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Like|走る 地理的に街を見る楽しみ

日曜のテーマは好きなこと。僭越ながら僕の好きなコトやモノを書きます。

糖尿病がきっかけのランニング

40歳になって5年ぶりに受けた健康診断で「糖尿病です」と勧告されました。それも、場外ホームラン級の数値(血糖値400、ヘモグロビン値12)で。当時は驚いたものです。

それをきっかけに、体調管理の一環としてランニングを開始。もちろん妻の食事管理のおかげも大きいのですが、数値は下がり薬を飲むことなく安定しています。

走るのを続けることは、けっこう向いていたみたいで、2019年には、初めてのフルマラソンにチャレンジ。まさか自分が42.195kmを走る日がくるとは。けっして我慢強い方ではないので、若い頃は一度も考えたことはありませんでした。

当然最初の頃は、1キロ、2キロ走れば上々で、2、3カ月はウォーキングを併用しながらでした。しかし、やっていれば次第に走れるようになるもので、半年で10キロくらいは平気で走れるようになりました。

英会話も製パンも、興味があることに挑戦してもなかなか続かない自分に、ランニングがあっていたのは、旅先でのランニング「旅ラン」の楽しさがあったからだと思います。

1時間10キロで街の半分は回れる

仕事柄レストランの取材が多く、朝はそれほど早くないので、泊まりの出張になると、スーツケースにシューズとウェアを詰めて出かけます。そして旅先で迎えた朝、街を1時間ほど走るのです。

海外取材のときもシューズとウェアを持っていって、アムステルダムでは10キロ西へ走り、黒海を見に行ったこともあります。2019年は、和歌山、札幌、鹿児島、岩手、栃木、神戸、金沢を走りました。

旅ランの楽しみは、歩いて散歩するだけでは行けないエリアまで走れることです。だいたい旅先で走れる時間は1時間。10キロほどです。片道でいえば5キロで、東京なら、2、3駅先まで行くことができます。一方、歩きの散歩はせいぜい2キロくらい。1駅先くらいしかいけません。

だいたい10キロ周走すれば、街の半分くらいは回れます。歩くよりも、圧倒的に多くの街の姿を見られるのです。

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風景が流れていくスピードの心地よさも魅力です。車や自転車だと、街の風景が流れるスピードが速すぎるんです。たとえば、屋根の形やドアノブの形の違い。家のなかの音や裏路地の景色など、街の変化に気づくには、時速10キロほどがちょうどいいんです。

あとは、走ることで、起伏の差には敏感になります。登りは辛いし、下りは楽なので、当然といえば当然です。歩いたり車でまわるのとは違う街の見え方が生まれます。

古くからある豪商と、ニュータウン的な高級住宅地にある、地理的な差は何か。

旧街道とバイパス道の間で、シャッターが閉じた店を見ながら、街の繁華街がどう動いていったのか。

街の神社や寺など、古くからある施設は、街のどんな場所にあるのか。

そんなことを考えながら走ることで、その街の個性がわかってくるのです。

地方取材ではまず街を走れ!

NHKの「ブラタモリ」じゃないけど、街を地理的に理解すると、街を俯瞰してみることができるようになります。すると、そこで生活する人の動きもなんとなくわかってきます。

僕の場合はたいてい、その土地でインタビュー取材をするので、旅ランによる地理的理解が取材でも効いてきます。

たとえば、その街のレストランを取材する場合、地理からvで客層がイメージできます。それをもとに、取材相手の話を聞くと、納得できることもあれば、疑問に思うこともあり、取材の質も上がります。「あそこにもおいしそうなお店ありましたよね?」とか「繁華街から離れている場所になぜ出店したのですか?」など、話も具体的になります。

糖尿病の治療のために始めたことが、病気治療にもなるばかりか、立派な趣味になり、さらに仕事にも良い影響を与えている。なんて素晴らしいことでしょうか。

よく走ろうなんて思いますね?」なんて言われますが、これだけいいことづくめなことをやめるわけにはいきません。

最近はnote更新に時間がかかって、走る時間がとれていないのですが、4月のフルマラソンに向けて、準備も始めなければと思っています(宣言したら始めないといけない)。

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