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韓国ドラマレビュー#12 恋愛体質〜30歳になれば大丈夫

今回のドラマは恋愛体質〜30歳になれば大丈夫。原題は「メロが体質」。

日本版はお決まりのピンクのせいで、絶対に見ず嫌いの人が続出しているであろうドラマ。私はとても好きだった。ピンクに負けずに見てよかった。30分×32回と、一見とても長いように見えるけれど、韓国ドラマでは60分×16話は一般的なので、少し細かく区切っただけ。少しずつ見られてよかった。

ネタバレするかもしれないので、未視聴の方はご注意を。

どんなドラマ?

破局と復縁を繰り返した末に7年来の恋人と別れたジンジュ、恋人を亡くしたウンジョン、シングルマザーのハンジュ。ここにウンジョンの弟ヒョボンと、ハンジュの子供イングクを加えた5人はそれぞれの事情を抱えて一緒に暮らし始める。語り合い、泣き、笑い、ときに言い合いをしながらそばで支え合い生きている。

癒し★★★★★
スピード感★★★
等身大★★★★★★★★

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嫌いなキャラクターがいない

それぞれに傷を抱えたキャラクターたち。ここまではよくある話である。だけど、ここまできちんと個人に焦点を当ててくれると、見ているこちらは友達の話を聞いているような気分になってくる。

特にウンジョンの話は、本当にやり切れない。愛する人がもういないという事実を受け入れるのは時間がかかるし、寂しさには終わりがない。そんなときに「つらい、抱きしめて」と言える相手がいることがどんなに救いになるか、そっと見守ってくれる人の温かさに泣いた。

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このドラマだからできること

ジンジュは脚本家、ウンジョンはドキュメンタリー監督、ハンジュは制作会社のマーケティング担当と、コンテンツ作りに関わる職業。そのため、ドラマが作られる過程が重なっているようで面白かった。

普通のドラマではやらないことを、次々とやっていくスタイルが斬新。ちょっとした演出や、セリフが本当に好き。

以下、好きポイントのメモ。

・「最終話に結婚式のシーンは嫌」というジンジュのセリフ(最終回の結婚式、よくあるから笑ってしまった)
・「結婚がハッピーエンドじゃなくて、生涯独身を宣言するのがハッピーエンドでしょ?」
・床に転がる、心配して近づくとすぐに突き放すシーン
・「小声で話そう」という提案の後、本当に小声になる(小声すぎて全然声が聞こえないので、字幕で一応話してることを知る)
・PPL(間接広告)の入れかたが斬新(普通はある程度自然に混ぜるのに、隠さず堂々と大人の事情を出してくる)
・ドラマ『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』の赤い傘のシーンのパロディ(たぶん)

映画やドラマを作るのには多くの人が関わり、多くの調整があり、打ち合わせがあり、苦労がある。そんな様子が見ると、制作に関わる全てのスタッフさんにありがとうを伝えたくなる。

これは打ち合わせをしていたのに急にギターを取りだして、相手の元カノの作った曲を歌い出しからかうシーン。しかも一回じゃなくて何度も。ギターは一体どこから取り出してるんだ!と、おかしくて声を出して笑った。

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30歳になれば大丈夫

いつもまっすぐにテレビを見て座っているみんなの姿が、私たち(視聴者)の姿を投影しているように思えた。

『30歳になれば大丈夫』は作中でジンジュが書いていた脚本のタイトルだ。彼女たちは全然大丈夫じゃないのだが、大丈夫になろうとしている。幸せを諦めない。その姿に励まされ、今日も生きる。

愛が続くかどうかは問題じゃないの。一生愛するつもりでも体がついていかないから。迷ってる暇はない。

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