介護職が恐れる、利用者からのハラスメントとは

広く見れば他人との関わりの中で働く、一種の接客業でありサービス業である、介護職。人には十人十色の性格や事情がありますから、入居者によってはハラスメントが発生する可能性もあります。利用者から受けるハラスメントは、肉体的、精神的、性的の三つに分類できます。

肉体的ハラスメントは、殴打や物を投げるなどの暴力的なものになります。精神的ハラスメントは、理不尽な要求や罵倒などによって、肉体ではなく精神に傷を負ってしまうものです。最後に性的ハラスメントは、過度なスキンシップや卑猥な言動によって不快感を与えるものになります。こういったハラスメントに対しては、相手が利用料を払っている立場であり、また年上であることから、黙って耐えてしまう人も多く、そのせいで心身ともに疲弊してしまう人もいます。しかし、ハラスメントという言葉でまとめられるこれらの問題は、他人を故意に傷つけるものである以上、立派な犯罪です。「従わなければ」「耐えなければ」と思わず、毅然とした態度で対応することが重要です。もちろん、決して一人で対応しようとせず、上司や窓口に必ず相談しましょう。対応マニュアルを作成する、複数人の職員で対応するなど、負担を軽減する方法が必ずあるはずです。

一方で、入居者の中には認知症など、感情のコントロールが難しい人もいるため、そういった事情を理解し、その人に合わせた対応をすることも一種の解決策です。とはいえ、それは過度な要求にこたえる理由ではありません。重要なのは、サービスの範囲をきっちりと定め、それに沿った対応を行うことなのです。