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書類に負けない


聞くだけで気が遠くなる、書類の世界

NPO法人を立ち上げるにはどうしたらいいか?市役所に相談に行った。とにかくたくさんの書類の提出が必要ですが。大丈夫ですか?つくれますか?お名前や住所は、住民票記載のまま一言一句間違わないように記載する必要がありますよ。定款は途中で変えられないことはないですが、変更の手続きは大変です。設立趣意書には、思いの丈を書きすぎないよう簡潔に、A4で1ページくらいしてください…。とにかく大変な書類ワークの説明をされる。

はい、はい、そうでしょうね。了解です。あ、やったことあります、みたことあります、会計だけはなー。ちゃんと複式簿記やったことはないので…書類は見たことあるんですけどね。相談できる税理士さんいた方がよさそうですね…
と淡々と話を聞く私を見て、説明を担当くださった職員のおふたりがいう。「あのですね。書類をつくることが大変で大変で、という方に説明をすることが多いんです。こんなに大変な書類を書いてでも、NPO法人本当にやりますか?申請するだけでなくて、毎年報告もあるんで、それでもやるか、よくお仲間と相談してくださいね。」

書類をつくる仕事の経験

市民活動で、ボランティアワークをやることは、小さい頃から自分の周りであたりまえのようなものだった。子ども会、町内会、PTA主催のなんやかんや。とにかく母がいろんなことをやっていた。副会長や会長職もよくやっていたし、ボランティアの小さな会議、会議用の資料などは日常的にもよく目にしていたから、不思議なものではなかった。

父が司法書士事務所をやっていたので、そもそも手続き書類をつくることが両親の仕事だった。自分も最初の仕事は、環境影響評価書の作成業務だった。1000ページ近くなる準備書、評価書をつくる。引いたスケジュールから絶対におくれることのないように、行政と協議して資料を作って審査を通していく。司法書士の仕事というのは、書士というだけあって、どの順番にどの書類類をどの窓口に出していくか、というのは重要で、「書類」仕事感はあるのは確かだけども、私にとっては、環境影響評価書を作りまくった経験が、書類への苦手意識を消してくれた。論理的にまとめていったり、なんやバシッといってるようでどんな風にも解釈できるようなふわっとした表現でまとめる、みたいな技がついた。同時進行ですすめるいくつもの案件を、スケジュールを死守しながらやる。謎に経験値重ねたのだろうと思う。

そういえば、大学時代から自分自身でもやり始めたサークルやNPOでも、企画を通すために企画書を書いたり、報告書を書いたりしていた。特に、報告書についてはこだわりがあって、企画の中に込められない想いや裏方のエピソードまでまとめたバイブルのような報告書をいくつも作った。書類が好きといっても過言ではないかもしれない。

任意のボランティアを、仕事にしていくステップ

長年任意のボランティアをやってきた。助成金をとって活動するところまでは、いくつもの団体を重ねてきた。たくさんの時間をかけ、労力をかけ、資金も持ち出してここまできて、はたと考える。いやこれ、このままではずっと平行線だ。いつまでも任意で、いつまでもボランティアで。気づくのが遅かったくらいだ。そうだ。ちゃんとこれを仕事にしていくのだ。ようやくそこに考えが至る。それってどうするのか?そのステップのひとつが法人化だ。

法人化を妨げるもの。いや、妨げちゃいないんだけど、大きなハードルとなるもの。それが書類ワークだ。得体のしれない山ほどの書類を、期限内に出し尽くさなければいけない。一言一句間違えてはいけない書類、変更手続きにアホほど時間のかかる書類、重箱の隅をつついてくれる行政にいらっとしないできちんと必要な書類を作成する、団体内をまとめる…。いや、それ、たぶん、これまでもさんざんやってきているやつじゃないのか?全然できない気がしない。「できる気がしない」じゃなくて。あはは。

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