【写真館344】秋の緑に夏の声
今日の一枚はコチラです。
先日、代々木公園で写真撮影をしました。
その日はもう９月だというのに、夏の蝉がわしゃわしゃと鳴き続けていました。過ごしづらい気温というわけではありませんが、20分ほど歩き続けたあとでしたから、汗だくにはなっていました。
公園を満たしている緑は、夏の密度を手放して、秋のさわやかさをまといつつあります。むせかえるほどの濃い緑から、少しずつ赤や黄という秋色が顔を見せ始めていました。
汗にまみれ、蝉の声に取り巻かれているのに、目に映る景色はたしかに初秋。町中にこれほど広大な公園があることの不思議さも手伝って、写真を撮りながら、私は今自分がどこにいるのか、少し混乱するような気持ちにもなっていました。
そんななか、人々は遊歩道を走っていたり、散歩したり。自転車で駆け抜けたり、よろこび駆け出す犬にひっぱられていたり。
私にとっては日常と非日常の境にあるようなこの風景も、人々にとってはごく普通の日常で。非日常寄りの境界に立っていた私も、こうして写真を撮ることで、少しずつ日常に身が馴染んでいくような気持ちになったのです。
世界とつながる方法はいくらでもある。
自分からアクションを起こせば、きっと何かを手に入れることができる。
そんなことを無邪気に信じられる時間を、カメラと一緒に過ごしたのでした。
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