安居昭博さんによる第3回「これからの価値づくりセミナー」
「これからの地域を支えるデザイン経営」を本気で学ぶ場所として、2023年にスタートした越前鯖江デザイン経営スクール。
2023年12月9日(土)に第3回「これからの価値づくりセミナー」を開催。サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏に「サーキュラーエコノミーと新しいビジネスモデルの創出」というテーマで講演いただきました。
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まずは安居さんの活動紹介から。オランダとドイツでサーキュラーエコノミーを学び、現在は京都を拠点に活動されている安居さん。企業や自治体にアドバイザーとして入ったり、各地で講演したり、「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル(学芸出版社)」を出版したりと多岐にわたって活躍されています。また、京都のロス食材を活用した「八方良菓の京シュトレン」を開発し、注目が集まっています。
「サーキュラーエコノミーとは、はじめから廃棄を出さないしくみをつくることで、経済と環境の両面に利点をもたらす経済モデルのこと。ビジネスモデルや政策、もののデザインを形づくる段階から、廃棄が出ないしくみを整える手法です」と安居さん。
従来の資源を大量廃棄することが前提だった経済モデル(リニアエコノミー)や、大量生産・大量消費型でつくられた製品に対して延命措置を図るリサイクルやアップサイクル(3Rエコノミー)。それらに対してサーキュラーエコノミーは、地球環境へ予防医療的なアプローチがなされる新しい手法なのだそう。
続いて、サーキュラーエコノミーのサービス例として、安居さんが愛用している月額制のジーンズや、半永久的に使える空港の照明、分解して建材を再利用できるサーキュラー建築などを紹介いただきました。初めて知るサービスの数々に、会場では多くの方がメモをとる姿が見られました。
また、京都でサーキュラーエコノミーを取り入れた事例も紹介。
サーキュラーエコノミーは難しい存在ではなく、私たちの生活の身近なところに散りばめられているのかもしれません。
さらに、日本のサーキュラーエコノミーの可能性について話が展開します。
「2020年に地球上の人工物量が生体物(自然由来の素材)量を上回り、人工物との向き合い方が鍵になっています。そこで再評価されているのが、日本の伝統技術と自然由来素材です」
日本の茅、和紙、漆、土、砂、貝殻といった自然由来の素材や、金具やビスを使わない軸組工法、地域の木材を建材として使えるしくみは、サーキュラーエコノミーの分野でヨーロッパから注目されているのだそう。
最後に、安居さんが取り組んでいる京都音楽博覧会の「資源が 『くるり』プロジェクト」や、森、道、市場でのコンポスト設置の例を紹介いただきました。
サーキュラーエコノミーは義務感でなく、「やってみたい」や「楽しそう」という前向きな気持ちで取り組んでみることが大切なのだと伝わってくるセミナーでした。みなさんも、サーキュラーエコノミーの眼鏡をかけてみましょう!
(文:ふるかわともか)
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