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優柔不断な空
優柔不断な空だと思った。
雨降りかと思えば日が差して来て、晴れたと思えばポツポツ雨が降り出す。
おかげで蒸し暑さが増し、さらにマスク着用必須の職場だから不快指数が上乗せされる。
私、汗臭いかな? と心配になるけれど、周りの同僚は私がキャッチするユニット内の汚臭に対して鈍感な嗅覚の持ち主ばかりなので、その点は気が楽だ。
きっと私はフローラルブーケの香りを放っているはず。
それにしても浴室の湿度の高さとマスク内の湿度の不快さと言ったら罰ゲーム並だ。さぞかし身体は真夏だと勘違いしていることだろう。
早くクールミントのヒヤッとした汗ふきシートで思い切り身体を拭いてこのTシャツを脱ぎ捨てたい。そして混じり気のないフローラルブーケの香りがするTシャツに着替えキンキンに冷やしたペットボトルの麦茶をラッパ飲みしたい。
雨降りから晴れるのは許すけど、また降り出すなんて天気はひどすぎる。見ていて恥ずかしいぐらいにブレすぎなんだよ、今日の空。
そんなネガティブ感情は全て空のせいにしておく。
雨と晴れを行ったり来たり、こんな優柔不断な空は誰一人として喜ばないと思う。
そう考えながら、一つ心当たりが見つかった。
虹の召喚だ。
雨降り後の晴れはレアな虹が見られる可能性が高い。
仮に今窓を開け放ち空を見上げたなら虹が『こんにちは~!』としているかもしれない。その確率はゼロじゃないはずだ。
けれど入浴介助中の今は確認できる状況じゃない。
空を確認する為に仕事を止め席を外してまで虹を求めていないのが本音だ。だけど実際本当にあったとしたなら、私は子供のように喜ぶのだろう。
雨のち晴れのち今は雨。
優柔不断な今日の空はそのうち晴れ間が見られると予言した。次の晴れで『雨のち晴れ』を2周するのだから、奇跡的にダブルレインボーがあったりして。
その時が空を見上げるチャンスだ。
そう思うと、この先の空の表情が楽しみになってきた。
そんな私もまた、今日の空と同じだと思った。
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