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note|Ryosuke Satoさんのnoteを読んだ

カジュアル casual を、サービスのなかに定義しようとしたテーマにしたRyosuke Sato さんのnoteを読んで、レストランサービスはカジュアルになっていくことは、僕自身もつよく感じていて、本質的には、お客様にどうやってリラックスして楽しんでもらうか、というものの方法論の一つのことなんだろうな、と思っています。

僕は、カジュアルなサービスなり、カジュアルなレストランに支持が集まっていくことで、価値観の転換が起こるのではないかと思っています。

日本では、カジュアルの対義語として、フォーマル formalが連想されます。おおむね、「形式的ではない」と「形式的である」になっていることが多いのですが、この対比の向こうにあるのが「形式的である=上質」という考え方があると思っています。

これによって、「カジュアルはフォーマルに劣る」という認識が根付いてしまっているのではないでしょうか。

しかし近年では、価値観の多様化がいたるところで見られていて、いわゆる日常と非日常が別レイヤーにあった世界から、フラットになって、それぞれが境界をあいまいにしながら共存しています。

また、産業革命後のブルジョア(新興市民)が生まれたように、富の配分が近代とはかなりかわり、形式を重視しないニューノーマルが生まれてきていることも、価値観の多様化がより広く行われている所以なのではないでしょうか。

カジュアルはフォーマルに劣るサービスなのか?

そんななか「カジュアルはフォーマルに劣る」という認識も、これからどんどん変わっていくと思います。もちろん、現在の富裕層のなかではすでに進んでいることで、たとえばレストラン業界でも、ミシュランガイドのような権威のある評価機関が、テーブルクロスを敷かないレストランや、サービスマンがいないカウンターレストランにもに星を与えるようになりました。

ミシュランに対抗するようなレストランランキング「世界のベストレストラン50」などでは、そもそも形式を評価の大部分に置くことはなく、「今、求められるレストラン」であることを最も重視しているわけですが、そこでもランキング上位を、たとえばnomaやAsador Etxebarriといった「カジュアル」ととらえることができるスタイルのレストランが占めているのがいい例です。

たとえば、nomaなどは、日本の旅館でスタッフ総出でお出迎えをする場面に感銘をうけたことでそのスタンスを採用し、お客様の入店時にはスタッフ全員で出迎えるといいます。ただ、その場合は、ハイタッチなどをすることもあるそうで、スタイルは若干かわっていますが、お客様をどうもてなすか、という根本的なスタンスは日本の旅館と変わりません。

Ryosuke Sato さんが言うように、そういったレストランは決してサービスの本質、スタンスを変えることなく、質の高いカジュアルさというスタイルでお客様を満足させているわけです。

そうしたレストランいとって、「カジュアルはフォーマルに劣る」ものでは決してないと思います。むしろ、「カジュアルもフォーマルも、両方ともサービスの大事な根幹」であることが重要で、どちらが上で、どちらが下というようなヒエラルキーはありません。

むしろ、そういったサービスの本質をきちんととらえているからこそ、多様な価値観を同時に評価できているのだと思います。

Ryosuke Sato さんが言う「カジュアルなサービスの難しさ」は、日本にまだ「カジュアルはフォーマルに劣る」というもてなしのスタイルで捉えたヒエラルキーが根強くあることが原因なのではないかと思っています。もちろんそこには、明治維新で外来文化を取り入れたときからの未解決な問題もはらんでいると思います。いまだ残る西高東低の価値観からくるヒエラルキーも壊していく必要もあると思います。

そうした先に「カジュアルなサービスの難しさ」、つまり「カジュアルだから難しい」という、方法論の難しさから脱皮できるのではないでしょうか。そもそも、カジュアルだろうが、フォーマルだろうがサービスてゃ、難しいものです。フォーマルが簡単に見えるのは、形が決まっているからです。形がないものにどう対応するかが「カジュアルなサービスの難しさ」に繋がっているので、そこはあくまで方法論の話なのではないでしょうか。

いっぽうで、カジュアルとフォーマルの間にヒエラルキーがなくなれば、「そもそもサービスとは何なのか?」という、本質的な課題に向き合うことになると思います。スタイルではなく、スタンスとしてのサービスへ。

そこにいたるには、やはり「上質なカジュアル」というものをどんどん市場に提案していき、お客様の方のマインドを変えていくことが重要になってきています。

まずは、カジュアルとフォーマルの間にあるヒエラルキーをなくしていく。そこからレストランサービスの次のフェーズが見えてくるような気がしています。

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明日は「Rock」です。セックス・ピストルズ《勝手にしやがれ!!》、おいしいこそが正義か? です。

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