修羅の国に22口径で乗り込むこと

先日、電撃大賞金賞の「勇者症候群」を読了した。
カッチリした構成・異世界転生のカリカチュアをドラマとしてきちんと落とし込む凝った設定・劇団イヌカレーの挿絵に負けない程のおぞましさと怪しさ、そしてバトルの描写力。
とにかくお話として面白い。面白いのだ。
正直これが修羅の国・電撃大賞で登り詰めた作品なのだと叩きつけられたような読後感だった。

翻って僕の出そうとしてるものを振り返る。
MW文庫の拾い上げなんて低い目標で書いているが、ストーリーは面白いかと言えばわからない。構成だけはカッチリさせたが中身はなんともフニャついているし、いちいち波が低い。
掴みも刺々しさがあってイマイチ自信が持てない。
僕のかつての売りだった描写力も落ちているようにすら感じていて、語彙も貧弱だ。
キャラが魅力的かどうかと言えば、ヒロインがわりと鼻につく人も多そうなキャラで、他も魅力的に見えるかは怪しい。
しかもこの話、僕の嫌いな「ポリコレの自己顕示」みたいになってる部分も少なからずあって、そこを嫌われる可能性だってある。

まあ、早い話が自分の作品に自信が無いし心配だしで、これから殴り込む修羅の国に対して携えた武器がちゃちな22口径リボルバー拳銃に見えて仕方ないという話だ。
うみまち鉄道運行記と言う荒削りなダブルデリンジャーみたいな小説で立ち上げ直後の審査員賞を取った過去こそあるが、あれこそラッキーにラッキーが重なった結果みたいなもんだ。
より大きな賞だったら弾かれていた可能性だって濃厚だった。 
あの一作より今の作品は弾数は増えて多少洗練されているが、熟れた分、作品の熱量と威力は確実に弱くなっていると自分でさえ思う。
自分の好きなものを詰めたが熱量が小粒すぎ、面白くするための解像度も微妙で、正直目に止まるか、拾われるかも怪しい予選落ち佳作止まりで終わりそうな予感すらある。

ここ最近公募に落ちてばかりで、自信はより無くなって来ている。
やめろと言われても直らない推敲書きや集中力散漫、夕方の「死ぬ死ぬ病」の恒常的発症による時間浪費もあって、10万字ちょいの長編一本で何度も寄り道して数ヶ月、11枚の企画書で限界まで集中して一週間かかるくらいには遅筆で、その遅筆のおかげで公募応募自体が時間がかかるし難しいという有様だ。
持ち弾を作るのがもう難しいし、数撃つ以前の問題な訳だ。

アウトプットの体たらくぶり、プラス面倒くさがりで、本来必要なインプットも減りまくって、余計に自分の引き出しが減ったり物事の解像度が落ちているのが自分でも実感出来ている。

まずはインプットとして本を読まなければ、映画やドラマやアニメを見なければいけないのに、書いている時間が伸び伸びになって、その他の時間も鬱っていたりTwitterをしていたり絵を描いてたりで、何も出来て居ない。

休み時間を作るポモドーロはタイマーこそ買ったがなかなか上手くいかない。
二時間くらい流れのまま書いて、途中で詰まって、Twitterを見るか数時間ベッドの上で死ぬ死ぬ病発症の悪循環だ。

なんでまあ、ここまで要領が悪いのか。
公募もウェブも両立出来ず、数撃つ弾も用意出来ず、インプットも上手く行かず、その作品もかけた時間に対して他と比べたら大して面白くないという、酷いしろくでもない話だ。

修羅の国・電撃大賞で僕のちゃちで威力も熱量もない作品が誰かに刺さるか。
多分その確率は極めて低い。
なら他の賞ならばと思うが、弾を用意するのに時間をかけてしまう自分ではきっと駄目な気もする。
 

電撃大賞の執筆期間を割いて企画書を書いたストレートエッジのプロットコンテストの結果がもうすぐ発表されるが、今の時点ですら受かってくれと言う気持ちと、駄目だろうなという気持ちで綯い交ぜだ。

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