見出し画像

転職で、あなたの給与は上がるのか

転職において、一番みなさんが気になるのは「私の給与は上がるのか」でしょう。
それに対する回答は「そんなのは前提(あなたのスキル、転職したい職種・企業)によって異なるので一概にいえない」です。ただし、一般論でいえば、「上がらない可能性のほうが高い」といえます。

給与は(個別事由を抜きにすると)業界や企業の収益体制に紐づきます。要はお金を稼ぎやすい業界・企業ほど給与が高いということ。そこに個人のスキル・経験はあまり関係ありません。
とくに転職時は企業のレンジに当てはめられるので、業界・企業水準があなたの給与を決めるといってもよいでしょう。

多くの人は自分のスキル・経験(あるいはポテンシャル)が給与に紐づくと考えていますが、それは正しくありません。給与は業界や企業の収益性を基準としています。
とくにポテンシャルを買ってもらおうと、異業種・異職種に転職すると、多くの場合、給与は下がる傾向にあります。

業種・職種が給与を決めるという事実は、職種別・業種別の給与ランキングを見ると明らかです。

職種のトップは医師、2位・3位は投資銀行業務、投資運用です。医師は独占業務かつ医療系という高収益を生みやすい業界。投資は言わずもがなでしょう。
業種も同様で、1位がたばこ、2位が投信/投資顧問、3位が医薬品メーカーです。1位はやはり独占業務、2位・3位は高収益体質の業界です。
このように職種と業種で、給与の大勢が決まっています。給与を上げるいちばん簡単な方法は、高収益の職種・業界に転職することです。

とはいえ、資格が必要であったり、狭き門であったり、簡単に転職できるわけではありません。現実的なのは、職種・業種から違うアプローチで転職先を考える方法です。

基本的に、同職種で転職するほうが給与は上がりやすい傾向にあります。たとえば、商社の営業からメーカーの営業といったように。企業が求めるのは職種スキルであり、業界知識はあれば歓迎レベルだからです。
そのため、同業界で異職種に転職する場合、変わらない、あるいは下がる可能性のほうが高いといえます。ITの営業からITエンジニアに転職する場合、間違いなく給与は下がるでしょう。

多くの人たちは異職種・異業界でまったくの未経験で、転職されることが多く、給与は下がりがちです。

厚生労働省「転職実態調査(令和2年)」をもとに著者作成

もっとも給与が上がっているのが30~34歳で、48.6%の人が給与アップを実現しています。しかし、どの世代を見ても増加した人と減少した人の率に大きな差はなく、転職したから必ず給与が上がるわけではないのが明らかです。

確率論で言えば、34歳までに転職したほうが給与が上がりやすい、といえますが、企業の給与体系によるものです。日本の企業の多くが年功序列(あるいは、年齢給に属する体型)。20代は低く抑えられがちなので、収益性の高い業界にいくことで給与は上がりやすくなります。

以上を踏まえると、給与を上げる転職は以下のような結論に達します。

・20代は異業種・異職種でも高収益な業界・企業へ転職する
・30代以降は同職種・同業界、あるいは同職種・異業種(高収益な業界・企業)に転職する

要は高収益な業界・企業へ行け、ということです。身も蓋もありませんが、給与体系が業界・企業の収益性に紐づいている以上、この結論は変わりません。

もちろん、スキルや経験が高いほうが給与は上がりますが、あくまで業界・企業内での話。収益性の低い業界でスキルアップによる昇給を狙うよりも、収益性の高い業界へ転職したほうが昇給額が大きくなります。

お金だけが転職目的ではない、とは思っていますが、給与が第一という方は、この基準で転職してはいかがでしょうか。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。