見出し画像

柴又から成増まで歩いて...もう少しで路上生活者になれたなあ、、、って瞬間

 今度3月にやる二人芝居が、路上生活者いわゆるホームレスを題材にしているのでその関連で思い出しながら何となく。

 僕はお金がなさ過ぎて、月の中頃を越えると金欠で電車に乗れずとにかく歩きで移動するということを何年か前にしていた。長いときは"柴又から成増"(25kmくらい?)とかを途中休憩を入れながら5,6時間かけて移動。最初のころは,都内歩き生活に、きっちいと思っていたがそれもなれてくるもので、「あ、10kmまでは歩けるな」って変な自信をつけた。

 それだけ歩いていると最終的には無心になっていく。最初は少し疲れ始めて、頭の中で「俺がんばれ俺がんばれ」って思いながら歩き、あとは足が止まらないように何も考えずに歩き続ける。おかげさまで東京の地理が何となく入ってきた。

 そんな生活に加えて一度だけ、お金が支払えずでガスと水道と電気がすべて止まり真っ暗な部屋で過ごす3日間があった。夏だから耐えられると思ったが水シャワーは冷たいのに加えて、何より精神的に堪えた。「俺よりもっとつらい人はいっぱいいる」とか言いながらやり過ごす。

 そんな気持ちが弱っているときに、新宿を歩いていてホームレスを見かけた。いつもいるホームレス。ぼさぼさ白髪のちっちゃい背丈、白髪ひげを蓄え口をパクパクさせながらのそのそ歩く。いつもいるときは何となく視界の端にとらえつつ避けて歩くんだけど、その日は、はっとしてガン見してしまった。

 「あ、俺いまギリギリ家があるだけでこの人たちと一緒だ。」

 もう少しで、いまギリギリで踏ん張っているのを辞めたら、すぐこの人たちと一緒になれる。何となく視界に入ると薄ら避けていた、別世界の住人と思っていた路上生活者の人に感応してしまった。いや、路上生活に入る理由はいろいろあるんだろうが知らない。けど、その日からホームレスということの認識が変わった。ごく近い存在に感じた。貧乏とか何かしらに堪えるのを辞めて、もしも誰も助けもなければ、俺ホームレスにすぐなれるんだ。

 言い方は悪いが、すぐになれるんだ!と思った。一回そっちにいったら果たして這い上がる気力が出るんだろうか。暑さ、寒さに、身の危険に日々さらされていたら、そこから日常生活に戻る算段をつける頭を回す、そんな余裕もなくなるんじゃないか。

 それからは、努めて電車移動だけはできる生活に戻そうと工面し、最近ようやくチャリ移動か電車移動ばっかりになり、歩くことはしなくなったとさ。当たり前の生活なんだろうけど。なんならその分太りましたけど。

 正直ギリギリの生活を自分がしてみるまでホームレスを人として見ていなかったんだと思う。自分の視界に入った時の自分の視線の取り方と気持ちを思い返すとそうだったと思う。そうじゃなくなったからって何をその人達にするでもないけれど、毎日すれ違うその人たちのことがずっと気になる。絶対に聞けないけど、聞いてみたい。どんな生活をして何を思うの?なんでなったの?と。

 柴又から成増に歩いている途中、荒川かなにか大きい川沿いで、バラックというかホームレス小屋というか、その屋根にソーラーパネルが置かれていたが、それ使えんの?それともただ丈夫だから屋根にしたの?と

 色んな人たちを見ながら思いながら、これから稽古していこうと思う深夜3時だ、、、、。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?