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note|河原あずさんのnoteを読んだ

毎週土曜は、その週に読んだnoteの感想や考えたことをまとめています。今週気になったのは、河原あずさんの「WITHコロナ時代に起きた「食」に関する3つの意識変容」です。

「変容」とは内的なことまで変化すること

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、ライフスタイルの変化が強制的によって人々の意識の変化が起きたわけですが、そのなかで「」に対する意識はどうかわったのか、について現状を考察されています。

あずさんが指摘している意識変容は、以下の3つです。

変容①エンタメコンテンツとしての優位性を高めた「食」ジャンル
変容②「調理」がビジネスパーソンの余白時間として活用されている
変容③地域を通じて「食」と向き合うようになっている

ちなみに、あずさんが使われている「変容」という言葉は、「変化」となにが違うのかというと。

【変容】
姿や形、また、状態や内容などが変わること、または変えること。変様。
【変化】
ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること。
                  《デジタル大辞泉》小学館より

変化とは、物質的に変わったり、数字で表されるような差がでたりする外的に測定できるようなものであるのに対して、変容は、その本質的な部分までも変わっているということを意味しています。

食はどう変容」したのかについては、河原あずさんが指摘していることはもちろんある一方で、僕のまわりにおいて「『調理』がビジネスパーソンの余白時間として活用されている」ということについては、あまり実感がなくて、僕の場合は、正確な数値とかはなく実感ではありますが、ビジネスパーソンは、UberEatsやデリバリー、ケータリングや出張料理などを利用している印象で、余白時間は変わらず読書やスポーツ、サウナといったことに使っているような気がしています。

もちろん「調理」を余白時間にあてている人もいるとは思います。僕がビジネスパーソンかどうかは別として、自分でももともと好きだった調理をする時間は増えましたし、食材とか買うようになりましたので、それまで興味があったことに時間を使うようになった、ということなのかもしれません。

「食に向き合いたい」と思っている人が増えた

河原あずさんが指摘した意識変容の③「地域を通じて『食』と向き合うようになっている」は、今後の食のありかたを考えるうえで、よく考えなければいけないことかな、と思っています。

調理するようになると、食材や調味料に興味を持つようになり、地産地消、オーガニック、流通などについてのさまざまな情報も入ってくるようになります。何より入ってきたのが、地元のお店の情報です。私の場合、それまでは大手のスーパーマーケットでまとめて買っていた食材を、近所の八百屋さんや魚屋さんで買うようになりました。流通の仕組上、スーパーマーケットの生鮮品の多くは、専門店に比べて鮮度が落ちていることが多いのです。

たしかに、家の近くにある魚屋さんや八百屋さん、またはよい調味料を置いてある食材店に意識が向かうようになりました。また、スーパーでも肉はここ、野菜はここのような、特性が見えてくるようになったのも、外出制限がでてからのことです。

僕自身としては、「別に、都心の名の知れた店に行かなくても十分に満足できる」というのが本音で、なぜわざわざ遠くまで行っていたのだろう、という気持ちが出てきました。

僕の場合は、これまでも食への興味が高い属性だったので、このように考えたかもしれませんが、コロナがきっかけで興味を持った人にとっては、近くでさまざまな発見があったことで「食って面白い」というエンタメ性に気づいた人は多かったと思います。

結果的に「近所での食体験」という変化なのですが、よくよく見てみると僕のような「近所で再発見」のような人と、「近所で初体験」という違った意識変容で近所を歩いている人がいるわけです。

おそらく「近所で再発見」の人は、さらに深く近所を探訪するでしょうし、「近所で初体験」の人は、近所以外の場所、たとえば都心であったり、産地に向かうのではないでしょうか。またさらに体験が進めば、「近所で初体験」の人が、「近所で再発見」を得にくるかもしれません。

そうしたフェーズを変化させながら、近所と外を行き来することで食の知識があがり、発見・体験の質が上がっていくわけですから、すごくいいサイクルが生まれそうです。

つまり大事なのは、再発見した人、初体験した人は、ある入り口に立った、つまり中に入りたいと思っていることです。そこから中に誘導する存在がなければ、「いいか」と思ってしまうわけです。これはもったい。

新型コロナウイルスの感染拡大の第三波がきたと報道されて、現実的に飲食店の時短営業要請も出ています。飲食店にとってもっとも忙しい師走の時期に、この状況はとても厳しいところだと思います。

しかし、こんな状況でもファンを持っているお店はあります。

河原あずさんが指摘しているような変容にご自身のお店がどの部分なら貢献できるかを、解像度を高くして考えてみると、厳しい状況下でも意識変容によって新しい価値をもとめている人をファンに取り込めるのではなかと思っています。

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明日の土曜は、新しく「妄想レストラン」を始めようと思います。

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