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#パソコン音楽クラブ
散文詩「Air Waves」 / 『Night Flow Remixes』
夜風を割り、左右の景色を吸い込んでゆくように滑り込んできた電車に、ぼくはぼくの手を引いて乗り込んだ。
夜光虫にそっくりな、終電間際の快速電車。
ぼくは夜で、そしてまた、ぼくも夜だった。
さっきまでは別の、夕方のぼくがいたけれど、駅へ向かう途中、団地の西棟の奥へ沈む太陽と一緒に溶けて消えてしまった。
それで、歩いているうちに、いつのまにか新しいぼくがぼくの手を引いていたのだった。