どんぐりの可愛さ
お店やネットで「これかわいい!」と思う物に出会うとアドレナリンが出る。
一気に欲しくなって、試着室でドキドキ着てみたり、(ネットで)意を決して買ってみたりすると、残念しっくりこない…なんてときがある。
柄も形も気に入ったのに、ウエストの切り替え位置が下で、加えて丈は長すぎて似合わなかったワンピースや、これまた気に入ったのに首元が開きすぎていて、鏡の前で「うーん、似合ってる?」と首を傾げてしまうトップスだったり。
洋服は20代の頃から何度も失敗してきて(悲しい)、30代になってようやくコツが掴めてきた。
大人になって、やっとここまで分かってきた。
それでも、大人になっても、まだまだ分からないことは沢山ある。
わたしには難易度が高く、ずっと悩まされているものがある。洋服と同じく、ファッションをお洒落にしてくれる物…。
帽子だ…。
その中でも……
ベレー帽!!!
わたしは
ベレー帽の被り方が全然分からない。
ベレー帽を被っている人はお洒落だし、文学や芸術に造詣が深そうに見えて、わたしは勝手に憧れていた。
小さい子がスーパーヒーローに会いたいと胸に秘めているみたいに、"わたしもベレー帽被る"って思っていた。
これまで、2回ベレー帽を買ったことがある。
どちらも色に一目惚れしていて、
遠くからでもハッとしてしまうほどの真っ青なベレー帽と、秋にぴったりの深緑のベレー帽だ。
大学生のとき、運良く気に入ったベレー帽を見つけることができたわたしは、自宅の鏡を前にして頭へのせてみた。
トルソーに被せられていたベレー帽はものすんごく可愛かったのに、わたしの頭には大きな赤血球(赤じゃなくては深緑色)みたいなのものが乗っている。被るというよりも、ちょこんと乗っかっている。
違和感ありまくり。
こうじゃないの?こうでしょ!と試行錯誤しても、かわいく仕上がらない。
頭をどこから覆うのが正しいのか、浅めに被るのがかわいいのか。
前髪は?耳は出すの?
あ〜〜〜わかんないよ!!!
どんぐりみたいに可愛く、
しっくりぴったり被りたかったのに!!
真っ青なベレー帽は、一度も被らずに手放してしまった。
深緑のベレー帽は一度だけ被って外出したことがあるけれど、それきりだ。
深緑のベレー帽を手放すか袋から出すたびに、わたしはかわいいどんぐりになれる逸材なんじゃないかって、望みを捨てられないでいる。