青柿…しまった!出遅れた。

〇今日は柿漆をつくろうと、いつもの裏道に青柿が落ちていることを期待して行ってみた。毎日毎日あったのに、今日は昼くらいに通ったせいか、きれいに道端の青柿がなくなっている。しまった…完全に出遅れだ。とはいえ人の家の垣根の道路側。とてもきれいに清掃してあった。残念。

ここ最近、あえて車に乗らず、できるだけ歩いて移動し、歩幅で得られる時間の中で自然を楽しむことを心がけている。今日などは、最初は暑いなぁ。と感じたけれど、汗がじんわりと出たところに風がここちよく体表を吹き抜ける。あ~。気持ちいい。そう、風さんが、汗ばんだ体表の熱を心地よく奪っていってくれた。東洋医学でいうとことの「風(ふう)」はやさしく吹けば、まさに六気の一つ「風(ふう)」という自然の恵みだなあ。と感じる瞬間だった。

少し山手にある家にたどり着き、しばらくあれこれ作業をしていたら、「あ~涼しいなぁ」と感じ、温度計をみてみた。28.4℃! 「あれ、割合に温度は高かいのね~。」と思った。そう。人間には自分を冷やす力がある。季節に応じて適応する生理機能をわれわれはもっているのだ。社会人になった広島大学で若い人たちに交じって「生理機能学」を学びなおしていた時、ゲストスピーカーで来てくださった体温調節がご専門の某大学教授が授業でおっしゃられた言葉だ。当たり前だけど、とても印象に残っている。というか、現代社会では当たり前ではなくなっているからこそ、そんな言葉が響いたのかもしれない。

東洋医学では体表面の汗腺などをうまくコントロールして寒さや暑さをしのぐ体の力を「腠理の開闔(そうりのかいごう)」などという。太古の昔から言葉は違えど、われわれの体の機能を表現し、どうしたら季節養生ができるかを教えてくれているのだ。

だからこの季節、自分の体を動かして気血をすみずみまで巡らせれば、自ずとじんわり汗をかく。からだに「さあ!上手に汗をかけるようになりましょう!そんな季節の到来ですよ」と教えてあげよう。

診療していると、暑いとかゆくなる方がいる。これは、体表から陽を逃せないから。暑くなって腠理を開き、陽(この場合体の熱)を外に出せれば、こういう原因でかゆみが起きる症状からは解放されるのだ。でも、汗自体が最初にかゆみを呼ぶ人もいる。これはまた、もう一つステップを踏む必要がある。(ちょっとややこしくなるのでまたの機会に)とにかく、この季節にうまく陽を逃せるようになっておかないと熱中症になりやすくなる。人間も上手に夏毛になっていくとよい。


柿の話に戻って。

☆柿漆(ししつ)の効果・・・血圧を下げる。甲状腺腫大。慢性気管支炎に。扁桃腺や口内炎には含嗽薬とし、火傷や湿疹、凍傷には外用薬となる。*1

☆作りかた・・・青柿を容器に入れてつき砕き、水を加え時々攪拌しながら3週間まち発酵させる。カスを除いて得られるニカワ状の液が柿漆。*2

*1 *2:薬膳素材辞典 辰巳洋 源草社より引用

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