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Life|原稿料をもらって書くということ

noteの投稿が、昨日で100投稿になりました。連続投稿も80日を超し、「オチを見つけて構成して書く」ということが毎日に組み込まれてきました。

noteを有料にしてはどうですか?」ともいわれるのですが、原稿料をもらって書いているメディアに対しての敬意と、自分のなかでも毎日noteで書いていることは、原稿料をもらうレベルではない、と思っているので、無料公開のままでいいと思っています。

では、「原稿料をもらうレベル」とは何なのでしょうか。

事実を書くとはどういうことか

結論から言うと、「事実が正しく書かれているか」です。

これだけ長く商用原稿を読んだり、書いたりしていると、事実をしっかり押さえて書けるというのが、原稿の信用になり、書き手の質になるというのを感じます。

質の高い原稿の条件は、以下のものかなと思っています。

①客観的事実をもとに論が組み立てられているか
②事実が過去の事例と比較されているか
③事実の別の見方が提示されているか
④人名、企業名、固有名詞が正しく記載されているか
⑤主観があったとしても事実と区別して記述しているか

注意してもらいたいのは、これはあくまで書き手の視点とは別の「原稿の質」に関しての条件です。

いい視点なんだけど、原稿が甘い」って僕が感じちゃうのは、この辺りがきちんと書かれていないことが多いと思っています。ちなみに、こういう部分を指摘するのが編集者の仕事だったりします。

この点で僕自身のnoteは、残念ながらこの条件を満たしていない。なので、有料にするにはためらいがあるのです。

これは決して、「お前のnoteは、事実の間違いがあってもいいってのか?」という意味ではありません。

僕が毎日更新している目的は、商業原稿を書くための筆力の発表の場ではなくて、同時代への感度を高めるためと瞬発力のトレーニングだと思っています。

だから目標は1時間で書き終えたい。そうするとできるだけ事実確認などのタスクを減らすために、間違いが起きないような書き方、原稿の信頼度を上げない代わりに、下げない書き方をするテクニックを使っているのです。

そのあたりを少し解説します。

せめて感想と事実の線引きを明記する

たとえば、先日書いたこのnote。公式のおすすめにもなって、3000ビューにもうすぐなろうとしています。とてもありがたいことです。

この記事も、僕のなかで、かなり逃げた原稿の書き方をしています。

①京セラのナイフの型番を特定
②重いナイフが使いやすいの根拠
③伝統的に支持されるナイフメーカーとの比較
④お店側の意見(別の意図で導入している可能性もある)
⑤いつから京セラナイフを導入しているのか
⑥肉料理でも例えば、牛肉でも使うのか

少なくとも、原稿料をもらうのだったら、この部分をおさえて書きます。しかし、noteではそこを書いていません。

たとえば①などは、事実として京セラのナイフだったことしか、わかっていません。そのため記事内で断定しているのは、メーカー名だけ。型番は「おそらく」として紹介しました。

ここで、これを京セラのセラミックナイフだけを紹介する方法もあるのですが、「わかる部分とわからない部分」を明記してリスク管理をしながらできるだけ具体性を出すというテクニックを使っています。

また、「ナイフは重さをある程度つけることで、使いやすくなる」という部分も、事実を調べられていないので、個人の感想にしています。これをたとえば体験値から「切るときに安定させるために重く作られている」と、断定してしまうのは、そういう事実がなかった場合、誤りになってしまいます。経験値を事実として書いちゃうのはけっこう危ない。たまに「今、経済が冷え込んでいます」みたいのを、専門外の人が書いてるのを読むと、よく断定できるなと思います。

さらに、「個人的な見解である」という内容を強調するために、たとえば、この投稿は、あえてですます調にしたり、「感じた」や「思う」を多用するという小狡い技も使っています。

あと、最後のUI/UXの考えのところに、田村さんと山下さんのことを引用したのは、⑤の延長にあることで、著作権に関係しています。

この記事が自信を持ってオリジナルな考えと言えるのか」ということなのですが、正直どこからが2人のお話で、どこからが自分の話なのか明確にできなかったので引用元を明記しています。

本来は、商用原稿にするなら、そこもクリアして著作者に配慮すべきなのですが、少々乱暴な管理になってしまっています。

原稿の質を見極められる読み手に

僕はこんな感じで、noteではリスク管理をしながら手間なくズルく原稿を書いているので、まだまだお金をいただくレベルではないのです。

でも他のnoterさんは、この辺りをしっかりクリアして書いている方もいらっしゃって、すぐに商業ライターになれるなぁと感じる投稿に出会います(当然、その逆もある)。

もし、原稿の質や信頼度を得たいと思っているnoterさんがいらしたら、最初に挙げた5つのポイント(下に再掲)を意識してみてはいかがでしょうか?

また、記事を読む側も、突飛な見出しや推論、煽りやバズを狙うための量産されて記事を見抜くポイントとしても活用できると思います。

新型コロナウィルス感染拡大の恐怖もあって、情報を見極める力も必要になっているのではないでしょうか。

①客観的事実をもとに論が組み立てられているか
②事実が過去の事例と比較されているか
③事実の別の見方が提示されているか
④人名、企業名、固有名詞が正しく記載されているか
⑤主観があったとしても事実と区別して記述しているか

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