直近の問題などどうでもいい!
何か解けないクイズがあって、それをずっと頭の隅で気にかけていると、何かの拍子に答えがふっと降りてくる。
そんな経験をしたことはあるだろう。
本来、未解決の重要な問題や未完の仕事に関することというのは、そう簡単には頭から消え去らないように出来ていて、いわゆる偉大な発明家や科学者、数学者といった直感やひらめきを大切にしている人たちは特にその傾向が強い。
ところが、私達凡人は、いつの間にかその大切なことを忘れてしまう。
それには理由があって、凡人は日常の些細な問題だとか、やり残した仕事のことが気になって頭に残り、それよりも重要なことが追い出されてしまう。
人は直近に問題があると、未来のことをあまり考えられなくなってしまう性質がある。
例えば、今日臨時のバイトをしたとする。
仕事の後で、雇い主がこんな提案をしてきた。
「今なら現金で1万円渡せるが、2週間後だったらあなたの銀行口座に1万2000円振り込めますが、どちらがいいですか?」
おそらく、大半の人が今の1万円を手にしたい。
近くにあるものの方が、重要に見えて、遠くにあるものは重要には思えなくなる。
それを行動経済学の用語で双曲割引というが、要するに人は近い将来の価値を大きく、遠い将来の価値を小さく感じる。
何か長期的で重要な仕事に取り組もうとするなら、直近に心残りを残さないことが大切。
そうでなければ、お腹が空いて死にそうだと言っているコックに、それよりも明後日のパーティーのメニューを考えてくれと言っているようなもの。
とりあえず、目先の不安や厄介事を取り除くことで、初めて長期的なことを考えられる。
数学の天才などと言われている人が、少々浮世離れしているように見えるのは、直近の問題など、どうでもいいと考えているからなのである。
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