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僕らがつなぐ任地STORY~NTCの談話室から~|活動記録

2019年度1次隊二本松訓練所の同期の有志で、結果や成果に捉われない振り返り会、その名も『僕らがつなぐ任地STORY~NTCの談話室から~』を10回にわたって開催しました。


NTCというのは二本松訓練所のこと

70日間を共に過ごした生活班にある

“談話室”

まるで談話室に仲間たちが集い

話すようなイベントを目指しました。


イベントの経緯や内容、感想について活動記録としてまとめました。仲間と共に走り切った23日間の活動記録です。
よろしければご覧ください。


1. イベント企画の背景

※企画背景からちょっと長めです。詳細については(補足)企画書に詳しく内容を記載しているのでご覧ください。

本イベントを行うきっかけとなったのは、7月8日(水)に生活班内で行った活動発表会でした。

私が訓練時に所属していた4班の仲間たちは“ノリと勢い”、通称「ノリイキ4班」

元気で、明るく、ノリの良い人たちばかり。そんな彼らとは、緊急帰国後から毎週水曜19:30から班ミーティングという名の集いをしていました。このミーティングには、生活班担当のスタッフの方も参加してくれていて、毎週の楽しみでした。

JICAから延長、登録、事態の「3つの選択肢」が言い渡されてから、現職組が8月2日に契約が解除されることになりました。4班の仲間にも現職参加が数名いて、帰国してからもいつか任国に戻れることを期待しながら教材や資料づくりに励んでいる仲間たちの頑張りを傍らでみていました。

国によっては中間報告や最終報告がありましたが、派遣期間8ヵ月の隊員のほとんどが報告もなく職場復帰していくという現状にありました。そんな中で、大好きな生活班の仲間のために“何かできないか?”と考えていたときに思い浮かんだのが「活動発表会」でした。

実際は報告会というよりも、任国で、任地で、こんなことがあって、こういうことを感じたよ、学んだよ!とか、こんなことが楽しくって大変だったよ!といったような自分自身の振り返りの場としての提案でした。

ありがたいことに、班ミーティングに参加してくれている全員が賛同してくれて、発表会を行う運びとなりました。

初日は7月8日で、3時間かけて6名が発表を行いました。


“他の隊員のSNSの投稿が眩しかった”

“自分がここにいる意味が分からなかった”

“現地のためになっていた気がしない”


仲間たちの活動でのモヤモヤ、失敗、悩み、悔しさ、大変さ、無力感、協力隊ならではのキラキラしていない苦悩を知りました。

70日間生活を共にし、
いろんなことを乗り越えてきた
仲間に向けてだからこそ話せる
“ホンネの話”

報告会では絶対聴けないような、仲間たちの活動や想いを聴くことができました。彼らの話は経験した人にしかわからない大変貴重な話でした。

そんな尊い時間を仲間と過ごす中で、班での発表会前半が終わった後にこんな想いが沸々と湧いてきました。


“4班だけの発表ではもったいない”

“隊員自身が活動を振り返る機会をつくりたい”

“もっとこの機会を同期に向けて増やしたい”


これをきっかけに、7月9日(木)の夜に2019年度1次隊の二本松訓練所の同期全体に向けて企画が動き出しました。

夜中にも関わらず、ラオス、ナミビア、ガーナの仲間に声をかけたら全員が即反応し、その場でミーティングが始まりました。不思議なことにあれよあれよとトントン拍子にイベント企画が立ち上がりました。

緊急帰国以来、これまで“今自分ができること”に焦点を当てて活動をしてきたノウハウやつながりがここでかなり活きました。(これまでの帰国後の活動については以下の記事をご覧ください。)


後からヨルダンとザンビアの仲間も加わり、6人体制で企画・運営を行いました。8月2日には契約解除になるため、7月中には終わらせたいとのことでかなりのスピード企画・運営になりました。

“できる人ができることをやる!”をモットーに各自ができることを補いながら企画運営しました。翌日7月10日には同期全体LINEで発表者を募集し、日程調整を行った後に、7月18日には第1回のイベントがスタートしました。


それでは、

僕らがつなぐ任地STORY
〜NTCの談話室から〜

のはじまり、はじまりです。


2. 目的

イベントの目的は以下の3つです。

1. 隊員が協力隊での自身の活動について振り返る
2. 仲間の活動や任地、活動での感動や想いを共有する
3. 同期隊員が集い、再会し、つながる場になる


3. 対象

参加対象は以下の通りです。

〇2019年度1次隊 二本松訓練所の同期隊員
〇NTC関係者(スタッフ、講師)
〇各任国現地事務所関係者のみ

対象を限定したのは、報告会のような堅苦しさを出したくなかったからです。

参加するみんなが顔見知りで発表者が安心して話せる場、そして聴き手もイベントに参加しやすいように。知っている人たちに向けてだからこそ話せる“一歩踏み込んだ任地での話”になってほしいという願いがありました。


4. 期間

7月18日(土)〜7月31日(金)20:00~21:30
10回に分けて2~3名/1日で行いました。

※詳細については7の「実施結果」へ


5. 発表方法

▷各日程、発表希望者2~3名でトークリレー方式で発表を行う。
▷発表者1名につき30~45分で行い、参加者はミュートを解除して参加可能。

PowerPointで発表する方が多かったですが、中には写真だけの方や語りだけで発表する方もいました。


6. 概要

70日間を共に過ごした仲間たちに向けて、現地での楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、悔しかったことなど自分自身の経験や体験、気づきを共有し、話すことを通して、協力隊の活動の一区切りとして、自分自身の今の気持ちを整理する機会をつくりました。

1回のイベントの時間は1時間半。各自話しやすいスタイルで、ZOOMを使って発表を行いました。

イベントの流れは以下になります。

〇5分|イベントの概要説明と注意
〇40分|1人目の発表(参加者からの質問や感想を含む)
〇40分|2人目の発表(参加者からの質問や感想を含む)
〇5分|NTCスタッフや現地スタッフからのコメント及びまとめ
〇15~30分|参加者の交流タイム

各回、運営メンバーの中からファシリテーターとナビゲーターを分担して進行しました。


7. 実施結果

▷発表者詳細
同期隊員の発表は、22名!

さらに、嬉しいことに22名中9名が生活班のメンバーでした。班内で発表を開催したこともあり、班の仲間の参加率が多かったことはとっても嬉しかったです。


▷発表者の任国

以下の計16カ国。
※括弧は人数を示しています。

インドネシア、ガーナ(2)、カンボジア、ザンビア、ジンバブエ、ケニア(3)、タンザニア(3)、中華人民共和国、ナミビア、東ティモール、ミャンマー、モルディブ、モンゴル(2)、ヨルダン、ラオス、ルワンダ


▷発表者の職種
以下14職種。
※括弧は人数を示しています。

青少年活動(3)、マーケティング、コンピューター技術、音響、小学校教育(6)、理科教育(2)、環境教育、日本語教師、体育、水泳、ラグビー、柔道、栄養士、理学療法士


▷発表日程と参加者数
累計313名の方にご参加いただきました。各回における詳細は以下の通りになります。

 第1回 7月18日(土)|36名
 第2回 7月20日(月)|35名
 第3回 7月22日(水)|30名
 第4回 7月24日(金)|23名
 第5回 7月26日(日)|24名
 第6回 7月27日(月)|44名
 第7回 7月28日(火)|29名
 第8回 7月29日(水)|21名
 第9回 7月30日(木)|34名
 第10回 7月31日(金)|36名


▷参加者分布
合計94名の方にご参加いただきました。

・企画・運営|6名
・同期隊員|70名
・NTCスタッフ・講師|10名
・現地事務所|8名


運営・企画と同期隊員を合わせるとなんと…76名!同期の半数近くが参加してくれました。

また訓練所の所長がお忙しい中5回も参加してくださったり、他にもNTCのスタッフさんの中には全10回参加してくれた方もいたりと、隊員同士、所長やスタッフ、現地事務所とがつながる非常に良い機会となりました。


8. 感想・まとめ

このイベントをやって心から本当によかったです。

退所後に交わることのなかった同期隊員やNTCのスタッフの皆さんと再びオンライン上で集うことができ、交流する場を設けられたことは非常に嬉しくお思います。

イベントでは会を重ねるごとに、久しぶりに会う同期隊員やスタッフ方々の参加が増えました。隊員同士が生活班や各任国、語学クラスの人々に声をかけてくれて、参加者の輪が広がっていきました。

さらには、NTCの所長を始めスタッフの皆さんや現地事務所の方々が参加してくださったのもとっても嬉しかったです。

特に所長とは、退所する最後の時に言葉を交わした記憶しかありませんでした。まさか所長がイベントに参加してくれるとは予想していませんでしたが、毎回参加するたびに楽しそうに隊員の話に耳を傾けてくれていました。そして、メモを取って隊員一人一人に向けて温かいコメントや質問を毎回してくれました。所長に活動について聴いて頂けるこんな機会はなかなかないので、非常に貴重な機会となりました。

そして最後になにより嬉しかったのが、全10回参加してくれていたスタッフのUさんからの最終回の最後に私たちに向けての話してくれた言葉です。

印象的だったのは「私たちは訓練所出た後の事を知る術が中々ないので、活動の報告を聞かせてもらえるのは本当にありがたい」とNTCのスタッフさんに言われたこと。そのスタッフさんは「NTCスタッフになって3年で1番嬉しかったのが、この一連の発表を聞かせてもらえたこと」とまで言ってくれた。感謝。(東ティモールH隊員Twitterより)

おそらくUさんが一番このイベントのファンでした。そんな彼女からの涙ながらのコメントは、このイベントをやって本当に良かった!と思わせてくれるほど、多くの参加者の心に響きました。


本来の目的であった、以下の3つは十分達成できたかと思います。

1. 隊員が協力隊での自身の活動について振り返る
2. 仲間の活動や任地、活動での感動や想いを共有する
3. 同期隊員が集い、再会し、つながる場になる


これまで一人でイベントの企画運営を行うことが多かったですが、同期の仲間と一緒にできたことはとても心強く、なおかつ数倍楽しかったです。そしてなにより、みんなでこのイベントを開催できたことをとても誇りに思います。


COVID-19で緊急帰国をしていなければ、
こんな機会はきっとなかった。


私自身は待機延長を選択しましたが、既に8月2日をもって契約解除し職場復帰をしている隊員が数多くいます。これからの仲間たちの活躍と成長を楽しみにするとともに、私自身もやりたいことに向けて精一杯精進していきたいと思います。


9. 御礼

まず初めに、短い期間の中で企画・運営を一緒に走り切ってくれた5名の仲間たち。彼らがいたからこそスピード感を持って10回のイベントを成し遂げることができました。

イベントを行うきっかけとなったノリイキ4班のみんなとスタッフのUさん。イベント最中にも毎回参加するごとにフィードバックをくれるHさん、連絡するごとに熱い思いを伝えてくれるスタッフのUさん、賛同しては発表者として参加してくれた仲間、中には10回皆勤や5回以上参加してくれた仲間。彼らが見守っていて応援してくれていたので安心してイベントを開催することができました。

そして、同期隊員のみんな、所長やUさんをはじめとしたNTCスタッフの皆様、各国の現地事務所の皆様、多くの方の協力と支えがあってこのイベントをやり切ることができました。

この場をお借りしまして、深く御礼申し上げます。
ありがとうございまいました!!!


(補足)企画書の内容

COVID-19により世界中の協力隊員が帰国を余儀なくされ、さらには120日間の待避期間が終わりを迎えようとしている。国や自治体によっては既に報告をする機会があった隊員もいるが、自身の活動を伝える機会があった隊員はかなり少数である。派遣期間が1年未満の2019-1の隊員のほとんどが、中間報告、最終報告、帰国報告もない状況にある。特に1次隊は現職の参加が多く、8月2日以降には職場復帰、もしくは既に任期短縮や職場復帰している隊員が多い。また、現職でなくても進学や就職、別の進路により辞退を選択した隊員もみられる。

本企画では満期終了や辞退を選択した隊員を中心に、延長・登録を選択した同期全員を対象に、“報告や成果”には重きを置かず、“隊員自身が自分の活動を振り返ること”を目的として振り返り会を行う。70日間を共に過ごした仲間たちに向けて、現地での楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、悔しかったことなど自分自身の経験や体験、気づきを共有し、話すことを通して、協力隊の活動の一区切りとして、自分自身の今の気持ちを整理する機会として、次に進むための後押しにしていきい。目的として振り返り会を行う。

さらに、訓練を終えてから各国に派遣されてから同期隊員同士のつながりが薄れ、疎遠になっている隊員も多いため、この機会をきっかけに仲間たちが集い、訓練所の談話室で再会するようなそんな場を目指していきたい。


(2020/08/09)

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