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開発途上国での生理事情【Day82】

任地49日目。

今週は水曜あたりから頭痛が続き、連日体調が優れなかった。

月曜のパーティーと先輩の訪問から始まり、木曜は誕生日祝いをしてもらい、疲れとホルモンバランスの崩れと悪天候など、色々重なってしまった。

しかし、主な原因としては生理が関係しているであろう。生理前になるとどうも気分が落ち込んだり、体調を崩しやすくなる。

折角なので、開発途上国での生理事情について書きたいと思う。

1. 女性協力隊OGの体験談

協力隊員になる前に、女性として気になるのは開発途上国での生理事情である。

説明会や報告会に参加してもそういった話は質問しにくく、周りに協力隊員の知り合いがいないと情報が手に入りにくいものだ。

試験前に運良く、マラウイに派遣された隊員と知り合いになり色々話を聞くことができた。

さらには、訓練中でも女性候補生たちの間ではやはり生理についてはみんな不安を抱えていたので、色々と情報を得ることができた。

2年間派遣されるとなると、月に一度にくる生理は女性にとっては大きな負担となるのものだ。

これから派遣される人にも参考になればと思い、派遣前までに集めた情報を共有する。

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生理が止まってしまう人もいれば、日本にいた時よりも生理痛が軽くなった人もいる。
→これはストレスが関係しているが、症状は人それぞれである。日本でも同様だが、ストレスを溜めないことが大切である。

実際に、私の場合は前回の生理の際に、20日目周期で生理が来た。今まで周期が狂ったことがなく、こんなに早く来たことがなかったので正直焦ったが、周期が短くなったり、早くなったりすることはよくあるそうだ。今回は通常周期に戻ったのでホッとしている。

血の付いたナプキンが悪用される可能性がある
→黒魔術がある地域での話になる。
血は人を呪う為に使われることがあるため、血の付いたナプキンが悪用される可能性があるそうだ。
“あなたのナプキンを誰かが持って行って、あなたを呪うことができる”と現地の人に言われたそうだ。恐ろしい…

ゴミが漁られ、血の付いたナプキンまで他の人に見られてしまう
→外にゴミを出すシステムの国で、出しておいたゴミが漁られることがあるようだ。そのため血の付いたナプキン等を見られ、精神的なダメージにつながるケースがあるようだ。(本人は最終的に慣れて何も思わなくなったと言っていた。強い。)

ガソリンでナプキンを燃やす
→上記のようにナプキンを捨てにくかったり、ゴミの回収システムがない場合、ガソリンをかけて他のゴミと一緒に燃やして処理するそうだ。

◯人によっては、スーツケースが日本のナプキンだらけになるようだ。日本の製品のすごさが、海外に出て分かる。日本のナプキンってすごい!!


2. ルワンダでの生理事情

ルワンダでは地方でもナプキンが手に入る。(バスもない田舎に関しては今度調べたいと思う。)

Every Time(左上)はザンビアからの輸入品だが、 always(右上)とDear Mother(下)はルワンダで生産されているようだ。

日本円で100円前後で8〜10枚パックのものを購入できる。しかし、現地の人にとっては10円で野菜が買えてしまうので、ナプキンの購入は大きな負担となるだろう。

使い心地としては、大きくてゴワゴワしているので、やはり日本の物の方が吸水率がよく使い心地は良い。正直なところナプキンがないよりはマシである。

ナプキンに関しては、地方でも手に入るので心配はいらないと思う。強いて言うのであれば、昼用と夜用のナプキンの中間くらいの大きさなので、日本ほどサイズの選択の幅は狭い。

私の場合は、ルワンダでの最初の生理ではナプキンを使用していたが、任地に派遣されてからは経血カップ(スクーンカップともいう)に変更した。


3. 経血カップとは?

ナプキンやタンポンといった生理用品の1つである。日本ではあまり馴染みのないものかもしれない。

経血カップ、月経カップ、生理カップと呼び方は色々あるようだ。日本ではナプキンの使用率が高いが、海外で普及している。

使い方は、タンポンのようにカップを膣の中に入れて使用する。カップが経血を受け止める役割をする。

ルワンダには、メルーナとエヴァカップの2種類を日本から持ってきた。ルワンダで月経カップはまだ見かけていない。

メルーナは取っ手がついているので、個人的にはエヴァカップより使用しやすかった。

日本にいる時はナプキンしか使用していなかったので、膣の中にカップを入れるのに抵抗があった。

また、レビューを見ていると、“出し入れに苦労した”“違和感がある”といったネガティブなコメントもあったので不安もあったが、ナプキンを使用している時よりも快適である。

個人的には鼻がいいので、ナプキンの化学繊維と血液が反応した時の匂いが苦手であった。不快な臭いが無くなったのは経血カップを使用して嬉しいことの1つである。

☆経血カップについてはハヤカワ五味さんがnoteの記事を書いているので参考にまでに。


4. なぜ経血カップにしたのか?

理由は主に以下の3つである。

⑴使用済みのナプキンの処理に困った
首都キガリではゴミの回収が行われているが、地方ではゴミは家で燃やすのが一般的である。
プラごみやナプキンを燃やすのは、エネルギー環境を専門としている私としてはどうしても抵抗があったのでゴミを出さない又はできる限り減らす選択をした。

⑵エコである
経血カップはシリコンでできているので、洗って消毒をすれば何度も使用できる。3,000〜5,000円程するが、長期的に見れば、毎回の生理でナプキンを購入したとするよりも経済的である。

一回の生理で200円〜300円コストがかかったとすると、年間200円×12ヶ月=2,400円。2年間で元が取れる予定である。

布ナプキンも考えたが、洗うのが大変なのと、雨季だと乾きにくく、カビが生えたりして衛生的に良くないと思い断念した。

⑶ 衛生環境が悪い
活動中は学校にいるので、学校のトイレを使用する時がある。できる限り家のトイレを使用しているが、時間がない時や緊急時は学校のトイレを使用する。

トイレットペーパーはもちろんなく、穴の中に用を足すようになっている。

コバエもたくさん飛んでおり、臭いもキツイ。生理の時にここでナプキンを変えるのは、衛生上あまり気が進まない。

以上の理由から、経血カップを利用している。

経血カップは外さない又は長時間使用しない限り普通の生活と変わらないので、とても快適である。また、就寝時にも血液の漏れを防いでくれるので、夜用のナプキンがなくても安心である。


5. 婦人体温計の利用

女性の協力隊員は訓練時から基礎体温を測るよう言われている。

もともと訓練前から基礎体温を測っていたのだが、自分の身体を知るためにはとても大事な事だと思っている。

基礎体温計はOMRONの婦人体温計を利用している。

Bluetooth搭載で、アプリ連携があるので面倒くさがり屋の私でも測ることができている。データの記録機能もあるので、アプリの起動が面倒な時でも記録されているのはありがたい。

排卵日や生理日が基礎体温によって予測できるので、落ち込みやすかったり、疲れやすかったり、体調が悪くなるのが同時に予期できる。

心身共に体調をコントロールするためには、基礎体温の測定はとても大切だと思っている。


6. 学校での取り組み

最後に私の配属先での取り組みを紹介する。

9月にGirl's Roomのお披露目会があったことを紹介した。

生理で学校を休んでしまう女子生徒たちのために作られた部屋である。

先程、衛生面でも記したが、生理の時はなかなかあのトイレを使用したいと思わない。

また、金銭的に厳しい家庭ではナプキンが買えず、ボロ布や葉っぱなどを代用している女の子もいると聞いた。そして、生理になると学校を休んでしまう女の子が多いことが問題になっている。

Girl's Roomは、生理のために学校に来れない女の子たちが、休んだり、洗ったり、ケアができる施設なのだ。

中には2段ベッドがあり、生理で辛い時に休めるようになっている。

ナプキンやタオルが常備されており、女の子たちがいつでも使用できるようになっている。

そしてシャワーや洗面所が隣接しており、経血を洗い流すことができる。

そして、感動したのが上についている扉である。これは、使用済みのナプキンを入れる扉なのだが、焼却炉と繋がっている。

焼却炉が部屋の横に備わっていて、使用済みのナプキンを誰にも見られることなく捨てることができるのだ。なんて素敵なシステムなんだろうか。

Girl's Roomはできたばかりであるが、生理になった女の子たちにとって、学校に来やすい環境になることを願っている。

(2019/10/20)

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