名は体をあらわす

 自分は物欲がなかなか強い方である。欲しい物がたくさんあり、試したいものがたくさんある。これまでも色々な物を試してきた。そんな中で、これは真理だろうと思えることがある。それは物の本質を外した商品はいくらデザインや雰囲気で取り繕ってみてもダメだということである。本質を外していなければ、タイミングや流行の風向きによってヒットすることはあると思うが、外していたらそれは製品としては成立していないと思う。

 最近思ったのはApple Watchについてである。Apple Watch はその名のとおりApple製の腕時計である。商品名に腕時計を掲げている以上、時間が分かることが絶対である。時間が分からなければ小さなインターネット端末ということになるが、わざわざ腕時計を名乗った以上、時計機能が満足なものでないといけない。自分はたまたまApple Watch に手を出したのがシリーズ5からだった。もちろんApple製品が大好きなので手をだしたわけだが、仮にシリーズ4以前だったら本当にガックリきたと思う。そういう意味ではたまたまだが、シリーズ4以前ではなくてよかったと心底思った。シリーズ4以前とシリーズ5以降の一番の違いはALWAYS ON (常時点灯)だと思う。シリーズ4以前だとApple Watch 本体に振動が生じて画面点灯となるので、常に時間が表示されているわけではない。実際に使用すると分かるが、腕時計の時間を見る時に必ずしも振動が生じる分けではないので、案外これが不便になる。機械も万能ではないので、腕時計に振動が伝わっても画面表示が点灯されないことはままある。そう思うと、シリーズ4以前は腕時計の本質を外していた製品ということになる。いくら多機能でも、やはり本質的機能が十分に充たされていないと、結局使用しなくなってしまう。

 かつてジーンズでも同様なことがあった。15年〜20年くらい前だろうか、細身のデザインのジーンズが流行ったことがある。元々はレディースのデニムで流行ったものが、メンズでも流行ったような記憶がある。色んなブランドから細身のジーンズが出た。その中でも早い段階で販売されていたブランドとして”タブロイド・ニュース”というものがあった。雑誌で見ていいなと思い、購入した。これまでのダボッとしたデニムではなく、なかなかに計算されたデザインだったと思うが、ほどなくしてはかなくなった。正確にいうとはけなくなってしまった。というのも、股下の縫い目の部分が綻びはじめてしまったのである。股下はテンションがかかる部分なのでかなりの縫製能力が求められるのであろうが、その製品は不十分だったのだろう。これが、仮にジーンズでなければそこまでの縫製能力は必要なかったのかもしれない。しかし、ジーンズはその出自が作業着である以上、タフであることが要求される。ジーンズというフォーマットで製品化した以上、やはりタフさは外せないと思う。元々はデザインに目がいって購入したはずなのに、ジーンズとしての能力値にガックリきたのは、自分でも意外だったが、こういうところに物の本質があるのだと感じ、いい勉強になったと思ったものである。

 そういう意味では、機能や中身が重要であることは間違いないが、製品の名前というものも本当に重要だと思う。

 (今日はこの辺で)

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