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山梨県


1日目:甲府市

出発地である富士急ハイランド(富士吉田市)からバスに揺られること90分、ようやく甲府駅に着く(富士急ハイランド駅からの電車ルートで特急に乗っても、同じくらいの時間がかかるっぽい)。バスが河口湖を超えてさらに山の中を走ると、街全体を俯瞰する景色が見えてきた。ここに来てようやく、とうの昔に忘れてしまった「甲府盆地」という用語を思い出した。

甲府盆地(扇状地)
▶いちおう地理上は「夏の盆地は熱が逃げないため暑苦しい」と言われているが、ここはそもそも標高が300mくらいあるため、関西住みとしては過ごしやすい涼しさだった

そんなこんなで甲府駅に到着。

甲府駅南口
▶甲府は「甲斐の府中(甲斐国カイノクニの政治・経済・文化の中心地)」の略語

南口にはこんな立像もあった。お坊さんか何かに見えるが、甲斐国の戦国大名であり、信玄の父親である。名前は信虎ノブトラ

武田信虎
▶「甲府」の名付け親でもある
武田信玄
▶甲府駅北口の守護大名で、「甲斐の虎」と呼ばれ、上杉謙信(越後の龍)とで争ったのが有名

美術館へ行くバスを待つのに時間があったため、フルーツサンドを買った。初めて食べたが、甘くてジューシーで、朝ごはんにちょうど良かった。

フルーツサンド
▶フルーツサンドは日本発祥

山梨県立美術館

バスに揺られ30分、ミレーの美術館として有名な山梨県立美術館に到着。ここはミレーの作品を70点所有しており、世界的に見てもかなり多い(ルーブルやオルセーでも30~40点)。なんでも開館時に「どんな美術館にしようか」と考えたときに、山梨の自然豊かな風土に合うとしてミレーの名前が挙がったらしい。(美術館の感想は、別のところで上げるかもしれません)

山梨県立美術館・文学館

美術館だけかと思ったら、文学館もある模様。入口近くの地図を見ると「飯田蛇笏」の文字がある。なんだと…?蛇笏?私が唯一持っている句集「飯田蛇笏全句集」の蛇笏だと!?しかし、山梨と蛇笏に何か関わりがあったかな…?と美術館だけに足を運んだことを後に後悔することになる。

蛇笏ついでにお気に入りの句を挙げる:

白猫の見れども高き帰燕キエンかな (飯田蛇笏)

#「帰燕」は、秋になって南へ渡っていく燕を表す秋の季語。

あとで調べて分かったが、蛇笏は山梨出身だったらしい。そして山蘆は笛吹市にあったというではないか(誰に伝わるんこの話)。なぜそんなことすら知らなかったのか…と落ち込んでいる最中ではあるが、次に山梨に行ったときは、文学館の方に行く用事を作りたい。

飯田隆太
▶飯田蛇笏の息子で俳人。

甲府城跡

県立美術館から甲府駅に戻り、そこから徒歩数分の場所にある「甲府城跡」に行った。ここは武田氏滅亡後に豊臣秀吉が建てた城だが、明治期には廃城となった城塞である。天守閣も、すっぽりそのまま無くなっている。大火のときに燃えたのだろうか。

甲府城(またの名を舞鶴城)
▶「舞鶴城」と言われるのは、天守閣の形が鶴が羽を広げたときのように優雅な形だったから
天守閣(の土台)からの眺め
お城あるあるで、城下を見下ろすと「ここがワシの街じゃよ」という気分になる

甲府駅北口の観光を終え、南口の方へ向かう。

旧睦沢学校校舎

甲府城は甲府駅北口側にあったが、今度は南口の方にある「旧睦沢ムツザワ学校校舎(藤村記念館)」に行った。この建築物の重要人物は「藤村紫朗シロウ」である。彼は明治の始まり(明治6年)に山梨県令となった人物で、甲府の街づくりをするさいに「洋風建築(まさに写真のような建築様式)」を多いに奨励した。当時の新聞記事には「ロンドン、パリの都もくやあらなん」と誇らしげに綴ったそうで、その名残として今も残っているのが、旧睦沢学校校舎である。

睦沢ムツザワ学校校舎(甲府市藤村記念館)
#撮り忘れたので拾い画
▶藤村式建築(擬洋風建築)という大正ロマンな建物で、工場や学校、裁判所、病院などもこの建築様式を採用していた。全盛期には甲府市内に200以上もこのような建築物があったが、いまは5つくらいしか残っていないそう。
校舎内のようす

ほうとう

甲府城跡、藤村記念館に行って昔の人の想いを感じたあとで、ついにほうとうを食べた。武田信玄も陣中食にしていたらしく、ならば当然、藤村が県庁をしていた明治期にも食べられていたのだろう。現地の方いわく、この辺りではお味噌汁の代わりにほうとうがでてくるとのこと。

ほうとう
▶山梨を代表する郷土料理。小麦粉を練った平打ち麺に、かぼちゃや芋類、きのこ、季節の野菜、肉などの具材を加えて、味噌仕立ての汁で煮込む。※下記サイトから引用

南瓜カボチャが入っていることもあり、食べ進めるにつれて汁がとろとろになっていく。そのうち下にある平打ち麺が現れてくるため、勝手に〆になってしまう面白さがあった。

河口湖ロープウェイ

ロープウェイが18:00までやっているという情報を手に入れ、ほうとうを食べた後で甲府駅から「ロープウェイ入口」というバス停まで向かった。ロープウェイに乗れば河口湖を一望できるようだが…実はこのロープウェイが登るのは、天上山テンジョウヤマ、別名「かちかち山」であった。そのため、ロープウェイの至る所にウサギやタヌキの姿が見えた。

ところでなぜ天上山がかちかち山なのかと言えば、それは河口湖と絵本「かちかち山」が関係しているからとされている:

じいさんとばあさんが、捕まえたタヌキでタヌキ鍋をしようとしました。しかしタヌキはこっそり縄を抜け、そのままおばあさんを殺してしまいました。タヌキはおばあさんに化け、仕返しにばばあ鍋をじいさんに食わせました。そのことを知ったウサギが、おじいさんの代わりにタヌキを懲らしめ、湖に沈めました。

かちかち山 あらすじ

この湖というのが、河口湖と言われているらしい。そんなわけで、かちかち山から望む河口湖の景色はこんな感じだった。

河口湖 天上山からのすがた
河口湖 みなものすがた
▶富士急から甲府に行くときは、奥に見える橋をバスで渡る。
天上山からの景色
▶真ん中あたりに富士急ハイランドのアトラクションが見える。
上の写真はこの方角で見た

山頂からの景色も楽しんだところで、宿へ戻る。しかし、到着時刻になっても中々バスがやって来ない…。おそらく、富士山という一大観光地に訪れる旅行者が多く、バスが停留所でしょっちゅうストップしてしまう事案が堆積し、遅延が発生するのだろう。観光地の宿命である。(沖縄の場合バスは30分遅れが常識で、私も1時間近く岬のバス停でポツンと待ちぼうけした記憶がある。)

ロープウェイ入口で40分近くバスを待っていて暇だったので周りを見回すと、「温泉むすめ」なるキャラクターがいた。何かのアニメかと思って調べてみると、どうやら、日本各地の温泉を担当するキャラクターのよう。この子は、河口湖担当の河口湖多佳美カワグチコタカミというキャラで、特技は長時間の逆立ちらしい。(逆さ富士?)

河口湖多佳美カワグチコタカミ
笛吹フエフキ市の石和温泉担当、石和紅イサワコウと「山梨天下一同盟」を結んでいる。
▶よく見ると、制服姿の多佳美が河口湖の定番お土産「フジヤマクッキー」を持っている。

そんなこんなで富士急の宿まで戻り、この日は終了でござそうろう。

2日目:富士急

昼に用事があることに気を取られていたせいで午前が暇すぎることに気づき、突発で富士急に向かった。9:00開園で12:30ごろに出る必要があったためあまり多くは乗れなかったが、この日、ソロ戦慄迷宮という箔付きで「ソロ遊園地」という偉業を達成したことになる。

富士急ハイランド

入場自体は無料で、フリーパス(6,000円~7,800円)を買うと大抵のものに乗れる。まず戦慄迷宮の時間指定チケット(10時から30分ごとに6組上限、4,000円)を取り、FUJIYAMAに並んだ(40分待ち)。そして戦慄迷宮を回り、最後に高飛車に乗った(60分待ち)。台風9号の影響でお盆明けから天気がぐずついていたが、雨も降らず幸運だった。

FUJIYAMA
▶70mの落下と130km/hの速度があり、直線以外でバンザイをするのは普通に危ない。スピードのせいで腕に内出血ができるのは覚悟した方がいい。
戦慄迷宮
▶公式サイトによれば、コース全長は900m、所要時間は50分。
確かリタイア率は11%程度と記憶しているが…ネタバレ回避のために内容には触れない
高飛車
▶2秒で100km/hまで加速するところから始まる。途中で速度が落ち着いたと思ったら「120度」に向かって垂直に上昇し始めるため、周りから慌て始める声が聞こえてくる。

リサとガスパールタウン

少し時間に余裕をもって富士急ハイランドを出る。すると、「リサとガスパールタウン」なるものを見つける。

「リサとガスパール」はフランスの絵本作品であり、イヌでもウサギでもないとびきりキュートなパリの住人として、好奇心旺盛に過ごす日常を描いている。そしてこの「リサとガスパールタウン」が富士急ハイランドの入口に隣接するように開発されているのは、絶叫が苦手でも気軽に楽しめるようにという目的があったかららしい。

凱旋門の前に座るリサ(左)とガスパール(右)
▶2人は取っ組み合いのケンカをした後に仲直りの印としてマフラーを交換し、それをずっと身に着けているらしい

少し時間があったため、カフェに寄ることにした。このエリアはフランス情緒に包まれており、美術館好きの自分にとっては、ワクワクが溢れてとまらなかった🥐

カフェブリオッシュ
▶briocheとは、フランスの菓子パン。

カフェでは、イートインでフレンチトーストとアイスカフェラテを頼んだ。窓の外からアコーディオンも聞こえてきていて、本当にフランスにいるような気持ちになり、惜しみつつ平らげた。ちなみにマジ美味かった。

フレンチトースト
▶斜め切りされたフランスパンが3つあり、横にバニラとホイップ、上にはイチゴパウダーがかかっていた。下にあるのは、キャラメルソースとアーモンド。

この後は、用事に向かうことになる。

ふじやま温泉

フレンチトーストを食べて昼からの用事を終えたあと、せっかくだからと用事先から「ふじやま温泉」に向かった。ふじやま温泉は、富士急のオフィシャルホテル「富士急ハイランド・リゾート」から渡り廊下で繋がれている木造の温泉施設である。用事先からの道のりで、夕方の虹と富士山が見えたため写真に収めた。このときは気づかなかったが、よく見ると二重虹(ダブルレインボー)だった。

二重虹
▶2つの虹は、色鮮やかな方から主虹シュニジ副虹フクニジという。虹が不吉とされる中国においても、これだけは吉兆の印と考えられているらしい。
ふじさん

歩いて20分でふじやま温泉に到着した。このサイズの木造温泉は、なかなかお目にかかれないと用事先の方が仰っていた。

ふじやま温泉
▶1階に大浴場、2階にお食事処、3階に休憩スペースがある。

早くスーツを脱ぎたかったので、まずは温泉。温泉の中はノーマル風呂、ジェット風呂、露天風呂とあったが、一番印象に残っているのは実はシャンプー系である。「クールシャンプー」なるものがあったり、かなりいい香りのボディソープもあったりで、湯舟に浸かる前から気分が良かった。湯あみ後は、入口の暖簾のそばに売ってあったコーヒー牛乳を飲んだ。温泉後のコーヒー牛乳も、10年ぶりくらいで感動した。

そのあとは、2階のお食事処でご飯を食べた。写真で伝わるか分からないが、唐揚げはかなり大きめで、食べ応えがあった。完食したころには腹がパンパンだったため、3階のハンモックでゆらゆら休んだ。

信玄地鶏の唐揚げ定食とふじやまビール

結局21:00頃にふじやま温泉を出たが、帰り道にゲーセンを発見したため、そこに寄って太鼓の達人をプレイした。とうの昔にプレイして以来だったため知ってる曲も少なかったが、さすがは太鼓の達人。下手でも楽しくプレイできた。実はもう何日かこの辺りで生活していたが、毎晩ゲーセンに寄って太鼓の達人をしていた。(滞在中に「難」をクリアするのを目標にしていたが、全然届かなかった…)

おわりに

初めて山梨県に来て、行ける限り色々な場所を回りながら、沢山のことを勉強できた。なにより涼やかな気候だったのが印象に残っている。山梨滞在の最終日に日本3奇祭「吉田の火祭り」に参加できたという余談もあるが、こちらは時間のあるときに追記できればと思っている。蛇笏しかり、再び山梨にやってくる用事もできたため、5年後か10年後か、やって来られるタイミングを待つことする。

富士山駅(火祭りの最寄り駅)
吉田の火祭り

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