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Interview with Chris(Narakah)

<Interview date. 11,27,2021~12,20,2021>

ーインタビューに答えてくれてありがとう。奇妙な時間が続いてもうすぐ2年経ちますが、バンドは動いてますか?

確かに、パンデミックやその他諸々で本当に奇妙な年だったね。私たちは残念ながらコロナ禍と呼ばれるようになる期間に入る直前に活動を開始したから、2020年の1月に1回だけライヴをやってその後は最近まで本当に演奏することができなかった。
でもそのおかげで作曲に集中することができて既に2枚のアルバムを制作したし、3枚目のアルバム『Nemesis Cloak』も書き終えたところなんだ。17トラック、20分の内容をすぐにレコーディングしてリリースする予定だよ。


ーメンバーは他のバンドでも活動してますよね。Narakahが始まった経緯はどんな感じでしたか?
そう、前はAcolyteというメタリックハードコアバンドをやっていて、Narakahはその解散後に結成しました。ハードコアバンドをたくさんやっていたんだけど、実は何年も前から他の要素を取り入れたグラインドバンドをやりたいという考えがあってね。何年か前に友人のMike Rosswog (Complete Failure, Circle of Dead Children, Today is The Dayなど)とグラインド・プロジェクトのアイデアについて話し合ったこともあるんだ。
彼と一緒にNarakahを始める予定だったけど、その後彼は腕を怪我してしまい、家族のためにもっと集中したいと思うようになり非メタル的なドラミングをするようになっちゃってね。


ーその後メンバーはすぐ決まったの?それぞれのキャリアや、他に参加してるバンドがあったら教えてください。
ベースにはEvan Kunkle(Acolyte、Hindsight、彼は日本のリズムゲームの魔術師でもある)を加えました。それからボーカルのAdam Bailey (Meth Quarry, Slaves BC, Acolyte) 彼はユニークで独特な進化し続けるスタイルを持っていて、クレイジーなんだ。ドラムは友人のJason Spence。最近12年間のニューヨーク生活から戻ってきたんだけど、まさにぴったりだった。ピッツバーグのFirstdaydeadや、ニューヨークのProstitution、Shiro-Ishiiなどに参加していたほか、2000年代半ばにはOfficworkerというインプログルーヴ・デスグラインドのサイドプロジェクトもやっていたんだ。ブラストやフィルと並行してグルーヴを激しく打ち込む、Narakahにとって理想的なスタイルを持っていて、バンドに完璧にフィットすると思ったんだ。
全員がパズルの重要なピースを持ち寄って、みんなが好きそうな方程式を作り上げたんだ、ハハ。

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ーNarakahを見つけたときは衝撃でしたよ。 "90年代後半から2000年代初頭のピッツバーグ・スタイルを新しいひねりを加えて蘇らせる "とあったんですが、その時代のピッツバーグ・スタイルってどんなのですか?
つまり、初期のピッツバーグ・スタイルだね。Circle of Dead Children、Commit Suicide、Firstdaydead、Sadis Euphoria、Fate of Icarus、Creation is Crucifixion、Menorrhagiaなどのバンドを指してるよ。
シーンが盛り上がっていた当時のエネルギーを使い、自分たちが好きな影響力のあるもの、ユニークなルックス、サウンド、フィーリング、テーマをミックスしています。
音楽として直接影響を受けているのはDiscordance Axis/Gridlink, Old Deeds of Flesh, Burnt by the Sun, Nasum, Pyaemia, Internal Bleeding, Anaal Nathrakhなどですね。私たちが得意とするブラスト+グルーブという方式は、うまく噛み合ってリスナーが曲の中で必要とするもの全てを短時間で与えてくれるんだ。


ーシーンの盛り上がりや音楽性に地域差は感じますか?例えば、ピッツバーグとLAやNYの違いについて。
地域差は常にある。でもその時によって波もあるよね。
ピッツバーグのハードコアシーンは何度か崩壊と再生を繰り返しましたが、メタル・シーンはもう少し安定してたように思う。ピッツバーグには両方のシーンで活躍するミュージシャンが何人かいるんだ。そして、いつもそうですが、異なる、分離した場所には異なる徒党や人々がいます。


ーそうそう。Live at Black Forge Coffee House IIのライブ映像をyoutubeで見ましたよ。あれ地元ですよね?シーンの状況はどうですか?
ありがとう。 実はあれは今までで最高のライブだった。
私はピッツバーグ周辺のハードコアとメタルのシーンの間で時間を過ごしていて、どちらも様々な種類のバンドがメンバーを共有して盛り上がっている。 みんなライヴが再開されることに喜んでるよ。


ーシーンメイトについて。同年代で尊敬しているバンドや、地元で話題になっているバンドっていますか?
たくさんいるね。メタルでは......。
Riparian
Uzkost
Vicious Blade
Contemptment
Nullum
Greywalker
Post Mortal Possession
Abolishing the Ignominious
Constant Hell
Death of the Family
No Reason To Live
Bushido Code
Fawn Limbs...。

ハードコア/ビートダウン系では
Watcher
No Good Deed
Steel Nation
Facewreck
Eternal Sleep
Hurtpiece
Settle for Nothing
Mob Swarm
156/Silence
One on One
Inconsolable Wretch
Fire in the Blood
Human Animal
Spite the Beastなど、普通にここには書ききれないくらい素晴らしい友人がいるよ。
ああ、そうだ。ウチのベースのEvanは今、ビートマニアでレベル12を叩き出していて、本当にクレイジーだよ。


ーCDのクレジットにビートマニアって載ってたからそれについて聞こうとしてました(笑)
そう、Evanはリズムゲームダイナモなんだ!私を除いてメンバー全員ゲーマーで、複数のシステムやPCでプレイしてるんだ。

ー曲について、リフや曲の構成が全て超キャッチ―だと思ってます。どんな感じで作ってるんですか?
ああ。作曲は超速いよ。曲は長くても1分半しかないしね。他のバンドが1枚のアルバムを書いている間に2枚のアルバムを作って、もうすぐ3枚目が出来るくらい速い(笑)
たくさんのアイディアを持っていて音楽的にとてもよく調和しているから、時々行き詰まることもあるけどその時は解決策を考えればいいだけさ。
まずザックリ曲が出来たら、ダイナミクスを確保し、リフやパーツを編集したり変更したり、ハードヒットでキャッチーな、Narakahの音楽的な方式を使った曲にするために、重要で大規模な修正を何度も行う。アート、デザイン、サンプルワーク、歌詞を制作・修正しながら、アルバム全体の流れをデモで確認し、納得のいくレコーディングができるまで、すべてを行う。

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ー1曲ごとに含まれてるアイデアが多いですよね。
ありがとう。それぞれの曲は様々な要素やフックなどで構成されていて、キャッチーさ、デスメタル/ブラスト、グラインドにはないビートダウン的なブレイクなどとともに、不協和音とメロディーを多用する。これにJasonの広範囲に渡るサンプルワークとAdamの狂気のボーカルが加わって、全てを一つにまとめている。プロデュースはCerebral AudioのShane Mayerが担当している。
加えて、音楽、スタイル、アート、デザイン、サンプルワーク、リファレンス、ボーカルのパターンやスタイル、全体のサウンド、パッケージ、プレゼンテーションなど、細かいところまで非常にこだわっているんだ。


ーあと、やっぱ"Dakimakura"やエヴァのセリフのサンプリングとか、日本文化を取り入れた曲が気になります。
ああ。確かに日本のものがたくさん入っている。主にアダム、ジェイソン、エヴァンの3人が、アニメ、漫画、ビデオゲーム、文化的な側面から歌詞やサンプリングなどを担当してて、私はアートとデザインにそれを導入し、たまにゲームやアニメに関連した歌詞も担当します。
文化的な異常さ、暗号のようなもの、特殊効果、ゲームシステム、面白いと思うもののユニークなディテールまで、幅広いメディアにわたる曲があり、それらの領域で考慮しないものはほとんどありません。
私たちは本質的に、これらのテーマについてオタク的で残酷な「グラインド俳句」を書いてるんだ(笑)
自分たちが好きなことやインスピレーションを受けることについて書くのは、最高に楽しい。

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ーグラインド俳句!なるほど。ちなみにサンプリングされてた「知らない天井だ…」ってセリフ、あれ超有名なセリフなんですよ。
ああ、知ってるよ、ハハハ!あれは最初に作った曲で、その一部は実は私の昔のバンドAcolyteのイントロの残りから作られたものなんだ。


ー最初の質問でサラっと出てきましたけど、もう次作は出来てるんですね。
音楽的に変わったことや、新しい手法を取り入れたことはありますか?
次のアルバムでは、みんなが楽しんでいるのと同じ方式をたくさん残している。2月のレコーディング時には、たくさんの素晴らしいサンプル、アート、フィジカル・メディア、マーチャンダイズなどを用意する予定だ。
色んなパートがいいバランスで組み合わされてて、何人かのゲストヴォーカリストを招いて全面的にバラエティに富んだボイスを目指します。
センス良く配置しながらも、奇妙で狂気じみたサウンドにしたいね。
歌詞はほとんど完成していて、私とアダムがほとんど書いている。パーフェクトブルー、東方プロジェクト、ゼルダの伝説や、コーンヘッズ、となりのサインフェルドなど、様々なものをテーマにしているんだ。

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ーウチに送ってくれた作品から、音楽以外からの影響も十分感じました。他の分野でリスペクトしているクリエイターを何人か挙げてください。
個人的には、どちらかというとアート方面にいることが多いからね。いくつか挙げるとすれば、以下のような人たちです。
Dave McKean
Robbie Trevino
Shepard Fairey
David Carson
アーツ&クラフツ運動に関するもの、そして私の父Philip Smithは、版画家、彫刻家、水彩画家として有名です。

ー今調べて知ったんですが、これらのクリエイターはそれぞれ異なるタイプの作品を制作していますね。どんな作品からアートに興味を持つようになったんですか?
芸術的だと思うもの、うまく作られていると思うもの、クリエイティブなインスピレーションを受けてきたものはたくさんあるからね。特定のスタイルやアーティストを挙げることはできません。

ー最近はジャケットが完全にアート作品になってるアルバムもよく見ますよね。Chrisが知っている最高のアルバムアートワークを教えてください。
デザイン、パッケージング、どれをとっても素晴らしいものが多いから、難しいね。お気に入り(ジャケット、デザイン、タイポグラフィー、パッケージング)、またはインスピレーションを受けたものを挙げるとすれば…

Deadguy - 'Fixation on a Coworker'
Obituary - 'World Demise'
Bloodlet - 'Entheogen'
Pro-Pain - 'The Truth Hurts'
Helmet - 'Betty'/'Meantime'
Faith No More 'The Real Thing'/"King for a Day...'
Most every Incantation cover - 'Mortal Throne of Nazarene' in particular
Gridlink - 'Longhena'
Most any album by Coalesce
Anything Dave McKean did - Machine Head, Fear Factory, Front Line Assembly, Paradise Lost, Testament, Download, etc.

……このまま挙げていったら本が出来ちゃうからこの辺で止めとこうかな。


ーNarakahのアートワークってペインティングというよりグラフィックですね。どうやって作っているのですか?僕は簡単なコラージュしか作ったことがないのでどうやって作ってるのかめちゃくちゃ興味あります。
簡潔に話すのは難しいんだけど、、、まあ、私は音楽関係メインで展示物のデザイン、グラフィックやパッケージのデザインなど、企業向けのクライアントからファインアートまで幅広くアートしてるんだ。
クオリティを犠牲にすることなく素早く仕事をこなすこと、いくつかの非常にわかりやすいスタイルを持つことは、私の世界では重要なことなのです。
作品に応じたテクニックやメソッドを使っていて、Narakahでは今までは手描きではないビジュアルに頼っていました。多くはフォトショップのコラージュで、タイポグラフィーと面白いカラーパレットを取り入れたものです。
新しいアルバムではデジタルデザインから手描きのイラストレーションまで、あらゆる要素を取り入れる予定です。クリーンでミニマルでありながら、ディテールが散りばめられています。

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ー送ってくれた7inchサイズのアートワークやポスターもクールでしたよ。他に思い出深い作品はありますか?
最初のシャツ(ロングスリーブ)には、父のレトロな木版画のひとつを使いました。ミニマルで、多くのバンドが使うようなものとは全く違うので、これを選んだんだ。
自分がデザインするアルバムのルックスで人をだますのが好きでね。音楽は完全に狂気と残忍さを備えているけど、アートはシンプル・クリーン・ありふれた題材でありながら、デザイン性の高いレイアウトを見るのが好きなんです。両社のこの関係は常に私の興味をそそるので、一貫してアートのガイドラインとして使用しています。

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ーメタル、ハードコア、グラインド以外にどんな音楽を聴きますか?エクストリームミュージックの領域にいる人にこの質問をするのが好きなんだ(笑)

私自身もバンドメンバーも、ヘヴィな領域以外でも好きな音楽はあるよ。
ヒップホップ、80年代レトロ/ポップ、シンセウェーブ、インダストリアル、ローファイ・ビート、ロック、アンビエント、アコースティック、クラシックなど、数え上げたらきりがない。
練習場ではSpotifyのCity Popのプレイリストをよく聴いてます。これは日本や韓国の素晴らしいラウンジ・ポップスのようなものです。
サウンドトラックやK-POPからRamsteinやDevin Townsendまで、バンドとしての好みは多岐に渡る。
Ahumado Granujoやビートダウンハードコア、Faith no More、Helmetを聴いたかと思うと、次はOzzy、Depeche Mode、Mobb Deep、Wu Tang、Vomit Remnantsを聴くこともあるよ(笑)。


ーそんなわけで、2021年も残りわずかです。今年一番聴いたアルバムを教えてください。
うーん、、、全部を把握したり覚えたりするのは無理だな~。
Death of the Family - Surrender Means Extinction EP
Turnstile - Glow
Voices - Breaking The Trauma Bond
Anything on New Standard Elite Records - Meshum, Cerebral Effusion, etc.
Ekulu - Unscrew My Head
Axia - Adrenalizer (2020年だっけ?)
Make The Die Slowly - The Bodycount Continues (これも2020年。ハズレ笑)
Vomit The Soul - Cold
このへんかな。


ーありがとうございます!最後に一言!
アンダーグラウンドミュージックとフィジカルメディア、すべての会場、レコードショップ、レーベル、バンド、ミュージシャン、アーティストを応援してください。
インタビュー、私たちへの関心、そして私たちの音楽を日本で扱ってくれて本当にありがとうございました。
それでは、良いお年をお迎えください。


<Interview&TEXT by JAPAN(yosuke harada)>