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バカみたいと思われても

取材でお話を聞かせていただくことが多い。今は、ホームページやツイッター、プレスリリース、著書や他社のインタビュー・・・取材前の情報が多い。もちろんすべてに目を通し、入念に準備をする。

そして、取材。私は、著書などに書いてあったことをあえて聞く。重要なことほどそうする。

丁寧に説明してくれる方もいるし、「このライターバカみたい」と思う方もいる。「あそこに書きましたよ」と言われることもある。たしかに、すでに書かれたものを少し調整すれば形にはなる。でも。

いいや、バカみたいと思われても。

著書や他社が書いたことをそのまま使えないのはもちろんだが、すでに誰かが受け取って、その人を通して、形にしたものではなく、目の前の人から私が受け取ったものを読む人へ届けたいから。

同じ事柄でもどんな表情で温度でその人が伝えようとしているか、それも大切だから。

私はどんなときもわりと希望を持っていることが多い。肉体的に限界でも精神的に追い詰められていても、どこかで、自分にも期待するし、人にも期待する。もっといい人になりたいと思うし、相手もいい人なのかもしれないと思っている。

今はいい人というのは、バカと同義みたいに言う人もいる。確かに、相手の良い所を探そうと時間をかけたり、切り捨てたりしないから、スカッと頭が切れるようには見えない。死ぬほど損をすることもある。でも。

いいや。バカみたいと思われても。

私にとって、よくありたいというのは、人間でありたいということ。

昔、「妖怪人間ベム」というアニメがあった。妖怪人間は、「早く人間になりたい」と言った。でも、優しい妖怪たちはいつも助けた人間たちに裏切られひどい目に合う。

私には妖怪人間たちを裏切る人間が妖怪に見えた。人間になりたいと願う妖怪ベムは、すでに人間に見えた。人に生まれても人間になれるとは限らない。私も早く人間になりたい。

だから、いいや。

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