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絶対音感はないけれど

会社に向かいながら、傘に当たる雨音を聴いていた。

そしてふと思った。そういえば今住んでいるマンションは、雨の音が聞こえない。

すぐ下に大きな道路が通ってるので、おそらく防音のためというのもあって、部屋の中は外の音から遮断されて、とても静かだ。ここに引っ越してきて2年が経つけれど、いつのまにかその静けさにもすっかり慣れてしまった。

そういえば去年、和歌山の山の中にある実家に帰って夜寝ようと布団に入った時に、ものすごくたくさんの音が聞こえてびっくりしたのですよね。車なんて1日に数えるほどしか家の前を通らないのに、東京のうちより全然賑やかじゃないか、と。それは風の音だったり、風でそよぐ草木の音、虫の音、そして雨の音。人が作り出す音が全部取り払われた状態でも、世界はこんなにも音にあふれているのだと驚いて、その夜はなかなか眠れなかった。今までもそれらの音に囲まれて生きてきたと思うんだけど、都会での生活に慣れてしまって逆に敏感になったのかもしれない。


季節の移り変わりに敏感な人でありたい、と思うけれど、同じように自然の奏でる音にも敏感でありたい。きっとそれがわたしの中にある動物としての本能をくすぐってくれるんじゃないかと思うから。絶対音感はないけれど、ちゃんと自然の音を拾える耳を持ってたい。

そんなことを考えながら気づいたら会社の前についていた。

#エッセイ #日記 #なおのつぶやき #旅しゃぶ更新部

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