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「やれば出来る!」 3333段チャレンジ体験記。
2年前の春休み。
九州に住んでいたわが家。
その春、娘は小4、息子は年長になり、私たちはあるチャレンジを試みた。
熊本県美里町にある、日本一の石段(3333段)を登ることにしたのだ。
世の中はコロナ禍で、まだまだお出かけが躊躇される時期だった。
それで、インドア派の私でも、屋外での活動に惹かれていたこともある。
甘えん坊の息子が、どこまで頑張れるか試してみたかったのもある(ちょっと前に山登りを経験して自信がついていた)。
娘の同級生、はなちゃん(仮名)親子を誘って、一緒にチャレンジすることにした。
日本一の石段(釈迦院御坂遊歩道3333段石段)
この石段は、1200年の歴史を秘めた由緒ある釈迦院(八代市泉町)の表参道である御坂に日本一の石段(美里町)を建設し、世紀の文化遺産として後世に残すとともに町の活性化を図るための観光の目玉づくり、町おこしのシンボルづくりを狙って建設されたものです。
石段建設は、昭和55年1月から着手し、昭和60年11月には山形県羽黒山の2446段を抜いて名実とも日本一の座につき、昭和63年3月末に完成しました。
この石段には、全国各地の名石のほか、中国、韓国、インド、旧ソ連、ブラジル、アメリカ、南アフリカなど世界各国の御影石を使用し、国際親善並びに友好の絆を結ぶとともに歴史の探究及び健全な観光レクレーション施設として利用されています。
また、毎年11月には、石段を利用して、アタック・ザ・日本一が開催されています。
早い方は登り終えるまで1時間を切られる方もおられますが、一般の方の場合、上りに2時間、下りに1時間、合計3時間程度とお見込みください。
ちょっとイメージしにくいかもしれないが、3333段というのは、170階建てのビルの高さに相当するらしい。
決戦の日(大袈裟)。
わが家4人とはなちゃん、はなちゃんのママの計6人でスタートした。
皆、エレベーター付きのマンション暮らしのため、階段を登る、ということに慣れていない。
私は職場で、たまに7階まで階段を使ったりしていたが、それでも150段くらい。
3333段という数字はピンと来ていなかった。
一斉に元気よく登り始めた。
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子ども達がじゃんけんで「チ・ヨ・コ・レ・ー・ト」と遊びながら登っていたが、それでは今日中に辿り着かないと気付いたのか、すぐに辞めた。
割と登ってすぐのところにお寺があり、お参りしたり、八重桜や新緑がきれいで写真を撮ったりした。
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すぐにその余裕はなくなることを、この時の私はまだ知らない。
100段毎に石碑があり、スタンプラリーをするように、その石碑を写真に収めた。
なんだかちょっと励みになる。
500段くらい登った頃だろうか。すでにちょっと足腰があやしくなる。
ーーいや、まだまだいけるはず。
この日、はなちゃんのパパは不参加だったのだが、以前、500段くらいで挫折したとのこと。
正直、「え、ここで?早くない?」と思ったが、体調だって影響するし、急な高度上昇が不得意な人もいる。だから、それは口にしてはいけない気がして飲み込んだ。
だが、すかさず、はなちゃんが言う。
「パパ、この辺でもうダメだったんだー。しょぼーい。楽勝~♩」
子どもは、時に残酷だ。
1200段くらい登ったところに、トイレとちょっとした木のテーブルがあったので、お昼ご飯を食べることにした。
車で立ち寄った美里町のパン屋のパンだ。
めちゃくちゃ美味しいパンだったのだが、野外で、身体を動かして食べるものはさらに美味しく感じる。
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エネルギーチャージも完了したところで、いざ再出発。
あれ?
さっきよりもなんだか足取りが重い。
もしかして、もう乳酸溜まった?
あんまり休憩しない方がいいのかも、と悟る。
娘とはなちゃんは楽しそうにサクサク登っていく。
私とはなちゃんママは無理せずゆっくり。
息子はというと、「だっこ~」となることもなく、娘達を追いかけるように登っていく。それに付き添う夫。
ーーねえ、あんまりペース速いと、疲れて挫折するよー。
と声をかけるが、聞いちゃいない。
このコース、ひたすら階段を登るのではなくて、ちょっとした平地があったり、森の中の小道を通ったりするので、思っていたより変化があって気が紛れる。
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それに、木々に囲まれていて、神秘的なパワーも感じる。
途中で子ども達が挫折して待ってたりするんじゃないかと思ったが、視界にも入らないし、声も聞こえない。
順調のようだ。
私はというと、途中からはなちゃんママとのおしゃべりも控えるほど体力を消耗していた。はなちゃんママも然り。
ーーねえ、私たちヤバくない?頂上までいける?
何度か確認したり、励まし合ったりしながら、ようやく2500段くらいまできた。
もう、100段毎の石碑の撮影も諦めた。どれも同じに感じる。
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でも、3000段にたどり着いた時、その文字を見て、なんだか涙が出そうになった。
ーーあと少し!!
そのちょっと前だっか、先の方に娘達の姿が。
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最後はペースを落として、私たちに会えるように登っていたんだとか。
脱帽ですよ、もう。
息子も私の心配はよそに、しっかりした足取りで登っているではないか。
へこたれてもいない。
途中ちょっと休憩もして、「ママ達大丈夫かな。」とか言っていたそうだ。
頼もしいじゃないか。逆に心配されてる。
いよいよラスト。
息子がどうしても最後、娘とはなちゃんと一緒にゴールするんだと聞かなくて、待ってもらう。
「せーのっ!!」
3人で手を繋ぎ、ラスト1段に足を掛ける子ども達。
さすがにその瞬間はちゃんと写真にも動画にも収めた。
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私とはなちゃんママもゴール。
もはや、自分の足が自分の物じゃないくらいに感じる。思うように動かない。
ーーよくがんばったよ、私達。
それから、なだらかな坂道で展望所へ。
この景色を見るために登ったんだと思えるくらい絶景だった。
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絶景を見ながら東屋で飲んだ「みかんちゃん」は格別だった。
はなちゃんママ、こんなのみんなの分抱えて登ってくれてたのね(しかも保冷)。ありがとう。
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帰り道。
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下りは進みは速いけれど、使う筋肉が違う。
スピードを出し過ぎるとブレーキがきかなくて滑って怖いし、かといってゆっくり降りるのは逆にきつい。
ほどよいペースを維持しつつ、注意深く、一段一段降りた。
最初にお参りした寺に着く頃には、膝がガクガクし始める。
もう、ここまで来たらあとは気力だ。
やっとの思いで地上まで辿り着く。
ゴーーール!!
足のガクガクは最高潮に。
でもなんだか爽快だ。
すぐにでもビールで乾杯したいくらいの達成感。
先に降りていた子ども達が見守ってくれていた。
結局、一番遅くて心配されたのは、大人女子2人だった。
気力も体力も、子ども達が数倍上だった。
これは、楽しい老後を迎えるためには、体力作りが重要だなと思い知らされた。
そんな私の近くで、マラソンオタクの夫がこう言った。
「うん、あと1往復できるかも。」
ううっ。
悔しいが、この人には敵わない。
強すぎる。
降りる時にすれ違った、筋肉マッチョでビーチサンダル(目を疑った)、手には小さなダンベルのお兄さんに触発されたのかもしれない。
何はともあれ、皆で無事に3333段チャレンジを達成できて、本当に良かった。
帰りに、近くのお茶屋さんで食べたジェラートと、一緒に出された緑茶の美味しさはこれまた国宝級だった。
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それから色んな事があるけれど、ちょっと歩くの遠いね、これは大変そうだね、というような時には家族でこう言い合っている。
「でも、3333段登れたじゃん!(だから出来る!)」
この「やれば出来る」の精神と、「あの時よりはマシだ」という家族間の共通認識を得られたことが、何よりも貴重な財産となっている。
最後に。
翌日から約1週間、全身の筋肉痛(私だけ)に苦しめられたことも思い出として記録しておく。
*
途中で登場したパン屋さんとお茶屋さんはこちら。
《森のぱんや》
なんでも美味しい。ワインとかも置いてあります。
《喫茶去 たかしま園》
お取り寄せもできるみたいです。
日本一が好きな方、チャレンジ精神旺盛の方、体力を測ってみたい方、ぜひぜひ美里町へ行ってみてください。
(きついけど)素敵な思い出となること間違いなしです!
※記事、画像など色々お借りしました。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さんのスキやコメントに励まされています。
***2023-5-22追記***
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