【読書感想文】さよなら妖精

米澤穂信の青春小説×ミステリー×ビターエンドは絶妙なバランスだと思う。

本作で一番印象に残ったのは、守屋がマーヤに対し、「自分もユーゴスラビアに連れて行ってほしい」とお願いして、それをマーヤに諭されて断られるシーンである。

そこで、「形にできない何かを外の世界に求めてユーゴスラビアに行きたい自分」と、「明確な目的を持って日本に来て、ユーゴスラビアに帰っていくマーヤ」に決定的な差があることを指摘され、代わりに治安が落ち着いたら観光に来るように誘われる。

誰しも、変わりたいけど変われない、あるいはどう変わればいいか分からずもがき苦しむことはあると思う。そんなとき、やはり大きく変わるには変わるだけの強い動機がなければどうしようもないのだと思う。変わりたいと言いつつ変わらない人間は、結局の所、変わらなくてもそれなりにやっていけてしまうのだ。

だから、変われない自分を許しながら、ちょっとずつ成長していこう。

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