に-・むに驚きて/金色夜叉 紅葉」 「立ちしきり霧のみなとか降り-・む/檜垣嫗集」
③ 暗くする。くらます。 「其郎等を召すに、跡を-・みて失せぬ/十訓 4」
https://www.weblio.jp/content/%E7%9C%A9%E3%82%80 より引用

 『眩む』は「目が―眩む」のように使われるのが多くみられます。今回のカード・コミュにおいても、眩いばかりの夏が明確に描写されているため、①の意味が当てはまるでしょう。㋐~㋒においては、全体的に近しいニュアンスを含んでいると言えるでしょう。

ほど
( 副助 )
〔名詞「ほど(程)」から。中世以降の語〕
体言および体言的なもの、活用語の連体形などに付く。
① 多く数量を表す語や指示代名詞などに付いて、おおよその分量・程度を表す。 「あと五百万-あれば、土地が買えるのだが」 「これ-言うのにわからないのか」
② ある特徴的な事柄をあげて、それにより動作・状態の程度を表す。 「かわいそうな-、しょげかえっている」 「予算総額からいえば、そんな費用などなに-のこともない」 「泣きたい-腹が立つ」
③ (下に打ち消しの語を伴って)程度を比べる基準を表す。 「今年は、いつも-暑くはない」 「病気見舞い-うれしいものはない」
④ (多く「…するほどに」「…ば…ほど」の形で用いられて)一方の程度が高まるに比例して、他方も高まるという意を表す。…するにつれてますます。 「火事は、発見が早ければ早い-、消しとめられる」 「見れば見る-美人だ」 「地位が高い-、腰が低いものだ」
https://www.weblio.jp/content/%E3%81%BB%E3%81%A9 より引用

 『ほど』は上記のもの以外にもいくつか意味がありますが、今回は副助詞としてとらえるのが適切でしょう。

 意味合いとしては②の「ある特徴的な事柄をあげて、それにより動作・状態の程度を表す」というものが最も近いと思われます。この場合、動作・状態の程度というのが『眩む』の部分に当たります。特徴的な事柄に関しては、省略されています。

 では、何が省略されているのかと考えると、今回のカードが水着衣装であること、ここからコミュを通して描かれる三峰とPの“夏”が始まることから『夏』が省略されていると考えられます。【く ら く ら】のカードタイトルへの考察と同じ意味合いでしょう。

 また、「眩む」の部分でも「何がー眩む」のかも省略されていますが、こちらは素直に「目がー眩む」と受け取っていいでしょう。

 つまり、『目が眩むほどの夏』という意味になります。

 一連のコミュの流れや、ガシャ画面における「三峰結華の夏は、あなたとの思い出で染まっておりますですよー」と書かれていることを踏まえ、更に引いて考えるならば、『目が眩むほどのPと過ごす夏』とも言い換えられます。

 では、なぜ『Pと過ごす夏』に『目が眩む』のか

 これは単純に夏の眩さに圧倒されていると受け取ることもできます。だが、三峰のバックグラウンドを考えると――深読みではありますが――もう一つ踏み込んで読み取ることができるのではないでしょうか。

 三峰はPと出会った雨の日を特に大事にしており、初期pSRである【カラフルメタモルフォーゼ】のTrueコミュタイトルでは『あの日、幸せが約束されたの』と表するほどです。また、以降のカードでもたびたび雨のモチーフやシチュエーションが現れます。三峰というアイドルを語る上で、『雨』は決して外すことのできないキーワードなのです。

 しかし、今回の【く ら く ら】においては、そうした『雨』は現れません

 雨と言えば、梅雨であり、その梅雨が明けることで夏が訪れます。

 そう。水着を着て、夏の暑い日差しを受けるような日々を迎えているということは、『雨』の季節が終わっていることの表れなのです。

 それはつまり、夏の訪れとは、Pを出会った『あの日』の運命に囚われていた三峰が抜け出した、もしくは一歩進んだ先の世界の訪れであり、『眩むほど』の世界だったのではないでしょうか。

 【NOT≠EQUAL】でアイドル”三峰結華”と少女”三峰結華”を考え、G.R.A.D.でアイドル”三峰結華”の一歩先へ進んだ。そうした積み重ねと、その中でPとの結んだ新たな関係性。見えてくる『雨』の季節を超えた、新たな世界。

 これまで肌の露出を控えてきた三峰が大胆な水着に身を包み、『眩むほど』新たな世界である夏に踏み出す。

 そう。【く ら く ら】は三峰が新たなステージへと一歩踏み出したカードであり、新たな物語なのです。

 実際、コミュの中では明確なまでの三峰結華の成長が感じられます。【く ら く ら】のコミュはある意味、この最初のコミュで完成されているとも言えるでしょう。


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・『――くん。……ううん、――さん』**

 【く ら く ら】2つ目コミュですが、まず目に入るのはコミュタイトルです。

 そして三峰Pであれば連想するのがpSRである【お願い、ただの少女がいい】でしょう。

 【お願い、ただの少女がいい】のカードコミュを掻い摘んで解説しますと、「三峰が推しているアイドルのライブチケットをPが入手し、Pと三峰の二人で観に行く」というものです。

 ただ、ここで注釈を入れなければいけないのが、三峰がアイドル”三峰結華”としてライブを見に行くのではなく、ただの“三峰結華”としてライブに行きたい、と言い出すことです。プライベートの“ただの少女三峰結華”として行くと三峰はPへ提案するわけです。

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 Pもまた、アイドルが見に来ているとなれば無用な騒ぎを起こしかねないと考え、受け入れます。そして、その流れとして、三峰はPのことをを「Pたん」や「プロデューサー」と呼ぶのではなく「――さん」と本名で呼ぶのである。

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 これは、【NOT≠EQUAL】の大いなるテーマであるところの『アイドルと個人』に大きく関わる話でもあります。

 三峰はこうしたラインを明確に設けており、Pをからかうような仕草を見せてきたものの、その線引きに準じて踏み込んではきませんでした。

 ただ、【NOT≠EQUAL】では、自分の感情がその線引きを超えかねないと感じ、大きく悩んでしまいます。その中で、三峰は自分をパーソナルの女の子として見られたくないと感じ、「結華と呼ばないで」とPへお願いすらもしてしまいます。

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 【お願い、ただの少女がいい】ではこうした名前呼びを気に入っている風の発言もしていたにも関わらず、です。

 だが、結果的に三峰は「Pは自分をアイドルとして見ている」ことに安心し、三峰は自己の想いとは別に――線引きし――自らが理想とするアイドルを目指すことを決意する。といったものでした。

 そうしたものを経た三峰が、この『――くん。……ううん、――さん』では口に出しこそせずとも、Pと「修学旅行みたいだ」と話をし、アイドルとPとの関係ではなく、個人と個人、男性と少女、という関係性をPと一緒に思い描くのです。

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 ここに、三峰が未だ秘めた想いを感じることができるのではないでしょいうか。

 修学旅行というのものも、学校生活においては授業の一環でありながら、個人のプライベートな部分まで踏み込む非日常のイベントだったわけです。アイドル活動の中ではあるものの、プライベートな感覚を味わっていると示しているわけです。

 また、会話で「みんな部屋で盛り上がっちゃってる」と出てきます。

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 これがアンティーカの話であることは間違いないでしょう。ただ、三峰以外のメンバーが姿を見せることはありません。

 これは、Pアイドルカードの性質と仕様もありますが、この場にいるのは「アンティーカの三峰結華」としているのではなく、「ただの個人の三峰結華」と切り離していると受け取ることができるのではないでしょうか。

 また、コミュタイトルで「――くん」から「――さん」と言い直している(実際のコミュではそう発言していないので、三峰の心の内でのことだと思われます)のは、幼かった子供の頃の話ではなく、大人になってしまった今の自分たちの話なのだと示しているからだと思われます。

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 ひと通り修学旅行についての話をして、三峰と別れます。ここで別れを切り出すのは三峰ですが、台詞はどこかぎこちなく、名残惜しさが残るようなニュアンスになっています。
(余談ですが、成海瑠奈さんの演技にわたしはここで悶えました)

 そのあとに選択肢が挿入され、部屋へと戻る三峰へPからの差し入れが渡されます。ここで出る選択肢や、そのあとの会話では特筆すべき点はなく、Pと三峰がここでも理解し合っているのだと感じさせられるものとなっています。

 内容全体を通して見れば、大きな起伏があるわけではありませんが、今回の【く ら く ら】で描かれるコミュにおいては二つ目であり、起承転結の承の部分を担っているとも考えられるため、安定した内容だったように感じられます。

 敢えて抜き出すとするならば、『――くん。……ううん、――さん』のコミュでは、【NOT≠EQUAL】で大きな線引きをしたはずの、「三峰個人(ひとりの少女)としての感情」が再び大きく描かれていると考えられるのではないでしょうか。





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