見出し画像

中二病とは何か?

このコラムでは、中二病とは何かについて説明しています。これを読めばあなたも中二病マスターだ!フゥーハハハ!!

(読了時間:約5分)

中二病は「条件つきの万能感」で表わせる

中二病とは、大人と子どものちょうど境目である思春期に発症する病と言われています。中二病の「らしさ」は大人と子どもの部分を併せ持つからこそ生まれるものです。その大人の部分は「条件つき」、子どもの部分は「万能感」によって説明できるのです。

万能感とは?

おさらいしておきましょう(分かっている方は読み飛ばしても構いません)。万能感は、何でも知っているし、何でもできる、そして何をしても許される感じのことです。万能感によって、あらゆる願いは魔法のように即座に叶えられるように思えてきます。なので、どんなモノでも、どんなヒトでも自分の思い通りに動くと考えるのです。

そんな神レベルにすごい存在なら、当然、価値も他の人たちよりはるかに高くなります。価値には2つのタイプがあります。比べられる(ナンバーワンの)価値と比べられない(オンリーワンの)価値です。この両方を、どちらも大きく感じさせるのが万能感なのです。

子どもらしさは、魔法によって支えられている

基本的に、子どもの心は万能感で満たされています。自分と他人の境目があいまいなため、自分の願いがすぐに世界に反映されることを望みます。だから「強くなりたい!」と思えば、すぐに強くなれる、そんな作品が好まれます。奇跡も、魔法も、あるんだよ。

たとえば、今年放映されている女児向けアニメの「HUGっと!プリキュア」では、プリキュアになりたいふたりの女の子に対して、プリハート(変身するためのアイテム)は1つだけという問題がありました。しかし、彼女たちの思いに応えて、金色の女神が現れ、晴れてふたりでプリキュアになることができたのです。

万能感で満たされた人にとって、願いが叶うために理由は必要ありません。なぜなら、なんでもできるのだから、なぜできるかを問う必要がないからです。できるものはできる。

そこで、「ちょっと待って、なんで突然女神が現れたんだ!?」と考え出すのが、大人の階段の第一歩です。

原因のない結果はないんじゃないか?

年齢が上がってくると、だんだん「どうしてこれが起きたのか?」が知りたくなってきます。この世界の因果関係が分かってくるのでしょう。

そのため、万能感は元よりも少し小さくなります。すなわち「○○なら、なんでもできる」と思うようになるのです。理由があればすごい力を発揮できる、こんな人だったらものすごいことを起こせる……そんな風に考えるのです。

たとえば、週刊少年ジャンプが好例でしょう。ジャンプは「友情・努力・勝利」を3本柱にたくさんの作品を輩出しています。しかし、あるネットの掲示板では、「血統・コネ・才能」の3本柱で物語ができているという人がいました。実際、有名どころの作品の主人公たちは、親がすごい人だとか、偉人の生まれ変わりとか、優れた師匠に出会うとか、元々才能を持っていたとか、そういう例に溢れているのです。

ジャンプを読むお年頃の少年たちは、何かしらの理由がないと、物語に違和感を感じて、納得できないのです。納得できなければ、作品をつまらなく感じるでしょう。「血統・コネ・才能」は、どれも登場人物がすごいことを示すための「理由」なのです。しかも、後づけ設定できるという作者目線の利便性もあります。

これに対して、ジャンプより年齢層が低いコロコロコミックなどでは、これらの理由は、あってもなくても構いません。「うおー!」「ばーん!」で敵を倒しさえすれば読者の子どもたちは、イイ気分になります。

なぜ右腕の呪われた力は封印されているのか?

思春期の少年少女たちは、様々な体験を通して、なかなか思い通りにならない世界に直面していくことになります。自分の持つ、理想の万能感(なんでもできる)と現実の無力さ(できない)の間で葛藤を起こすのです。

万能感は、自分を肯定する力の一種です。なので、それがなくなると一気に自己否定的な気持ちが増すのです。彼らは、それを避けるために万能感を維持しようとします。そこで出てくる理由づけが「自分はすごい!でも○○だから、一見すごくないように見えている」というものです。

「俺はすごい力を秘めている。しかしまだ周りのみんなはそれに気づいていない。自分『だけが』それを知っている……。ふふふ……」

「俺の右腕には呪われた暗黒の力が宿っている。しかしこの力を使うわけにはいかない。なぜなら、あまりに強大すぎて危険だからだ。俺ですらこの力をコントロールしきれていない」

などと考えるのです。これが「条件つきの万能」の一例です。この場合の条件は「未知」、「隠されている」という条件です。そうすることで、理想と現実のギャップを埋め合わせるのです。

まとめ

中二病は、大人と子どもの境目でかかる病とされています。それは「条件つきの万能」によって説明できます。条件つきの万能とは「○○ならなんでもできる」という意味です。理由があるから今はなんでもできるわけではないけれど、本当はなんでもできると思う(もしくはそれを実際に体現する)ことが、中二病の特徴なのです。

おわりに

私は今まで、万能感についていくつかのコラムを書いてきました。その原動力は、万能感自体が非常に興味深い概念だから……というだけではありません。中二病とは何かについて、納得いくものを書きたかったからです。

なぜ中二病について書きたかったかというと、それは私の好きな「とあるバンド」が関わっています。しかし、それについて解説するのはもう少し中二病を掘り下げた後とします。なぜなら、中二病自体が面白い概念だからです。解説したいことが山もりなのです。

よろしければ、スキを押していただけましたら幸いです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?