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熱狂のメカニズム

ツエーゲン金沢はJ2リーグ第26節でジュビロ磐田に敗北した。選手の技術の差をこれでもかと見せられたものの、後半ロスタイムまでは1-1で食い下がるものの、最後はPKを取られ、敗北した。この試合、ツエーゲン金沢の守備陣はよく頑張ったと言える。最後まで食らいつき、体を投げ出してシュートブロック、キーパーの後藤もスーパーセーブを連発した。

自分はこの試合、悔しい敗戦にこそなってしまったが、2018年のアウェー千葉戦、2019年のアウェー新潟戦に並ぶくらいに熱狂した。

もちろん最近自分がサッカーで熱狂することから離れていたことも否めない。しかし、今回はそれだけで済ませずに、その理由を考えていきたい。

まず、定義として、攻め込まれている時の状態や相手の強さやアウェーで不安な気持ちをマイナスの緊張、攻めている時の状態や相手が弱かったりホームでモチベーションが高かったりなどの色々な要因で余裕がある気持ちをプラスの緊張とする。得点などで喜ぶことや厳しいシーンを脱したことによる安堵をプラスの解放、失点や凡ミスでゴールが入らないことをマイナスの解放とする。そして、プラスの解放の振れ幅が大きくなった時を熱狂、マイナスの振れ幅が大きくなった時を落胆とする。

金沢vs磐田にこの図式を当てはめてみる。磐田は現在J2首位で絶好調尚且つ資金力もある。対する金沢は直近ほとんど勝てておらず、順位も資金力も低い。試合が始まる前に既にかなりのマイナスの緊張があった。しかも、試合が始まってみれば、前半はほぼワンサイドゲームと言えるレベルで押し込まれていた。サポーターの中にはかなり強いマイナスの緊張がかかっていたであろう。しかし、後半に入ると、金沢はカウンターでチャンスを伺えるようになった。この時、金沢サポーターの心理としては、初めて緊張が防戦一方から攻撃の手段を得たことによりゴールを期待するプラスのプレッシャーがかかるようになり、熱狂とまではいかないものの、心躍るような感じになったであろう。そして、カウンターが失敗してまたピンチになり、強いマイナスのプレッシャーが押し寄せる。このような状況がしばらく続き、状況にもよるが、金沢のカウンターでの期待感がだんだん薄れ、プラスのプレッシャーのかかり方が弱くなる。そういう状況で生まれたのが瀬沼のゴールである。自陣から長いボールを瀬沼が裏に抜け出し点を決めた。裏に抜け出したシーンまでは、これまでの拙攻でプラスのプレッシャーがもうほとんどかかっていない状況であった。更に、アウェー磐田戦で世界中に晒されるレベルのシュートミスをした瀬沼であったため、期待される交代直後であったがプラスのプレッシャーはそこまでかかっていなかった。しかし、その次のプレーで瀬沼が点を決めたことにより、あまり期待されていなかった振れ幅が点が決まることで大きく上に振れ、そのことでサポーターは熱狂した。全体的にマイナスのプレッシャーが強くのしかかってたこの試合でこのような先制点は特に振れ幅が大きかったであろう。その数分後に失点をするが、サポーターの中にはもしかしたらまた一点目と同様にカウンターで点が取れるのではないかという考えがある。その考えがあることにより、0-0の常に攻められ続けていた時ではあんまり期待されていなかったカウンターも1-1の今では大きなプラスのプレッシャーがかかる。そのことにより、かなりピンチで大きなマイナスのプレッシャーをかけられていたとしても、クリアをして前線の選手に渡るだけでもゴールへの期待から大きなプラスのプレッシャーがかかる。このただ前線にボールが渡っただけではあるがマイナスからプラスへの振れ幅はゴールしていないにもかかわらずかなり大きく、それだけで熱狂に近いものを感じる。1-1になってからはその大きなマイナスからプラスに振れることが多く、とても熱狂できる試合だったと自分は感じる。最後に失点をし、落胆したが、試合中の熱狂することは非日常で自分はとても楽しかった。

この熱狂することの理論から、自分は、いかに大きく熱狂出来るかを考えた。それは、弱小チームを応援することである。弱小チームを応援することで、常に相手は自分よりも上のチームでマイナスのプレッシャーがかかっている。試合内容も攻められ続けてマイナスのプレッシャーもかかるだろう。このような状況で失点してしまっても、マイナスの状況から下に振れただけで落胆はそこまで大きくない。しかし、強いマイナスのプレッシャーがかかった状態で上に振れることがあれば、簡単に、激しく熱狂できる。もちろん強いチームならば熱狂はそこまで激しくはない、そのかわり、落胆する回数も少ない。しかし、これは常に強いチームの話であり、一強リーグとは程遠いJリーグにそのようなチームは存在しない。一度強いチームになってしまうと、一つの失点、一つの負けによる落胆はとても大きくなる。もしも、調子の悪いシーズンがあり、順位を前年から大きく落とした場合は、シーズンを通して常に大きく落胆しっぱなしである。その点、弱小チームならば、常にマイナスのプレッシャーがかかり、負けることは多くても、大きく落胆することは少ない。一つ勝てば大きな熱狂が待っている。弱小チームだからこそ、落胆によるダメージは少ないのに、より大きな熱狂を得ることができる。

もちろん弱小クラブもリーグによって沢山ある。J1の弱小クラブはJ2の競合クラブであり、それより下のカテゴリーにも同じことが言える。自分の考えとしては、J2が一番適している考える。J2は日程が過密で、地方に分散している。つまり、全体的に選手に疲労が溜まりやすい。そのことでプレーの質が落ちたり、ターンオーバーが起きたりすることで、弱小クラブが強豪クラブに勝つことがより起こりやすい。さらにイベントとして、降格があり、降格してしまえば、大きな落胆である。しかし、残留出来れば、それだけで大きな熱狂を味わうことができる。さらに、J2に落ちてくるのがトップリーグであるJ1からのチームであるため、格式のあるクラブや有名な選手が来やすい。そのため、比較的マイナスのプレッシャーがかかりやすい環境にある。

以上を一言でまとめます。

熱狂したいならJ2下位を応援しろ


以上、熱狂のメカニズムを自分なりに解析し、その結果における一番効率の良い熱狂が得られるクラブを分析しました。本当は表を使いたかったんですが、そんな技術ありませんでした。




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