値段が価値ではない!
社会的な観点からは、ものの値段は一般にそれを売る側、つまり生産者側が決めるものである。
買う側が値段を決めるというのは、オークションくらいしか実例がない。
提供する側が決めるというのは、その価値を作り出すために、どれぐらいの労力、エネルギーが必要だったかで値段が定められているという理屈からである。
商売をしている人は、赤字覚悟でものを売ることはない。
売れば赤字になるとしたら、商売をしない方が得だからだ。
値段が定められた商品を買わされている側の人達は、価値というのは、すなわち値段だという意識を持ちやすい。
一般に高い値段で売られている品は、良いものである確率が高い。
これは市場経済が成り立っているためで、良いものは高くても売れるから高い値段が付けられる。
それほどでもないものは、安くしなければ売れない。
そういう理屈からである。
値段がすなわち価値だという安直な認識に長く浸かっていると、高価なものは価値がある、高価なものを持っていれば周囲から尊敬されるというような歪んだ価値観へシフトしてしまうかもしれない。
何が間違っているのかといえば、自分の欲しいものが分からない人間になっているという点。
簡単にいえば、自分の人生を見失っていることに等しい。
自分が何が好きなのか、何がしたいのか、ということを感じられないほど感覚が麻痺してしまうのである。