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テルマエ展@神戸市立博物館

経緯フランスも憧れるイタリアにまつわる展覧会ということで、前々から気になっていたものの、どのタイミングで行くか迷っていました。そんなこんなで忘れかけていたときにお盆がやってきたので、帰省するさいに寄り道という形で神戸市立博物館に訪れました。展覧会には、学生証とマイナンバーカードを見せると800円で割安に入場できました。 テルマエ展概要 ローマの公共浴場を意味する「テルマエ」の紹介はもちろん、その周辺の暮らしや美術、さらに日本の入浴文化まで紹介している展覧会です。 『テル

    • シャガール『空飛ぶ魚』

      背景 マルク・シャガール(1887-1985)はベラルーシ(東にロシア、西にポーランド、北にバルト三国、南にウクライナがある世界最北の内陸国)に生まれた。19歳のときにサンクトペテルブルクの美術学校に入学し、23歳のときにはパリヘ行き画家や詩人と交流しフォービスムやキュビズム、シュプレマティスム、シュールレアリスムを学んだ。28歳のときに宝石商の娘ベラと結婚したが、この前年から第一次世界大戦が始まったこともあり、生活苦のためベラルーシの美術学校で教鞭を取ることもあった。 ま

      • ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《夜》1883年

        背景 ブーグロー(1825-1905)はフランスの港街ラ・ロッシェルに生まれた。 彼の代表作は、いずれも当時流行っていた印象派と異なり、ラファエロやダヴィンチといったルネサンス期の宗教画を汲んだ新古典主義的な画風が多い。21歳のときにパリのエコール・デ・ボザール国立美術学校で学び、25歳でローマ賞を得た(以下、おまけでローマ賞の説明)。 鑑賞 中央に全く光を通さぬ黒いベールを羽織った裸婦がいる。「夜」というタイトルだが、全体的に明るい、もっと言えば、まだ微かに見える星の明か

        • アーヘンバッハ《満月の波止場》1896年

          背景 夏虫の溶けるような高い声と、柔らかに舟をこぐ音が聞こえてきそうなこの風景画は、アーヘンバッハ(1815-1910)の「満月の波止場」である。アーヘンバッハは海洋風景画を数多く描いており、「19世紀のドイツの風景画の父」と呼ばれた。実業家の父のもと、1815年にドイツのカッセルで生まれた彼は、12歳のときにデュッセルドルフ美術アカデミーでシャドーから絵画を学び、17歳になるとオランダへ旅行へ行ったきり、海岸の風景画を数多く描いた。その末、95年の長寿を全うし、ドイツのデュ

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