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Sense of wonder【Day88】

任地55日目。
※写真は最後にあります。

朝からお昼まで雨が続く土曜日。

昨日から引き続き、外に出たくてうずうずしていた。

午後になり、ようやく雨が止んだ。
それでも、降ったり止んだり。

晴れ間を見つけて庭に飛び出した。

誰にも邪魔されず、じっくりゆっくり生き物を探し、観察する。

足下の小さな世界に目を向けると、そこにはたくさんの小さな生命が存在していた。

アリが蛹を持って大行列を組み、巣の移動をしている。

テントウムシの幼虫が、葉っぱの上をのそのそ歩いている。

草の上を歩けば、バッタが跳ね、ハエが舞う。

どこからかカサコソッと音が聞こえたと思えば、トカゲが顔を出す。

窓枠の下には2匹のハチがせっせと巣を作っていた。

生き物たちの生活の様子を五感を使って全身で感じとる。

嗚呼、なんて幸せな時間なんだろう

この自然観察を通して、レイチェル・カーソンの“Sence of wonder”という言葉を思い出す。

センス・オブ・ワンダー センス・オブ・ワンダー(英語: sense of wonder)とは、一定の対象(SF作品、自然等)に触れることで受ける、ある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり、それを言い表すための言葉である。

身近な自然はすぐ傍にあり、私たちの生活と密接している。
私たちもまたこの生態系の一部なのだ。

“虫がいない”というフィルターを取り除いてみたら、目の前に大好きなイモムシが現れた。

家の横のコンクリートの上に黒いトゲトゲしたイモムシがぽつんっとうずくまっていた。

久々のうねうねと動く様子に興奮する。
ルワンダに来てから一番大きなイモムシだ。

後で調べたら、おそらくルリモンクロタテハモドキ〔Junonia oenone〕、別名アフリカタテハモドキの幼虫だと思われる。

毒がなさそうだと分かったので触ってみる。“ふふ、イモムシだ”と嬉しくなる。
食草を探して、成虫になるまで育てたい。


自然を肌で感じ、生き物を愛でている時間はなんとも心穏やかで、彼らの住処を覗いていると幸せな気持ちになる。


雨が一降りした後、今度は家とは反対側の丘を下ることにした。

山の陰になっていたが、そこにはユーカリ林が広がっていた。

民家が少ないため、人もいない。
誰にも邪魔されず、自分のペース自然を満喫する。

“ここの場所、この景色が好きだなぁ”

新しい場所を歩くたびに好きな場所が増えていく。

ずんずんとユーカリの林の間を進み、丘を降っていく。

道なのか、道ではないのかよく分からなかったが、細い道を1人降っていく。

虫があまりいなかったが、この丘を麓には赤土の道路が見えた。

どこまで続いているんだろうか。
山々が連なる景色の先に道が続いていた。

いつかその先を歩いてみたい。

時刻は17:15。

日が傾き始め、遠く向こうから雷の音が聞こえ始めた。

好奇心と闘い、後ろ髪を引かれつつ、引き上げることにした。

丘を登ると、遠くでは雨が降っているようだった。 雲の下が霞んでいる。

雨が西日に照らされて、虹がかかっていた。

ルワンダに来てから初めて見る虹だった。お墓を背に虹を見る。

いつか虹が出た麓の方まで歩きたい。

(2019/10/26)

#青年海外協力隊 #JOCV #ルワンダ
#ルワンダ昆虫記 #センスオブワンダー
#生物調査 #フィールドワーク

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