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mother’s history No.38 シェクスピアはすばらしい。なによりも好きだ。

すっかり、シェクスピアのファンになってしまった。
寝る間も惜しんで、本を、小説をよみ続けるこの執念。
大したものだ。
勉強も、これくらい入れ込んだらすばらしいのに。
と、実感する。
ただ、習慣か、ひょっとして才能かと今にして思う。


11月2日
 いつも日記をつけようと心に決めるが、三日と続きません。
 学校で、「アンネの日記」を少し読んだ。アンネは日記を「ケティ」という友達としている。彼女は、自分は本当の友達、本当の心をわって話せる友達をもっていない。だから、ケティになんでもぶつけるように、友達になったと言う。私は、アンネと同じ気持ちになった。私も、彼女に名前を付けましょう。
 私は、「ジュディ」か「エプリル」と名をつけたいの。だって、私は二人とも大好きな「足長おじさん」のジュディと、「サーカスの少女」のエプリルどちらにしようか随分迷ったの。でも、気まぐれな私にとってやっぱり気まぐれで、朗らかな貴女エプリル、お友達になってね。
 今日ねエプリル、兄貴をおこらしてしまったのよ。それは朝のこと、私は髪をといていたの、するとお兄さんたら「また、ぼくの靴の上で髪といている」と言ったの。だから、私は「私の靴の上やが、兄ちゃんの靴の上でなんかしていない」と、反抗したら大きなげんこつが飛んできたの。
 エプリル、貴女はこれを聞いてどう思って? 口ごたえした私が悪いと思って? そうなの、私も私が悪いと思ったわ。だって、げんこつもらっても、ちっとも腹が立たなかったもの。それに、男の人って一般に短気なのね。
 「エプリル」エプリルって、いい名前ね。芳美と同じくらいにいい名前だわ。これから仲良くしてね。

11月3日
 エプリル、私は本当にすばらしい劇を見たわ。
シェクスピアは、何とすばらしいんでしょう。シェクスピアの「お気に召すまま」は、私を本当に夢中にしたもの。一度、本当の劇で見たいわ‥‥‥。    美しいロザリントの愛、エプリル貴女にも見せたいわ。
 シェクスピアが、息抜きに書いたのだろうと言われている作品なのに、本当にすばらしかった。美しい愛の姿‥‥‥を描くシェクスピア。「ロミオとジュリエット」「ベニスの商人」「ハムレット」「リア王」「オセロ」何とすばらしい作品を生んだのだろう。何とすばらしい才能を持っているのだろう‥‥‥。
 エプリル! 私はこの日記を一生誰にも見せないで持って歩くつもりよ。だって、私の心の動きだもの。自分の心の動きなんて、人は知らなくってもいいことだわね。

11月4日
 エプリル、今何時だと思う? 驚くことなかれ11時40分、私がと床につく時に12時になっているでしょうよ。
 こんなに遅くまで、起きていたのは最近にないことだわ。
勉強していたんかって? いいえ、違います。それを言わないで。
 私が苦しくなっちゃうもの。最近ほ勉強したことないから、最近最近って、いつもだわね。
 ホンコンに手紙書いていたのよ。それが何と二時間もかかってね。
 明日から、文化祭でしょう、だから今日は前夜祭の予定だったのに、お流れになっちゃったわ。うれしいと口では言っていても、心の裏ではちょっぴりつまらない感じ。だって、ホークダンスで相手が1Fと3Cの男子が当たったのでとってもくさっていたの。でも、前夜祭の楽しさは味わいたかったわ。生まれて初めての行事ですものね。
 エプリルちゃん、この気持ちさっしてね。じゃ、おやすみなさい。

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