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早起きぱん屋さん

金曜日のお昼に、会社でKAMEYAさんのエビかつサンドを取りだし、朝のことを思い出しました。

その日はいつもより早い出勤で、お弁当は作れないから、(昼に食べるものをコンビニでを買って行こう)と思いながら歩いていました。途中で、千川通にパン屋さんがあったことを思い出し、(あそこのパン屋さんが空いていたら、パンを買って行こう)と、播磨坂を上らず、大塚方面に歩いて行きました。
ありがたいことに開いていました。店内にはいると、芳ばしい匂いがたちこめています。パン棚には焼きあがったばかりのコーンパン、レーズンパンが、行儀よく並んでいます。カツサンドやサンドイッチもありました。昔ながらの、コッペパンの真中にコーンとマヨネーズや、レーズンと砂糖をのせて焼いてあるパンで、こういうパンを見ると、とてもなつかしくなります。
 小学生になるかならない頃、網干坂を下りたところ、ちょうど今の生協がある辺りにローゼンベックというパン屋さんができ、そこも同じようなパンを売っていました。当時、自家製のパンを売るお店ができ始めた頃だったのでしょう。焼きたてのパンなどめったに口にすることはなかったから、ローゼンベックのパンは夢のようにおいしいと感激し、近くを通ると母にねだって、お昼やおやつに買ってもらったものです。こちらのお店もそのころ営業を始め、変わらない製造法、調理法をつづけていらっしゃるのではないでしょうか。

エビかつサンドをトレーに乗せようと手に取ると、バンズは人肌のぬくもりがあり、ふわふわでした。温かいうちにいただけたら、どんなにおいしいことかと思いながら、レジに持っていきました。

「おはようございます。」と
店の奥に声をかけると、
「お待たせしました、おはようございます。」と女性が出てきました。
少しウェーブしたショートカットのグレイヘアに白いエプロンをつけたその女性は、
早朝から一仕事した後なのでしょうけれど、まったくそんな疲れは感じさせず、この日の風のようにおだやかでした。
会計をすませると、
「今日は昼には20度以上になるそうですよ。お気をつけて。」
と、笑顔で声をかけてくださいました。学生の頃、「いってらっしゃい」と毎朝母に見送られた頃の、懐かしい記憶がよみがえりました。
「このパンを食べて、のりきりますよ」
と答えて店をでたのでした。

 会社でおそるおそるパンを取り出しましたが、幸いなことに昼になってもパンの柔らかさはそのままでした。生地は卵と牛乳がたっぷり使ってあるのかほのかに甘く、ブリオッシュのようでした。そのまま食べてもおいしそうなパンに、大きなエビかつが気前よくはさんでありました。オフィスの窓から明るい外の景色を見ていて、小さな楽しい計画を思いつきました。(次は、ポットにカフェオレをいれて、カメヤさんでぱんを買い、出勤前に竹早公園で朝食をとろうかな。)

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