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心理学統計 ①
1心理学で統計が必要な理由
心理学とは…心と行動の学問、心の理学です。
心理学には、
・行動や認知など、目に見える要素を客観的に観察しよう
・主観的、内面的な経験を理論に置き換えよう
という、二通りの考え方があります。
昨今では前者の「客観的に観察する」方法が主流です。
Q.じゃあ、どの観察するときには何が必要なんです?
A.信頼性と妥当性が必要になります。
信頼性
結果が一貫し、その条件下で同じことをしても結果は普遍的であること。
例:日本国民である、成人済みである、会社で働いているという条件下で「所得税を日本国に納めている人」は九割を超える。これはどの地域でも変わらない。変わっていたらやばい。
妥当性
測ろうとしているものを、どれくらい的確に測定できているかどうか。
例:私たちは時間を知りたいときには時計を見るが、同じ時間を計るストップウォッチを見ても時刻はわからないので、ストップウォッチに時刻を計る妥当性はないといえます。
Q.心理学に統計が必要なのはなぜです?
A.観測されたデータを目に見える形に落とし込むため。信頼性と妥当性を、目に見えた形にするためです。
そもそも、「心の現象」は目には見えません。
なので、かわりに目に見える「観測可能な行動」を観察します。
しかし、それらをいちいち記録しても大変複雑で面倒くさいので、それらを「数字」に置き換えます。
図に表すと下のようになります。
2心理学研究が目指しているもの
ただ単に、観測可能な現象を数値化して、それらをもとに結論を出しても意味はありません。
その結論が、全人類に当てはまるか、友達の田中君と新田君にしか当てはまらないかでは大きな違いがあります。研究の結果は、なるべくみんなに当てはまったほうが役に立つし、研究をきちんと評価してくれます。
具体例
田中君と新田君に協力してもらって、音感についてデータを取るとします。田中君と新田君は、音楽センスにあふれ、絶対音感を持ち合わせているので、音感テストでは満点を取ります。
この二人だけのテストの点数で、「点数平均から、全人類の音感テストの平均点は100点です」と言って良いのでしょうか。言えるわけがありません。
この、「研究の結果がみんなに当てはまるか否か」ということを、「研究結果の一般性」と呼びます。
「一部の例外は認めるけど、みんなにその研究結果が当てはまらないと、研究した意味はないよね。だって私たちには関係のないことだもの」と、今すぐぶん殴ってやりたいことを言われないためにも、この「一般性」はとても大切です。
3心理学の研究について
研究手順
1. データ集め
2. 記述統計
3. 推測統計
簡単にまとめると、「データ集めるよ。分析するよ。」です。
この「分析するよ。」には、二つのステップがあります。
記述統計と推測統計です。
記述統計
得られたデータが持つ特徴を理解しやすいようにまとめることです。
グラフにしたり、箱ひげ図にしたり、平均や標準偏差を出したりすることです。
要するに、ただの数字の羅列にしか見えないデータ群の傾向や特徴を、わかりやすくする統計のことです。
推測統計
得られたデータや記述統計で分かったデータの特徴や傾向から、母集団(みんな)の特徴や傾向を推測することです。それらの結果が、自分たちが主張したいことが本当に胸を張って主張できるのかどうかを確かめます。
データを集めて、それを理解しやすい形にまとめて、それらから「みんな」のことを推測する。ざっくりいうと、こんな感じになります。
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