罰則有無、業種で分かれる

緊急事態宣言の発令で、各自治体は酒類を提供する飲食店などに休業を要請した。


要請の根拠は何なのだろうか?

特別措置法に基づき、都道府県が要請する。


多く分けて、

①罰則付きの要請

②罰則なしの協力要請

がある。

①は宣言がないと出せないが、②は必要ない。


今回の要請はどんな内容なのだろうか?

酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への要請は①となる。

百貨店や映画館、遊園地などへの要請は②となる。


罰則付きの要請を拒否すればどうなるのだろうか?

正当な理由がないのに応じない場合は、知事は「特に必要がある」と判断すれば命令することができる。


命令も拒めば、裁判所の手続きを経て、30万以下の過料(行政罰)を科されることがある。


経営悪化は正当な理由になるのだろうか?

政府は該当しないと説明している。

その飲食店が、休業すれば地域住民の生活維持が困難となる場合など限定的に解釈されている。


ただ、命令は特に必要があるケースに限られるので、自治体担当者は、罰則の適用は最終手段としている。


営業時間の短縮要請よりも、かなり強い権利制限なのではないだろうか?

憲法は営業の自由を保障し、措置法は「権利制限は必要最小限でなければならない」と定めている。


十分な感染対策を取っている飲食店に過剰な規制をすれば、違憲の疑いが生じると指摘する憲法学者もいる。


前回の宣言発令時、飲食店に一律の時短営業を命令したのは違憲だとして、飲食チェーンが都に損害賠償を求めて提訴している。


休業補償はどうなるのだろうか?

政府は休業を「事業活動に内在する制約」と説明し、措置法には損失に応じた補償の規定はない。


代わりに都道府県が報奨金的な協力金を支払う。


要請が時短営業から休業になれば、補償を求める声が強まる。


協力金の規模は大きくなり、財源をどうするかも課題となる。


宣言の前段階に適用された「蔓延防止等重点措置」で対応できなかったのだろうか?

重点措置では、休業要請はできない。

ただ今回は、重点措置の適用地域でも、酒類やカラオケ設備の提供の終日自粛を罰則付きで要請できるように制度を変更した。


知事が政府と協議する理由は何なのだろうか?

休業要請は基本的に知事の権限である。

ただ的確に迅速な対応を取るためとして、政府は宣言発令に合わせ、基本的対処方針を定める。


首相は知事らと総合調整することで、必要があれば指示することもできる。

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