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ほぼ週報 #企業分析のタネ vol.8(23/03/26~23/04/01)

1. 気になる決算一問一答

ちょっとした疑問をサクッと調べる一問一答的なリサーチ。
納得したら終了です。ガッツリ深掘りしたくなったら別枠で記事化します

■NIPPON EXPRESSHD(9147)

「日本通運」を主軸に物流事業を行うグループ企業。2022年1月4日に単独株式移転で設立されたため、前期実績はなし。

2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

(memo)
・売上総利益率は10.5%(ヤマトHD 3Q累計は7.7%)
・売上販管費率は5.3%(ヤマトHD 3Q累計は3.0%)

(仮説)
・日通の倉庫や物流施設は多く見る一方でヤマトは宅急便のイメージ
・たとえば物流拠点が多く、日通の方が効率よく物流網を築けるので売上総利益率が日通の方が低い?
・販管費が高い理由ははわからない。広告費はそんなに大きくなさそうなので、物流施設が多い分、人件費が多くかかっているとか?

(検証)
営業倉庫の拠点数
・NIPPON EXPRESSHD:約1,100拠点(約385万㎡)
・ヤマトHD:約110拠点

圧倒的に倉庫はNIPPON EXPRESSHDが多いので、在庫拠点や供給拠点としての利用が盛んであり、運輸が効率的になっているのではないでしょうか?

また拠点数については、そもそも海外戦略に大きな違いがありました。
・NIPPON EXPRESSHD:49カ国に730の拠点総数
・ヤマトHD:25カ国に展開、拠点総数は不明

日本通運ってこんなに海外展開している企業だったんですねー。
海外売上高比率が32.1%と、1/3を海外から稼ぐ企業なのは印象的でした。

ただ、従業員数はNIPPON EXPRESSHDは連結73,482名に対して、ヤマトHDは連結216,873名とこれまた大幅な差がついてました。ヤマトHDは「リテール事業」に176,881名の人員を割いていることが大きな違いですがおそらく宅急便センターの受付などかと思われます。

とはいえ、売上に占める販管費の人件費率は日本通運が2.7%に対してヤマトHDが1.5%と高いこともわかりました。これはヤマトがリテール事業の対応や宅配便のドライバー社員が多いのに対して、日通の強みはあくまで倉庫を中心とした物流支援を行う人員であることが背景かと考えてます。(単純に人件費が日通の方が高いのでは?)

公式HPでもヤマトが宅配便のドライバー数や宅配便の取扱数量をアピールしているのに対して、日通は倉庫拠点の数や輸送手段の多様さを推しているのでそもそも強みが違うのでしょうね。ここは決算を見なくちゃわからなかった。海外拠点やそこでの駐在も推してます。

決算発表が少ないので1社でおわり!



2. 今週読んだ本

Spotifyの創業から上場までのグロースを追ったストーリー。
Spotifyといえばプレイリストの精度やUIの快適さだが、そのこだわりや強みがどのような思想・戦略から生み出されたのかがわかって面白かった。

またシリコンバレー以外で覇権を取っているサービスというのもSpotifyの独自性。同じく企業ドキュメンタリーの『Airbnb story』や『ウーバー戦記』とはまた異なる当時のヨーロッパ市場の特徴やアメリカ市場参入の困難などの苦闘の歴史がおもしろかった。


3. おもしろかった記事のサマリー

韓国の「休んでいた」青年層の人口推移

memo
・韓国統計庁によると、15~29歳の青年層のうち、求職も就職準備もせず「休んでいた」と答えた人が49万7000人だった(2003年1月の統計作成以降で最大規模)
・「休んでいた」は、家事や育児、就職準備、進学準備、軍入隊待機とは区別される概念。
・韓国では青年層の雇用率も45.5%で1年前より0.4ポイント下落している

解釈
・格差社会が際立つ韓国では「希望する働き口・仕事が見つからない」を理由に「休んでいる」青年層が多いとのこと。
・一攫千金を夢見て若者が初期投資の少ないチキン屋の開業に殺到するような記事を読んだことはあるが、スタートアップなど新興産業に人が流れたりはしないのか?
・サムスンやLG、ロッテなどいずれも韓国の財閥はメーカーな印象がある。中国のようにそれらの企業を追い越すようにNAVERやCoupangなどテック企業の勢いが増したりはしていないのか?
・なぜ財閥以外にここまで選択肢がないのか?


memo
・スイスの金融機関最大手UBSが同2位のクレディ・スイスを買収
・買収額は30億スイスフラン(約4260億円)であり、これは17日のクレディ・スイス株の時価総額に対しおよそ4割に相当する
・UBSのケレハー会長は「クレディ・スイスの投資銀行部門を縮小し、当行の保守的なリスク文化に合わせる。人員削減については言及するのはまだ早い」と話している

解釈
・グローバル2022年度M&Aアドバイザリー リーグテーブルで世界7位の取扱額を誇っていたクレディ・スイスの幕切れとしてあまりにスピーディーにあっけなく決まった印象
・人員削減への言及は避けているが、投資銀行のコストはほぼ人件費なので、また大規模なレイオフが行われるのでしょう(すでに日本オフィスは縮小しているようですが)


memo
・欧州の店舗は各都市の一等地に旗艦店クラスの店を出す
→日本よりファッション感度の高い顧客が多く、客単価も高い

・欧州の店舗では、服の修繕サービス「RE.UNIQLO STUDIO」に注力
→服を長持ちさせるためのサービスを提供して、サステイナビリティに対する会社としての考え方を売り場で表現するため
→サステイナビリティは欧州の顧客が企業を選ぶ重要なポイント

・アジアで生産し、輸出する体制を維持する
→ファストリの提携縫製工場は400程度に対し、一般的なグローバルアパレルは1000~2000ほど
→素材の調達も含めると物流コストがその方がペイする

解釈
・無闇な出店はせず、各都市の一等地でまず収益をあげる
・SDGsに関するブランドメッセージはもちろんだが、顧客の接点である店舗の設計や施策で実際に宣言したことを体現してみせることが重要


最後に

今週もみていただきありがとうございました!
また来週!Twitterではもっとラフにニュースをピックしてます〜


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