見出し画像

観劇中に体験した「親子席」の有り難さ。



息子はいわゆる凸凹くん。こだわりが強かったり、気持ちの切り替えが難しかったりする。


最近、彼の話題が多いので、以前書いた記事を。


改めて読み返してみると、小2になり、この時より成長している気がするし、出来るようになったことも増えたと思う。

例えば、

・療育先のイベントで、自ら進んで荷物持ちのお手伝いをした
・初めて会うお友達に自己紹介ができた
・夏休み、以前は徹底的に嫌がっていた学童(自由登館)に数日通い、楽しく過ごすことができた

など。

小さな事かもしれないが、息子にとっては勇気を出して進んだ大きな一歩。これからもそんな一歩を大切に見守っていきたい。

一方で、やっぱり難しいなあ、と感じる場面も少なくない。それを含めての今の息子なんだけれど。今日書く出来事もその1つ。




劇団四季『リトルマーメイド』のアンコール公演があるというので、家族でチケットを予約し、出かけた。


息子はあんまり(というか全く)興味がなく、半ば無理矢理。

ーーでもきっと、観たら感動するし、楽しいはず♩

と楽観的に考えていた私だが、これが甘かったことを開演5分で痛感するのだった…。


まず、真っ暗な客席。少し前に映画館デビュー(ドラえもん)していたので、クリアしていると思っていたが、やはり無理だったようだ。
「暗い、怖い。」と言い始めた。

そして、ミュージカル独特の雰囲気。生で演劇を見るのは久々だった(初めての時は覚えてないかも)ので、びっくりしたようだ。次から次に登場する不思議な格好の方々(人魚や魚)が大きな声でセリフを言い、踊り、歌っている。息子からしたら異次元だ。

さらに、全体的に音響が大きいので、それも刺激が強すぎて駄目だったみたい。

一般的には、ドキドキワクワク、と感じるところだろうが、ただでさえ「初めての経験」のハードルが高い息子には、見たことない人達の大発生と、先の見えない展開に不安が押し寄せてきてしまったようだ。

「もう駄目。いつ終わるの?帰りたい。」
泣きそうな声で訴えてきた。

こうなってしまったら、もうストーリーどころではない。

でも客席はほぼ満席で、横の方々の前を通らないと出られない。焦る私。

ーーあと少ししたら休憩だからね、それまでがんばろ。目を閉じててもいいよ。

と励ます。

なかなかボリュームのある前半(とても面白い)。

タコのおばさん(アースラ)の出てくる場面では、迫力のあまり大声で叫ぶんじゃないかとヒヤヒヤしながら、何とか休憩時間を迎えた。

吸盤が蛍光色に光っていたな


夫と娘に、息子が限界だと伝え、席を立つ。

トイレに行った後、アナウンスで聞いていた「親子席」に入ってみることにした。

「親子席」は、小さな子どもが騒いだり泣いたりした時に、周りに迷惑が掛からないように観覧できる小さな部屋だ。客席の後ろにあり、ガラス張りになっているので、窓越しにステージを観ることができる。

係のお姉さんが中に案内してくれ、
「ここでも無理な場合は、ロビーでモニター鑑賞も出来ますよ。また会場に戻りたい時にはご案内できますので、遠慮なくおっしゃってくださいね。」
と優しく教えてくれた。
ありがとう、お姉さん。沁みます。

公演が始まっても、うっすら間接照明がついていて、真っ暗にならなかった。それに、音響もちゃんと聞こえるが、ミュートがかかっているので、程よい音量に感じる。

ーーお、これなら大丈夫そうだね?最後までここで観よ。

と言って息子を見ると、持参したポケモン図鑑を広げて見ている(笑)。恐怖からは解放された様子。

ーーまあ、いいんだ。私が観たいんだし。

後半のストーリーが始まり、物語が展開していく。


親子席には、私たち親子以外に、あと2組の親子がいた。

1組は、息子より歳は上に見えて、なかなかじっとしていられなそうで、大きな声で会話しちゃう男の子と、そんなお子さんにちょっとイライラしているお母さん。

もう1組は、泣き顔の3歳くらいの女の子と、優しくなだめるお父さん。

途中からあと1組、小さな男の子とお母さんも入ってきた。

この空間にいるのは、様々な理由で会場では限界を感じ、でもできることなら子どもと一緒に公演を楽しみたい保護者達なのだ。

状況は違えど、なんだか仲間意識が芽生えてきた。声を掛けたりはしないけれど。


1組目のじっとしていられなかった男の子は、ストーリー展開に惹き込まれたのか、途中からそれはもう熱心に観ていた。すると、お母さんもイライラしなくなったみたいで穏やかな雰囲気に。

2組目の女の子は、なんと途中で「おちっこもれた~」とのことで、慌ててお父さんが連れ出して行った。でもすぐに戻ってきた。なんだか慣れているみたい。さすがです、お父さん。


3組目の男の子も、そのあと泣いたり騒いだりすることはなかった。


そして、息子。ポケモン図鑑は開いていたが、ちらちら舞台を観ていた。ストーリーもそれなりに分っているみたい。よかった!

ストーリーが終わって、キャスト挨拶で何回も幕が開いたり閉まったり、出演者が出たり入ったりする時にはゲラゲラ笑っていた。

私はもちろん、最後まで観れたことが嬉しくて。内容も十分味わえて大満足。


「親子席」のおかげで、子どもがまず落ち着き、保護者も救われ、仮に何かあっても大丈夫という安心感を得られる。

子連れ鑑賞では、チケットを買う時には想像していない事態が起こるものだ。だからと言って周りに迷惑を掛けるのは本当に嫌だし、でもやっぱり観たいし。

そんな私たちを優しく迎えてくれる「親子席」。今回初めて体験して、その必要性と有難さを心から感じた。


何やかんや言っても、最後まで観たことで、息子の経験値もまた一つ増えたに違いない。

帰り道、「もうミュージカルとか絶対観ない!映画もポケモンだけ!!」と宣言していたけれど。


いいんだ、これで。



最後までお読みいただき、ありがとうございました♩


みなさんのスキに励まされています。



***2023/8/28追記***

ありがとうございます!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?