見出し画像

シガレットクライシス

私は、タバコをやめるまでは、なかなかの愛煙家だったと自負している。
なぜなら、吸い心地にこだわり、色んな銘柄を試したり、時にはブレンドをしたりと自分に合った吸い方を研究していたからだ。

一般のタバコを想像するとタバコの葉っぱのブレンドと言われてもピンとこないと思うのだが、私が吸っていたのは手巻きタバコというものだ。

手巻きタバコとは、ペーパーの上に葉っぱとフィルターを乗せて、ペーパーの端のノリをぺろっと舐め、最後にくるっと巻いて作るタバコの事で、このタバコは市販のタバコよりも多くの銘柄があり、味の濃いものから、フレーバーが効いたものまで多種多様である。

ペーパー、フィルター、葉っぱがそれぞれ個別で販売されている為、自分の独自のブレンドが可能なのだ。

馴染みのある人からすれば見た目も非常にかっこよく、
ひとたびスマートに巻こうものなら妙なエロさが滲み出るという
何とも素晴らしいタバコなのだが、
一方で、一歩間違えると非常に犯罪臭が漂うことになるという
陰と陽とが表裏一体となった諸刃の剣のようなものである。

バイト先の喫煙所で、見知らぬ従業員のおば様と目が合ったとたん
「あんた何吸ってんの!!!!????」
などと声を荒らげられるという事もあった。

そんな手巻きタバコだが、とうとう事件が起きる。

事件当日、我々はライブの為、渋谷に来ていた。
遠征もまだ慣れていない頃で、渋谷なんて初めてだ。

東京は車や人通りも多い為、
道もたいそう広いものだと思い込んでいたのだが、
全くの逆で、道は入り組み、車幅は狭く、
なんと言っても一方通行が多いのだ。

我々もぐるぐる回って走っていたのだが、
ふと気づいたときには一方通行を逆走してしまっていたようだった。
明らかに対向車の人達の迷惑そうな表情が見て取れる。。。
申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだが
その対向車の中に異様な空気感を醸し出す1台の車を発見する。。。

車種はクラウン、
色は白と黒、
紺色の帽子と服を着た人が2名乗っていて...
なんと、車の上には赤のランプが着いていた。。。

なんてこった。パトカーだ。。。

案の定止められ、
警察の方々から事情を聞かれる。

どこから来たか。
何しに来たか。
何をしていたところか。など、
まるで入国管理局。
地方からようこそ!メガロポリストーキョーへ!と言わんばかりである。

そのうちに酒気帯びなどの話になり

とうとう車内捜索へ、
するとふとバイト先の喫煙所の出来事を思い出す。。。

まずい...(正確には全くまずくない。笑)

バンドマン
渋谷
葉っぱ

当時のニュースの影響もあり、
3種の神器コンプリートだと思ってしまった。
あぁ、終わった。。。

警察:「これはなんですか!?」

みつかった。。。

私:「ナンデモアリマセン。タダノタバコデス。」

警察:「タバコなんですね、一応チェックしないといけないので。」

私:「エ、ソンナンスルンデスカ?イイデスケド...(ドキドキ)」

警察がタバコのケースを開ける。クンクンと匂いを嗅ぎ始めた。

私:(マジか、警察24時やん。ほんまに嗅ぐんや。俺はタバコやと思って吸ってたけど、万が一とかあるんか!?え!?)

2度、3度と匂いを嗅ぐ。。。

私:(もうやめてくれぇー!!)

警察:「うん、大丈夫です。渋谷も結構道が複雑ですから気をつけて下さいね。では。」

せぇぇぇぇぇふ!!(そもそもアウトでは無い笑)

その後、何とかライブハウスに着くことができた我々は
疲弊した体にムチを打ち無事にライブを終えたのであった。。。

これがシガレットクライシスである。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?