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現場が抱える問題の本音を言いたい!?

過去3年弱、日本財団や企業の支援を受けて、SDGs14ゴール達成のための「ビーチクリーンミッション」イベントを相当数実施してきました。イベントには、小中学校の移動教室や校外学習を通じて、児童や生徒の方々にもESD学習を提供しており、時には200名ほどの参加があります。イベントの所要時間は90分から120分程度の短時間でしたが、日常的にESD指導を行っている先生方から多くの意見をいただきました。

「ビーチクリーンミッション」イベント参加者たち

先生方からは、小中学生が校外学習でESD(Education for Sustainable Development)ボランティアを体験することには下記のいくつかのメリットがあったお礼を頂きました。

  1. 実践的な学び: ESDボランティア活動を通じて、生徒達は持続可能な行動や価値観を実践的に体験でき、理論だけでなく現実の課題に取り組むことで、環境や社会の問題についての理解が深まった。

  2. 共感と共感: ボランティア活動を通じて、生徒達はは他人や社会のニーズに対して共感する力を養うことができ、自分の行動が他人にどのような影響を与えるかを実感し、思いやりの心を育む助けとなった。

  3. 問題解決力の向上: ESDボランティアはその地域独特の問題に向き合う機会となり、普段の生活とは違った目線で協力し、課題を分析し、解決策を考えるプロセスを経験することでき問題解決力やクリティカルシンキングのスキルを向上させられた。

  4. 持続可能性への関心: ボランティア活動を通じて、生徒達は持続可能な開発目標(SDGs)や環境問題に以前以上に関心を持つようなり、将来の市民としての役割や責任についての意識が高まり、机上のESD授業の進捗もはかどるようになった。

  5. コミュニケーションスキルの発展: ボランティア活動は他のボランティアや現地の人々と協力する機会を提供します。コミュニケーションや協力のスキルが発展し、異なるバックグラウンドを持つ人々との関わりを学ぶことが出来た。

  6. 自己肯定感の向上: ボランティア活動を通じて生徒達は自分の行動が社会や環境にプラスの影響をもたらすことができるという自己肯定感を得たことは大きな収穫です。

上記のようにESDボランティア活動は、学生の成長や社会貢献意識の育成に貢献する重要な経験となったという意見群とは別に学校で通常行われているESD授業の問題点などの質問も多く寄せられています。

児童/生徒の価値観や感受性の違いがESD授業では一般教科よりも色濃く影響が?

公立学校と私立学校は教育の運営主体や運営方針に違いがありますので、それに伴って問題点も異なることがあります。

公立学校は地域からの生徒の多様な家庭環境や背景やニーズを受け入れる必要があり、それに対処することが課題となります。異なるレベルやバックグラウンドを持つ生徒を効果的に指導、支援することが求められる訳ですが価値観の違いがESD教育効果に一般教科よりも影響があるのではと心配なされている先生方が多いのには正直驚かされました。

医学校での研修医、インターン教育で知識や技能面以上に問題があったのが個々の研修医のインターンの倫理観の違いでした。

この問題の解決法として20数年前になりますが、私の教室では医師教育における倫理観の相違を是正を目的に下記のような取り組みを行いました。
正直なところ、研修医の倫理観の相違は家庭環境特にインカムの違いが個々の倫理観に大きな影響があるのは事実です。総じて云うならば「子は親の背中を見て育つ(倫理観や正義感)」と今だからこそ言えますが、大学勤務時代は例え真実でもWealth and Genderへの差別的な発言は禁忌とされていました。

  1. 倫理教育の強化:

    • 医師教育プログラムにおいて、倫理教育を強化します。医学生に対して倫理的な判断や専門倫理についての教育を行うことで、共通の基盤を築きます。

  2. ケーススタディの活用:

    • 実際の医療現場で起こる倫理的なジレンマをケーススタディとして取り上げ、討論する機会を提供します。異なる倫理観を理解し、議論することで考え方を深めることができます。

  3. 専門倫理委員会の活用:

    • 医療機関内に専門倫理委員会を設置し、倫理的な問題に関する意見交換や判断を行います。これにより、医師たちの倫理観の相違を議論し、適切な判断を導き出すことができます。

  4. メンタリングとコーチング:

    • 経験豊富な医師が新人医師や医学生のメンターとなり、倫理的なジレンマについてのガイダンスや助言を行います。これにより、経験を通じた倫理観の共有が促進されます。

  5. 模範的な行動の強調:

    • 医師教育者や指導医が模範的な行動を示すことで、倫理的な観点からの専門職としての振る舞いを学生や若手医師に示します。

  6. 反省とフィードバックの機会の設定:

    • 医療現場での倫理的な判断を行った後に、振り返りやフィードバックの機会を設けることで、自身の行動を見直す機会を提供します。

  7. 国際的なガイドラインとの整合性確保:

    • 医師の倫理観は国や地域によって異なることがありますが、国際的なガイドラインや規範との整合性を確保することで、共通の基準を持つことができます。

医師教育においては、倫理観の相違を尊重しつつも、専門倫理を共有し、患者の利益と社会的責任を最優先にする教育が重要です。
ESDにおいても倫理観や価値観をある程度の範囲で共有化できれば授業の効果は期待できますが授業時間数が少ないESDにおいては物理的なリソースが不足し不可能です。

現実的に生徒達の価値観や倫理観の相違障害を取り除く具体案


ESDグループ学習でのダイバーシティを尊重するカリキュラムの導入

ESDのカリキュラムを構築する際に、異なる家庭環境や価値観を尊重する要素を取り入れます。児童たちが自分自身や他人のバックグラウンドを尊重し、受け入れる姿勢を育むためのカリキュラムが重要です。
具体例としては・・・・。
ESD教育の一環として、実践的な活動やプロジェクトを通じて、異なる価値観が持つ影響や重要性を体験します。これにより、抽象的な概念を具体的な現実と結びつける力を育むことができます。
続いて
児童たちに共通の目標を設定し、それに向かって協力して取り組む機会を提供します。価値観の違いを超えて、共通の目標に向かう経験を通じてチームワークや共感の力を養います。
最後に
異なる家庭環境や価値観について対話し、共有する機会を提供します。クラス内のディスカッションやプロジェクトを通じて、互いの違いを理解し合い、共通の目標に向かって協力する重要性を学びます。

ESD教育は、異なるバックグラウンドを持つ児童たちに持続可能な価値観や行動を育む機会を提供することができます。
バリエーション豊かなアプローチを通じて、互いの違いを尊重し、協力して持続可能な未来を築く力を育むことが目指されていますので是非挑戦してください。

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