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■5月18日 そのドヤ顔を思い出す

今日は一日原稿仕事をしていました。
今週の土、日、月と遊び倒す予定なので、その分早めにあれこれ終わらせておこうと、必死にがりがり。

なので、今日は本を読んだのは朝ご飯のときくらい。…って、食べながら読むという行儀の悪さをいきなり暴露していますが(笑)

そうすることでアタマを起こすのだと、誰にともなく言い訳をし続け、すっかり習いになっているのでした。

今日読んでいるのは
■青木奈緒『オーライ ウトーリ ひなた猫』(春陽堂書店)です。
歴代猫さんたちの、温かな随筆。にゃこさん好きな方に超おすすめです。

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私は、プロの国語講師をしていました。中学受験が専門でしたが、高校受験、大学受験まで全部手掛けるオールラウンダーで。中学受験を担当すると、そのまま大学受験まで一緒に走るみたいな先生でした。

もう手を離して随分経ちますが、今でもふとしたときに担当した生徒たちのことを思い出します。

最後に送り出した生徒も、もう大学3年生あたりでしょうか。お姉ちゃんの中学受験を担当した関係で、3歳下の彼については、小学2年生くらいから何とはなしにアドバイスしたり、相談にのったりしていました。

国語を教える私に向かって「国語嫌い」ときっぱり言い放つ子でした(笑)

小学校のときは、算数と理科に能力の大半を極振りしていて。国語は、お母さんに言われて仕方なくやっていました。

ある日のこと、お姉ちゃんの授業をしているところに彼がやってきたんです。

で、突然威勢よく「先生、見て!」と見せてくれたのは、記号問題だけがきっちり埋められた答案用紙。「どうした?(笑)」と問うと。

「全部うめたの!記号だけ!えらいでしょ!」と超ドヤ顔。

当時、本当に国語が嫌い過ぎてどうしようもなかった彼に、お母さんが与えたミッションは「テストの記号問題は絶対に全部埋めること」でした。記述問題は白紙でもOK。だけど、記号問題だけは、間違ってもいいから、全部埋めてこい、と。

その言いつけをちゃんと守ったオレ、えらい。褒めて。と、彼はなぜか私のところにまでやってきたのでした(笑)

後でお母さんに伺うと、全部解答を埋められたのが嬉し過ぎて、「僕も先生に見せたい!見せてもいい?」となり、お母さんが「いいよ、授業終わってからね」というと、「いいよ」だけ聞いて、部屋に飛び込んで行ったのだとか。

いやぁ、かわいい(笑)

そんな彼が、後には、中学受験を乗り越え、大学受験になったとき、受験校をどうするかさまよった挙句、「僕、文転する」とか言い出し、てんやわんや。しかも、高3になってから(滝汗)。

あれだけ「国語嫌い」を公言してたのに、文転だと?

「文転って、国語要るの分かってる?」と何度も聞いたのが懐かしいです。そんな私に「わかってるよ!」と怒ったように言い放った彼は、きっと不安でいっぱいだったのだろうなと…でも、それも踏まえて、乗り越えて、自分で考え尽くして、決めたんだろうなと…

小さな頃から知っているだけに、その成長がとても嬉しく、一抹の寂しさもありつつ。結局、彼は希望校に無事入学。感染症禍のなかでの受験でしたが、よくがんばりました。

・ ・ ・

18歳で進路を決めるということ。

もちろん、その進路は絶対のものではないけれど。その「絶対じゃない」ことはオトナになってからしか分からなくて。まだ18歳では、それを自分に許すことはできない。

そんな大きなプレッシャーのあるなか、迷いながら一つずつ全力で選び取っていく彼らと同じ時間を過ごせたことは、とても幸せだったなと思うです。

というわけで、今日も私は原稿書きです。
どこかの受験生の糧になるよう、今日もがんばります。(私の原稿は入試問題の解説なのです 笑)。

今日がいい日でありますように。んじゃ、また。



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